3・20さようなら原発全国集会へ(代々木公園)

フクシマを忘れない! 原発再稼働を許さない! 汚染水を流すな!

 【東京】落合恵子さん、鎌田慧さん、古今亭菊千代さん、澤地久枝さん、武藤類子さん呼びかけの「さようなら原発」一千万人署名市民の会は3月20日、福島第一原発事故から13年目の全国集会を代々木公園で開催する。昨年9月の全国集会でさようなら原発と共催したワタシのミライとFridays For Future Tokyo は協力団体としてブース出展、「気候危機と原発の交差点」をテーマにした企画を用意している。

三里塚大地共有運動の会も出店


 ワタシのミライ・プロジェクトは、「気候危機、原発、人権、生物多様性など様々な社会問題に取り組む団体が協力するムーブメント」として、イベントやキャンペーンを重ねている。昨年春に呼びかけがはじまったこの運動には、現在150を超える全国のNGO・NPO、学生・若者、生協・協同組合、事業者、地域や個別課題の運動団体などが参加・賛同し、一般社団法人三里塚大地共有運動の会も賛同団体に名を連ねている。共有運動の会は昨年9月に続き、3月20日の全国集会に単独のブース出展を準備しており、ニュースや「4月7日横堀農業研修センター(旧労農合宿所)裁判を支える東京集会」のチラシ配布や三里塚物産のらっきょう漬け販売などを予定している。

成田空港拡張と地球規模の課題


 横堀農業研修センター土地強奪・破壊裁判の第1回公判では里塚芝山連合空港反対同盟の代表世話人・柳川秀夫さんは「巨大開発の問題は、地球の人類の生存、地球全体の生存に関わるところまで事態は深刻化しています。私たちの考え方としては、腹八分をものさしとした社会をきちんと考えなければならないということです。温暖化が問題になっているときに、土をひっぺ返して、なおさら温暖化に近づくようなことをなぜやるのか」と陳述している。全国の原発建設反対運動に先駆けた三里塚闘争の現在地を確認し、柳川さんの訴えを伝えるため、全国集会に参加し、共有運動の会のブース出展に協力してほしい。
 かつて本紙は「世界革命」時代から長らく「原発が止まっても化石燃料資源が十分なので火力で電力はまかなえる」とした主張を行っていた。これもはっきりと自己批判しておかなければならないだろう。
 昨年9月の集会に気候正義を主張するグループが参加することへの批判をはじめ、福島原発事故以降の運動でも「地球温暖化懐疑論」も根強い。
 かつて、気候変動問題のシンボル的な人物は2007年に科学者団体の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)とともにノーベル平和賞を受賞したアル・ゴアであり、懐疑論は「アンチ新自由主義」として反権力を志向する層に浸透しやすかったのだろう。グレタ・トゥーンベリさんが2018年にスウェーデンではじめた「たった一人の気候ストライキ」には世界中の若者の共感を集め、はやがて世界で150万人規模の「未来のための金曜日(Fridays
for Future)」として新たな社会運動を形成、新たなシンボル的な人物となる。グレタさんに対抗意識を燃やしたのはプーチン、トランプ、ボルソナルらの権力者であった。グレタさんは2019年9月にニューヨークの国連本部で開催された気候行動サミットに招かれ、エネルギー効率の悪い航空機ではなくヨットで渡航した。気候正義の視点で成田空港拡張反対を訴え、深めていこう。

2024年の課題は島根・女川の再稼働


 3月20日の全国集会の発言者などは以下の方々。
 司会はピースボート共同代表の畠山澄子さん、13時からのオープニングライブで松元ヒロさん(元ザ・ニュースペーパー)による30分間のスタンダップコメディが披露される。開会と閉会のあいさつは落合恵子さんと鎌田慧さんが分担する。フクシマ連帯キャラバンの登壇に続き、片岡輝美さん(これ以上海を汚すな!市民会議)がALPS処理汚染水の海洋放出を止めるためのアピールを行う。北野進さん(志賀原発を廃炉に訴訟原告団)、阿部功志さん(東海村村会議員)、多々良哲さん(女川原発の再稼働を許さない!みやぎアクション)から現地報告が行われる。続いて2つの協力団体からの発言。
 デモは15時出発で渋谷方面と原宿方面の2コースに分かれる。
 2012年5月に日本の稼働する原発がゼロになって以降に再稼働したのは関西、九州、四国の3電力の原発で、すべて加圧水型炉で沸騰水型の福島第一原発とは異なるタイプであった。今年は地元同意が済んだ中国、東北の2電力が再稼働計画を発表している。
 中国電力は6月に島根2号機の原子炉に核燃料を入れたあと、8月に原子炉を起動、再稼働させて発電と送電を開始し、9月には営業運転を再開する計画を示している。島根原発は鳥取県にまたがる30キロ圏内におよそ45万人が暮らす。東北電力は7月ごろに女川2号機に燃料を装荷し、9月ごろの再稼働というのが現段階での情報だ。
 東京電力の柏崎6号と7号、日本原電の東海第二に対する原子力規制委員会の審査は終了、地元同意が焦点となっている。

福島と六ケ所の2045年問題

 日本原燃の社長は3月5日の記者会見で、「六ケ所村の再処理工場の完成時期の目標としていた2024年度上期のできるだけ早い時期が大変厳しくなっている」との発言をした。六ヶ所再処理工場は2006年、アクティブ試験と称して使用済み核燃料を実際に再処理を開始している。六ケ所村の核燃料サイクル基地は再処理のほか、低レベル廃棄物の最終処分、高レベル廃棄物の一時保管、ウラン濃縮、建設中のMOX燃料製造を行う施設が集中している。
 高レベルの一時保管施設では、1995年からフランスとイギリスに委託した再処理によって発生したガラス固化体の保管を行っている。この前年、日本政府は青森県に対して「青森県を高レベル廃棄物の最終処分場としないこと」「高レベル廃棄物の管理期間を30年〜50年」と約束した。95年に保管がはじまったガラス固化体の搬出期限は2045年だ。あと21年あるが、最終処分場の候補が現れてから処分場の稼働まで、少なくと20年程度を要する。政府はここ数年のうちに処分地を決めなければならない。再処理工場が完成したとしても、アクティブ試験に続き、トリチウム汚染水の排出が再開することになる。
 2月13日、原子力発電環境整備機構(NUMO)は北海道の寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村の文献調査の報告書案を公表した。案は国の審査後に成案となる。さらに縦覧期間を経て、NUMOは概要調査を経済産業相に申請、その際に地元首長が反対すれば次に進めない。北海道知事は「現時点で反対の意見を述べる考え」としている。
 長崎県対馬市では昨年、建設業団体が文献調査を受け入れの請願を市議会が可決した。国への申請権限をもつ市長が反対を表明して棚上げ状態が続いてきた。この3月3日に任期満了による市長選が行われ、現職が3選を果たしたが、最終処分場をめぐっては議会と市長のねじれ現象が続いている。処分場の選定については、市町村からの申請を原則としている。しかし、10箇所程度の候補地を必要と考える政府はしびれを切らしており、国による指定方法の必要性を唱えている。寿都と神恵内を候補として1つを選定するより、10の候補地から1つを選定する方が高い倍率を勝ち残った「強い土地」という印象が残るかもしれない。
国が原則を破る。であれば、青森でも、福島でも高レベルの最終処分場を指定できることになる。
 福島の2045年問題は除染廃棄物の中間貯蔵の期限だ。政府は搬入を開始した2015年から30年後の2045年までに汚染土を県外の最終処分場に搬出することを約束している。政府はこれは通常の焼却、埋め立て処分ができる基準をクリアしている1キロ当たりの放射性セシウム濃度が8000ベクレル以下の汚染土を道路工事などの公共工事で再利用することを計画する。大熊町と双葉町にまたがる中間貯蔵施設は地権者との交渉を並行しながら廃棄物が搬入されている。買い上げた土地、借り上げた土地の間に未買収地がある。国と電力会社は地震と津波、原発事故によって心身ともに傷ついた民衆をさらに痛めつけ、追い詰めている。
 うんざりである。
    (KJ/3月8日)

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