うるま市の訓練場計画を白紙撤回せよ

陸自訓練場新設計画に地域ぐるみで大反対

沖縄報告 2.25

沖縄 沖本裕司

12月の閣議決定で陸自訓練場新設を計画

            
 昨年12月22日の閣議で、今年(2024年)度予算案が決定された。そのうち、防衛省は沖縄県に駐留する自衛隊の施設整備費に約473億円を計上し、「南西諸島」の自衛隊増強の具体策を明らかにした。陸自関係では、勝連分屯地の地対艦ミサイル部隊配備とミサイル連隊本部新設に伴う施設増強、宮古島駐屯地の電子戦部隊配備のための約1・5ヘクタール拡張、保良訓練場整備、石垣駐屯地の訓練施設拡張、沖縄市での補給拠点新設、那覇駐屯地の隊舎整備、空自関係では、久米島分屯基地の警戒管制レーダーの更新、那覇基地の自動警戒管制システムの入れ替え、などとなっている。
 そして、うるま市石川のゴルフ場(東山カントリークラブ)跡地に、陸自の新たな訓練場を新設するための用地約20ヘクタールの取得費を盛り込んだ。ミサイル部隊の展開訓練、迫撃砲の取り扱い訓練などを想定。2025年度に調査設計、2026年度に工事着工予定とした。まさしく寝耳に水。地元には事前に何の連絡や相談もなく、突如として持ち上がった陸自訓練場新設に対し、地元市民のみならず広く県民の反発が巻き起こった。

2区説明会に280人、口々に反対意見

 年が明けて1月14日、地元旭区自治会が臨時総会を開催し、参加した117人の全会一致で訓練場計画に反対する決議をあげた。さらに、港区・松島区・東山(あがりやま)区・美原区の周辺4区の評議委員会で反対決議が行なわれた。うるま市石川地区(旧石川市)の15自治会長で構成する自治会長会も反対することを決めた。大きくなる抗議の声に、防衛省は2月11日、旭区と東山区の住民のみを対象とした説明会を開き、280人が参加した。
 防衛省は、「陸自の普通科連隊を一個から二個に増強するに伴ない新たな訓練場が必要」「夜間の行進・偵察、新隊員の射撃訓練、警戒・警備、部隊展開、災害対処などを予定」「実弾・空包、照明・発煙筒は使用しない。ヘリは緊急時を除いて飛行しない」と説明した。
 それに対し、参加者からは、「住宅地に訓練場をつくるのは反対」「現在の環境が保てなくなる」「米軍基地に加え、自衛隊基地が広がればさらに危険な地域になってしまう」「青少年の家に近すぎる」などと、訓練場新設を危惧し反対する意見が噴出した。かつての宮森小学校ジェット機墜落事件の大惨事や由美子ちゃん事件、20歳の女性暴行殺人事件などが起こり、戦争と軍隊に反対する意識が特に強いのが石川である。石川地区選出の全市議7人は沖縄防衛局に対し、石川地区全体への説明会実施を求め、副議長を含むうるま市区選出の県議3人も玉城知事に面会し反対の意思を伝えた。

3月20日に大規模市民集会を開催

 玉城知事は2月17日、県庁を訪れた木原防衛相に対し、「地元の意向を尊重してほしい」「この計画に賛成しかねる。白紙に戻して検討してほしい」とハッキリ述べた。また、会談後の記者会見では、「石川青少年の家という年間4万人が利用する教育施設のすぐそばに訓練場を造るということは、果たして全国に例があるのか。私はないと思う」と強調した。それに対し木原防衛相は、撤回を否定したうえで、「取得した土地の利用の在り方は巾を広げて検討していく」と語った。6月県議選を控えて、政府自民党としては有権者の反発を避けるために低姿勢を装っているところだろうが、用途変更ではなく白紙撤回以外にないというのが市民・県民の総意だ。
 地元では、自治会評議委員や市議、市長・議員のOBなどを中心に「自衛隊訓練場設置計画の断念を求める会」を結成し、3月20日に大規模な市民集会を開催する動きが進んでいる。同時に、県議会への請願書や署名集めに取り組んでいくという。2月24日には、元石川市議会議員OB会が22人で結成され、会長には、元石川市議会議長・元自民党県連政調会長を務めた伊波常洋さんが就任した。政府の独善的な訓練場新設計画に対し、地域ぐるみの反対闘争が保革・与野党を越えた大きな固まりとなって盛り上がってきている。
日本政府の政治家・官僚たちは、沖縄を軍事の島として利用するのをやめよ!
陸自訓練場新設計画を白紙撤回し、沖縄での自衛隊増強を中止せよ! 

辺野古、塩川、安和での連日の行動

大浦湾の埋立工事は必ず止める!


 代執行による大浦湾埋め立てに着手した政府は、大浦湾の海上作業エリアを造るための捨て石投入と、辺野古側の埋め立て地への土砂備蓄を進めている。閣僚や官僚たちは10年後、20年後、大浦湾埋め立て・辺野古新基地建設がどうなるかということは関心外だ。前任者から受け継いだ国策を遂行するのにひたすら全力を挙げる。来県した木原防衛相もまた、「丁寧な説明」「工事を着実に進める」とくり返した。「説明」さえすればなんでもできると思っている政権の傲慢の極みだ。
 2月初め辺野古を訪れ、資材搬入ゲートの座り込みや辺野古弾薬庫の第4ゲートを視察した池澤夏樹さんは、沖縄タイムス2月21日に寄稿文を寄せた。池澤さんは「海底にずぶずぶ沈む2兆円」との見出しの記事で、「他に例のない難工事、というより不可能な工事ではないか」「アメリカ軍の本音は使い勝手のいい普天間から動きたくないということ。先日さる高官がそう漏らした。だから日本政府は先の見込みのない辺野古の工事をぐずぐずと続ける」「2兆7千億円が税金から企業にざぶざぶと還流される。政権党も潤う」「これはサギだ。日本国民のみなさん、これでいいのですか?」と書いた。
 大浦湾埋め立て工事の現場では、辺野古ゲート前、本部塩川港、琉球セメント安和桟橋、そして海上で、うまずたゆまず、不法な埋立工事に抗議し少しでも遅らせる行動が続けられている。辺野古ゲート前では、2月15日の座り込みで、1995年の少女暴行事件に抗議して島ぐるみ浦添の宮城さんが作詞した「悲しみの涙はもういらない」との歌が歌われた。闘い続けよう!

沖縄県地域外交基本方針案の策定へ

3月8日まで広く県民の意見公募


 沖縄県は昨年4月に地域外交室を立ち上げ、玉城知事が中国・韓国・台湾・米国などを訪問するなど、平和と経済発展を目指す沖縄県独自の地域外交を進めてきた。日本政府が米国と一体となって琉球列島に対中国・朝鮮の軍事包囲網を構築し東アジアの軍事的緊張が高まる中で、沖縄県は平和の架け橋になろうと独自の地域外交に尽力している。そして新年度に向けて、今後の基本方針を策定するため、地域外交に関する万国津梁会議(委員長=君島東彦立命館大教授)がまとめた提言に基づいて、沖縄県地域外交基本方針(仮称)をこのほど発表した。
 その内容は、沖縄県HPの「地域外交室」に掲載されており、理念の考え方は「21世紀の万国津梁を実現すること」と明記されている。県民の意見を広く反映させた上で最終決定するために、県は3月8日までの日程で、意見を公募(パブリックコメント)している。意見の提出方法は、郵送、メール、FAXなど、提出用紙のフォームも添付されている。一度、県のHPをご覧いただきたい。
 

2024.2.15 辺野古キャンプ・シュワブゲート前。生コン、捨て石、砂利を搬入。

2024.2.15 辺野古キャンプ・シュワブゲート前。海上作業ヤード造成に投入される捨て石。

2024.2.15 辺野古キャンプ・シュワブゲート前。警察機動隊が座り込みを排除。

2024.2.15 辺野古キャンプ・シュワブゲート前。済州と沖縄をむすぶ連隊の横断幕。

2024.2.15 辺野古キャンプ・シュワブゲート前

2024.2.1 陸自勝連分屯地ゲート前。拡張工事が進行中。

2024.2.7 本部塩川港。うまずたゆまず、ゆっくり歩きで土砂を止める。

2024.2.14 琉球セメント安和桟橋入口。ダンプの運転手に語りかける。

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