「汚染水」と表現するな!自民党が教育に介入
高教組、県教組は取り下げ要求
【福島】1月に開かれた日教組全国教研で「汚染水」と表現する授業実践の事例が発表されたことに自民会派がかみつき「科学的根拠に基づく教育の実施を求める意見書」を2月県議会に提出した。
否決の意向は
共産党だけ!
その意見書は3月5日に県議会商労文教常任委員会で審査され、4会派のうち共産党会派だけが否決する意向を明らかにした。18日に常任委で、19日に本会議でそれぞれ採決が予定されている。
この意見書は「科学的根拠もないまま、処理水を『核汚染水』と称して虚偽の情報を世界中へ発信している中国と同様であると言わざるを得ない」「科学的な根拠に基づいた正確な情報による適切な教育が行われるべき」と、政府に対し文部科学省の放射線副読本の活用などを全国の教育委員会に促すように求めている。
これまで政府・経産省は汚染水海洋放出の「理解醸成」に巨費を投入し新聞広告、テレビ・ラジオでの宣伝、高校生など向けの出前講座を繰り返し、文科省も放射線副読本等を学校にばらまいてきたが、それでは物足りず、教育現場、教育実践を直接的に統制、介入し、教育労働者を萎縮させ、自主的、主体的とりくみの絶無に乗り出したということである。
一方、汚染水放出に反対する市民は、県議会各会派に対し「放射性物質の海洋放出は仕方がないとする社会では、自らの命や健康を守ることはできない。無用な被ばくを強いていくことになる」「子どもたちに放射能安全神話を押し付けないで」と意見書の採択への反対を呼びかけ、会派要請行動と常任委員会傍聴、県庁前スタンディングにとりくんだ。
地域・現場と結んで闘おう
教育現場からは、県立高等学校教職員組合が、「意見書は政府見解だけを教えよとするもの、戦前の過ちを繰り返す」「児童生徒が様々な視点から考える機会を奪う」と県議会各会派にアピールを提出し、県教職員組合は「意見書は教育に対する政治的介入で、学問の自由を保障するものではない」と取り下げを求めた。
立憲、国民などでつくる県議会会派「県民連合」が自民党意見書採択に同調する中で野党共闘を進める「ふくしま県市民連合」は、立憲民主党に対し申し入れを行った。
海洋放出をめぐっては、放出開始半年で重大事故が続けて起こる一方、原子炉内の溶融燃料デブリの取り出しは再三再四にわたって延期された。ALPS処理水は多くの核種を含んでおり、長期にわたる放出の中で何が起こるかわからない。
厳しい現実から目を逸らせ、プロパガンダ教育で切り抜けようとしているのが自民党意見書の意図である。地域での放出反対の様々な取り組みと教育現場での実践・闘いを結び付けていくことが重要だ。(N)
「政府見解だけが真実」は過ち、と介入反対をアピール(3.5)
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