3.8ウィメンズマーチ東京2024実行委員会

戦争と暴力、家父長制に反対!

ジェンダー平等! トランスジェンダー差別に反対

 【東京】3月8日、ウィメンズマーチ東京2024実行委員会は、毎年3月8日の国際女性デーにジェンダーに基づく差別や暴力に反対する人たちと共に「Women’s March Tokyo」を行い、380人が参加した。
 マーチは、渋谷の国連大学前広場に集合し、神宮通公園までアピールした。
 「ウィメンズマーチ東京 2024声明」(別掲/ブログから転載)は、以下のような要求を掲げている。
 ①政治家を利用して自分の利益に繋げたい企業や団体、個人との癒着関係によって、日本の政治が大きくゆがめられてきたことに私たちは強く抗議します。
 ②「性暴力するな!」の声を広げていきたいです。
 ③過去と地続きの現在における差別を認めるような動きに強く抗議します。
 ④出入国管理及び難民認定法の改悪に反対し、外国人の命と権利を守る法制度を求めます。
 ⑤トランスジェンダーへの差別的・暴力的な言動は認めません。
 ⑥パレスチナの人々と連帯し、イスラエル政府に対し、ガザでの軍事作戦を即時停止することを求めます。
 ⑦ウクライナやパレスチナでの虐殺と破壊を目の当たりにして、軍事・武力では紛争は解決できない。
 ⑧誰もが生まれてきてよかったと思える暮らしが当たり前に実現できる社会に変えたい。
 賛同団体は、足立・性的少数者と友・家族の会、聖路加国際病院チヤプレンによる性暴力サバイバーと共に歩む会、山川菊栄記念会、Blake、女性グループ翼(ウィング)、喫茶おおねこ、ふぇみん、AC自助グループ /人権団体 「いやし・は~と」、フラワーデモ埼玉、世界女性会議岡山連絡会、
非正規公務員voices、NPО法人コミュニティ・ネットワーク・ウェーブ、まんなかタイムスなど60団体。
 マーチは以下のようなコールを渋谷一帯に響かせた。
 ◦家父長制をぶちこわせ! ◦すべての人の人権まもれ ◦すべての人の尊厳まもれ ◦あらゆる差別に反対しよう ◦暴力反対 ◦戦争反対 ◦軍事化反対 ◦平和が必要 ◦子どもを殺すな ◦誰も殺すな ◦虐殺するな ◦わきまえないぞ! ◦女性差別の政治家いらない ◦裏金もってる政治家いらない ◦難民イジメる政治家いらない ◦ジェンダー平等しっかりやって ◦居場所と権利を奪うのやめて ◦トランスジェンダー差別に反対 ◦私の身体は私のもの ◦勝手に決めるな ◦自分のことは自分で決める ◦当事者たちの声を聞け ◦差別に優先順位はないぞ ◦あきらめないぞ ◦つながろう ◦連帯しよう ◦社会を変えよう ◦みんなで変えよう(Y)

 ウィメンズマーチ東京2024声明

 自民党の政治資金パーティーをめぐる裏金問題が報じられ、自民党は過去5年間で約6億8千万円を政治資金報告書に記載していなかったことを認めました。宗教右派と自民党議員たちとの密接な関係の問題も未だに解決されていません。当選し続けるためにカネがほしい議員と、当選した政治家を利用して自分の利益に繋げたい企業や団体、個人との癒着関係によって、日本の政治が大きくゆがめられてきたことに私たちは強く抗議し、問題の全容解明を求めます。

 この間、ジャニー喜多川やお笑い芸人などによる性暴力が問題になりました。告発が相次ぎ、それを報道するメディア・対応する関係者の人権意識も問われています。性暴力の告発には本人の強い意思や周囲のサポートなど非常にたくさんの時間とエネルギーが必要です。そのことを理解したうえで、被害者の声に真摯に耳を傾けること、被害者の落ち度を責めるといった二次加害を繰り返さないこと、一人一人が性暴力を許さないという強い決意をもつことが求められています。また、2024年1月1日におきた能登半島地震の現場でも、性暴力への対策が求められましたが、性被害に遭わないための自衛を呼びかけるのではなく、「性暴力するな!」の声を広げていきたいです。

 2023年9月1日は関東大震災から100年の節目でした。しかし、小池百合子東京都知事は朝鮮人犠牲者追悼式典への追悼文送付を7年連続で見送りました。今年1月29日には、群馬県高崎市にある県立公園で、戦時中に労務動員され亡くなった朝鮮人労働者を悼む追悼碑が行政代執行により撤去されました。日本による植民地支配の歴史を見えなくさせ、過去と地続きの現在における差別を認めるような動きに強く抗議します。

 2023年6月、出入国管理及び難民認定法の改定案が可決されました。難民や在留資格のない人の命を危うくするような改悪が、あやふやな根拠によって推し進められました。入管施設における長期収容や、劣悪な環境が問題視されていたにもかかわらず、それに対する十分な説明すら果たされていません。国際的な基準からもかけ離れたこの改悪に反対し、外国人の命と権利を守る法制度を求めます。

 時期を同じくして、「LGBT理解増進法」も可決されました。差別をする側への配慮を求めるかのような条文が差し込まれ、十分な議論もないまま法案が通ってしまっただけでなく、議論の過程で性的マイノリティ当事者へのヘイトを煽るような言説がばらまかれました。
 トランスジェンダーをターゲットにした攻撃が続いています。ウィメンズマーチ東京に関連付けたトランスヘイトの書き込みもこれまで以上に増えています。特定の身体のあり方や振る舞いによって「女性」を線引きすることは、「女性としてこうあるべき」という押し付けであり、すべての女性を抑圧することでもあります。すでに私たちの社会で共に生きているトランスジェンダー当事者たちの日常や抱える困難に目を向けず、公衆トイレや銭湯に関することばかりを執拗に強調して、性暴力の不安を煽ることはジェンダーに基づく差別であり、ウィメンズマーチ東京は強く反対します。トランスジェンダーへのヘイトスピーチを見聞きするなかで、より脆弱な立場におかれた人々への差別がなくならなければ、女性に対する差別や暴力もなくならないことを私たちは再確認しました。差別の解消に優先順位はありません。より周縁化された人々の声を聞き、ともに運動をつくっていくことこそが、あらゆる人々の人権が守られる、より生きやすい社会につながると確信しています。2024年のマーチにおいても、トランスジェンダーへの差別的・暴力的な言動は認めません。

 2023年10月、イスラム組織ハマスがイスラエルを奇襲攻撃したことへの報復として、イスラエルはガザへの大規模攻撃を開始しました。これまでパレスチナ側の死者は2万7千人を超えています。2007年から封鎖されたガザは、365平方キロメートルのところに、220万人もの人々が押し込められてきました。その多くは1948年にイスラエルが建国されたことで難民となり、ガザに辿り着いた人々です。また、ガザ地区と共に「パレスチナ自治区」になったヨルダン川西岸地区などガザ以外の各地でもイスラエルによる違法な入植地の拡大が続いています。私たちは、長い間、イスラエルの占領下で過酷な生活を強いられてきたパレスチナの人々と連帯し、イスラエル政府に対し、ガザでの軍事作戦を即時停止することを求めます。そして、この人権侵害を放置し、むしろ加担してきた国際社会の姿勢に抗議するとともに、日本政府に対し、パレスチナの人々の命と尊厳を守るための行動を要求します。

 2022年2月に開始したロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻も続いています。世界各地で紛争が拡大し、一般市民を攻撃の対象にしてはならないという国際法が軽視されているこの状況に、私たちは大きな危機感を抱いています。ウクライナやパレスチナでの虐殺と破壊を目の当たりにして、軍事・武力では紛争は解決できないこと、そして、軍事費の拡大によって軍需産業は活況が続く一方で、社会保障の負担が増えるなど市民の生活は圧迫されることを改めて実感しました。私たちは、今以上に戦争を起こさないための外交努力に目を向ける必要があると考えます。今年の国際女性デーにも人権と平和を求める声をより大きく響かせましょう。

 いま、日々の暮らしのなかで、さまざまな不安や絶望を持つ人がさらに増えていると感じています。身体や気持ちをゆっくりと休めたり、リラックスして心から楽しいと感じる時間をもったり、社会問題に関心を向けることがより困難になっているのではないでしょうか。低賃金や長時間労働など、ひどい条件での働き方が当たり前になり、物価の高騰も加わり、生きていくことを諦めたくなるような日もあるかもしれません。
 1989年の消費税導入によって、企業にとっては直接雇用せず派遣等で人手を確保する方が利益につながるようになり、2000年前後に立て続けに行われた労働者派遣法や職業安定法などの規制緩和によって非正規雇用が拡大しました。私たちは、多くの人が感じている生きにくさは、このように時間をかけて政策として作られてきたものであり、自己責任ではないことを強く主張します。不安定な状況のなかでは、自分にも他人にも優しくできず、自暴自棄になったり、自分より弱い立場の人に差別的・暴力的な行動をとってしまうこともあるかもしれません。しかし、私たちは、毎日を生き抜くことで精一杯な現実を受け入れざるを得ない、この社会そのものがおかしいと訴えます。疲れたらゆっくり休むことができる生活、自分にとっての幸せを心から感じられる時間がたくさんある日常、生きていることに喜びを感じられる生き方、誰もが生まれてきてよかったと思える暮らしが当たり前に実現できる社会に変えたいと強く思っています。

 諦めるにはまだ早いこと、一人ではできないことも連帯すれば大きな力になることを私たちは知っています。さあ、街へ出て、差別や暴力に反対するたくさんの人と繋がりましょう。裏金も大きな権力もないけれど、私たちにはマーチがあります。今年も共に歩きましょう。

2024年2月25日
ウィメンズマーチ東京2024実行委員会

「連帯しよう!社会を変えよう!」などのコールが渋谷に響きわたる(3.8)

「私の身体は私のもの」と訴える(3.8)

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