3.10さよなら原発関西アクション
原発やめて! 核燃サイクル中止を
今こそ脱原発に舵を切ろう
【大阪】さよなら原発関西アクションが3月10日、大阪市中之島公園女性像前で開かれ、500人ほどの市民が参加した。
おしどりマコ・ケンさん
主催者を代表し池島芙紀子さん(ストップ・ザ・もんじゅ)があいさつをし、続いて、おしどりマコ・ケンさんの脱原発トークライブが始まった。
マコ・ケンさんは、横山ホットブラザーズの弟子で、2011年に大阪吉本から東京吉本に移り、三ヶ月後に福島原発事故が起きる。福島原発事故後、吉本から、原発という言葉は使うなとの指示が出た。漫才の夢路いとしさんに以前国策漫才のことを質問したとき「芸人は、国策のためではなく目の前のお客さんのためにしゃべれ」と言われたことを思い出した。
原発事故の取材をするようになり、東京電力の記者会見に毎回参加してきた。最初は200人ほどのマスコミが参加していたが、年を追う毎に減ってきて、ついに2023年の参加者はマコ・ケンさんだけになったという。マコ・ケンさんは原発事故の取材を、事故の現場や電力会社だけではなく、省庁や自治体の会見、議会や検討会、さらに学会まで取材し、現在日本健康物理学会会員だという。取材により身につけた豊富な知識に驚いた。
電通の取材誘導・番組誘導
事故直後、人々が避難するようすをマスコミ各社は詳しく取材していたが、それはどこでもニュースにはならなかったという。報道ステーションの関係者が後年、反省を込めて教えてくれた。
マコ・ケンさんは、「直ちに影響はありません」という政府のコメントにもかかわらず、人々は避難をしているのに、なぜニュースにならないのか? どうしてそうなったのだろうと疑問に思った。
関係の公文書を開示請求で取り寄せて調べていくと、風評被害払拭の名目で、電通に多額の予算が下りていた。トキオのメンバーがボランティアでやっていると思っていたがそうではなかった。
安心安全メディア研究会で、電通が地元のラジオ局にレクチャーして、原発汚染怖いはネガティブ、復興はポジティブ、ポジティブが増えることが福島のためになるという誘導が行われていた。トキオが桃を食べる宣伝でも、安全ですとは言わせず、おいしいだけ言わされた。手が込んでいる、さすが電通。
電通作成の事業報告書には、はっきりと番組誘導、取材誘導することでネガティブが減少したと書かれていた。このような原発事故からの復興に関わる宣伝に、電通は随意契約で、何と2011年3月19日から関わっていたという。
政府は事故直後に、電通による宣伝を指示していたということだ。長崎大学の原爆後障害医療研究所の山下俊一・高村昇を引き抜いて、放射能被害について福島のラジオ放送に引っ張ってきたのは3月15日のことで、これは電通がやった。
第一原発の髙レベル廃棄物建屋のエントツから汚染水が漏れているのを見つけたのは、たまたま通りがかった別の作業員だった。作業が終わって配管洗浄するとき、高温焼却建屋の中の配管の栓を閉め忘れた状態で洗浄水を注入し、汚染され水がそのまま吹き出したという。考えられないことが起きている。福島第一はこのようなことがよくある。
ドイツの市民運動のすごさ
2023年にドイツは脱原発を達成したが、日本は原発再稼働に舵を切り、40年の上限を撤廃した。よくドイツで報告させてもらっているが、ドイツの一般市民や中高大学生はものすごく原発に詳しいのにびっくりする。30年前のドイツは、今の日本と似ていたという。
どうして自然エネルギーが国民に支持されるようになったのか聞いたら、毎年、少しだけ前進したことをお祝いするパーティーをやり、それを毎年繰り返したという回答だった。ドイツに行くとドイツの人の家に泊めてもらうのだが、散らかっているけど、エネルギーはきれいだからと言われた。
今ドイツでは、自然エネルギーの方が安い。ビスターチョコレートがおいしくなった。クリーンのエネルギーで作っているから、というような言葉を聞くと、自然エネルギーを求める人が多いのだなと思う。脱原発の後の課題は三つあると聞いた。
廃炉・放射性廃棄物の処理・隣国(ベルギーとスイス)の原発の停止申し入れだという。すごいよね。ドイツでは、放射性廃棄物の輸送車の外観はオープンになっているという。
輸送ルートをオープンにしていないのは日本ではテロリスト対策だが、ドイツは市民運動対策としてやっているという。なぜかというと、テロリストは来なくても、市民運動は必ず来るからだという。脱原発は政府が決めたのではなく、市民が決めたのだといわれた。
ドイツが脱原発を決めたとき、それへの批判として、ドイツはフランスの原発の電気を買っているという批判が日本であったが、それは間違いだという。年間合計すると、フランスはドイツの自然エネルギーを輸入しているというのが正しいのだそうだ。
菅野みずえさん(原発賠償訴訟原告)
能登のことを心配する多くの人々のSNSの投稿をみて、13年前の時もきっと多くの人々が私たちを案じてくれていたのだと、今頃になって思い至った。当時は、「原発乞食恥を知れ」・「原発を誘致したお前たちへの天罰だ」などと言われ、ガソリンスタンドでも「福島ナンバーお断り」の看板さえあった。本当に肩身の狭い思いで、世間の人に心配されているとはとても思えなかったが、原発反対でなくても心配してくれた人はあったのだと初めて肌身に染みて思うことができた。
動物も被曝している
事故により、ひとだけでなく動物も被害を受けている。我が家の八カ月の子犬も。我が家の裏の猿の糞を検査したら、425gで2339ベクレル、スズメバチの巣は10・2gで3万3520ベクレルもあった。
珠洲原発は住民の反対運動が止めてくれたし、浪江町に予定されていた東北電力の原発も反対運動が止めてくれた。もし建設されていたら、大変なことになっていただろう。原発反対は、賛成する人々の命のみならず、その人の子や孫まで護る、国土と市井の人々の暮らしを護る、心の広い運動だということを地震は教えてくれた。
処理汚染水の流出は、地球上の海を汚し、生き物に害を与えていくのではと恐れる。東電原発事故後の浜通は、住民にとっては未だに塗炭の苦しみの中にあるが、軍需産業にとっては、濡れ手に粟の復興特需なのだ。避難者は、原発は要らないと身に染みて分かったことを伝えていく。
松下照幸さん(美浜町議・反原発福井県民会議共同代表)
現在美浜原発は三号機のみが稼働中。建設されて49年になる老朽原発だ。原発は高温高圧で、放射線が飛び交う環境で動いている。タービンを早く回転させるため速いスピードで配管内を高温水が走り、常に振動が発生している。
ここに設備劣化が加われば、地震の小さな揺れでも配管破断が起きる。設備の点検作業には、被曝が伴う。電力会社社員は高線量被曝の所には入らず、下請け企業の作業員が点検修理をする。1000万点に及ぶ原発の部品。
関電の安全意識の欠如は最大のリスク
原発の老朽化は最大のリスクだ。大飯原発三号機が配管ひび割れを起こしたとき、関電は、損傷配管を取り替えずに運転を強行しようとした。かかる関電の安全意識の欠如は、大きな事故リスクだ。
再生可能エネルギーという小さな技術が地域の資源を使って原発に取って代わろうとしている。関電は、使用済み核燃料の県外保管先を示せず、福井県知事との約束を四度も反故にした。使用済み核燃料(核のゴミ)が発電所のプールに溜まり続けている。やがて原発は運転停止せざるを得なくなる。原発の建設がなくなり、原発メーカー、部品メーカーが衰退し、転業廃業が余儀なくされている。小型原発への期待があるが最も具体化の進んだ米国では、建設費高騰のため、受電契約が拒否され計画中止になっている。
世界は、温暖化対策の切り札として再生可能エネルギーの開発を競ってきたが、日本は、むしろ再生可能エネルギーを押さえてきた。電力会社が送電網を握っているからだ。これを公正な送電網に切り替えることが最重要課題だ。
浅石紘爾さん(核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団代表)メッセージ
核燃料サイクル推進派は、使用済み核燃料は資源だと強弁しているが、その実態は高レベル放射性廃棄物そのものだ。使用済み核燃料は六ヶ所再処理工場プールに運び込み再処理する政策がとられているが、プールは満杯状態で、しかもガラス固化の失敗で再処理はストップしたまま本格稼働のめどはたっていない。高レベル廃液は液体状態で、冷却の一時喪失事故が起き、重大事故の一歩手前に至った。2024年上期の竣工の予定は設工認可の難航で絶望的とみられている。
工場内には現在、ガラス固化体346本、大量の高レベル放射性廃液、使用済み核燃料2970トン、プルトニウムや減損ウランTRU廃棄物などが保管されており、様々な要因で地球規模の大惨事を引き起こしかねない。
原告団は原子力規制委員会を被告とし事業取消訴訟を提起し、巨大地震の発生、軍用機墜落による施設破壊などを指摘し、審査の無効を主張している。
政党からメッセージ紹介、集会決議
大椿ゆう子さん(社民党参院議員)、森山博行さん(立憲民主党衆院議員)、辻元清美さん(立憲民主党参院議員)、尾辻かな子さん(立憲民主党前参院議員)の紹介があった。
最後に、集会決議案が提案され拍手で、採択された。集会後、西梅田公園までデモを行った。 (T・T)
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