2.17「アイヌ女性会議」メノコモシモシの多原良子さん講演
アイヌ文化から北方諸島の問題を考える実行委
【東京】2月17日、午後2時から東京都千代田区の万世橋区民会館で、「アイヌ文化から北方諸島の問題を考える」をテーマにした集会が例年通り開催された。
主催は「アイヌ文化から北方諸島の問題を考える実行委」。今年のゲストは「アイヌ女性会議」メノコモシモシ(一般社団法人)代表として民族女性への複合差別問題にも取り組んできた多原良子さん。
多原さんは、自民党の杉田水脈(みお)衆院議員が2016年の国連女性差別撤廃年に際し、チマチョゴリやアイヌの民族衣装を着た韓国人女性やアイヌの女性を取り上げて「チマチョゴリとアイヌの民族衣装を着たコスプレおばさんまで登場」と誹謗中傷した際の攻撃対象だった。その時ツイッターではアイヌ民族への中傷が50件も投稿された、と言われる。
自治・自決権の行使
多原さんは色丹島へのビザなし交流について、「千島列島に住んでいた戦没アイヌへの供養だ」と語るとともに、明治政府が色丹島への移住強要を行ったことについても批判した。また1789年のクナシリ・メナシの闘いとノッカマップのイチャルパ(供養祭)について説明した。さらに旧帝政ロシアがシベリアから千島、そしてアリューシャン列島に進出する過程で、「アイヌのロシアとの交易が進んでいった」と誇示していることをも指摘した。
一方クナシリ・メナシの闘いは、松前藩のアイヌに対する過酷な強制使役に対する抵抗に対して松前藩が37人を死罪に付すという大弾圧をもたらしたのである。
こうした動きの中で、日本政府の外務省ロシア課は国後(クナシリ)島、色丹(シコタン)島について、「ロシアの支配が適用されていることを認めるような行為は、北方領土問題に関する我が国の立場を損なうことになりかねない」と強調しており、日本政府の公式立場と異なる主張については絶対に認められない、と主張している。ここでは「先住民族」としてのアイヌ民族の諸権利に関する条項の全てが(自治・自決権を含めて)考慮の外にある、という立場が明確に示されている。
アイヌ民族の「先住民族」としての政治的・社会的・文化的諸権利を承認すること」、そのための予算的措置を講じることは「自治・自決権」を行使するための前提である。
共に訴え、行動しよう。
(K)
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