3・7大浦湾の埋立を許さない学習集会

沖縄を戦場にするな

「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委員会

 【東京】3月7日午後6時半から、文京区民センターで、不当な「代執行」による大浦湾の埋め立てを許さない3・7学習集会が主催:「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委員会、協賛:戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会で開かれ、150人が参加した。
 主催者あいさつ、協賛団体あいさつの後、4人による講演が行われた。
 [環境]花輪伸一さん(沖縄環境ネットワーク世話人)、[行政法]武田真一郎さん(成蹊大学教授・行政法)、[遺骨南部土砂]具志堅隆松さん(遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表・リモート参加)、[自治体議員]長南博邦さん(沖縄に連帯する自治体議員ネット・元千葉県野田市議)。

大浦湾の埋立は環境破壊につながる
 
 花輪さんはスライドを使い、①自然環境・野生生物の特性②新基地建設工事の悪影響を非常に分かりやすく説明した。
 ①、多様性に富む辺野古・大浦湾・嘉陽。世界自然遺産に指定されている小笠原諸島の生物種数が4400に対して、辺野古・大浦湾は5334である。如何に生物多様性の宝庫か分かる。そして、去年でも大浦湾で36種の新種が発見されている。世界自然保護会議やラムサール条約(湿地の生物多様性保全)があり、日本政府はジュゴンの保護の推進や大浦湾に流れ出る大浦川の生物の保護を指定している。しかし、辺野古・大浦湾のサンゴ礁の記述はない。
 ②基地建設工事による悪影響。3頭生息していたジュゴンがうち1頭が死に、2頭が行方不明。移植サンゴが藻に覆われ、衰弱、死滅。辺野古の海草藻場はそのまま埋め立てられた。
 大浦湾のB27地点の地盤強度をめぐる沖縄県の主張。◦90mの深さまで軟弱地盤は広がっている。◦地盤の弱さを示すデータなど都合の悪い情報を隠している。◦ここに護岸を建設すれば崩壊する。◦ボーリング調査を実施し地盤強度を調べて。
 大浦湾の埋め立てによって、海域に悪影響が広がっていくのは間違いない。米軍が新基地を使用すれば騒音など地域住民に被害を及ぼす。代執行による工事の強行は問題だ。

代執行は国の重大な反則だ

 次に、 武田真一郎さんが「辺野古設計変更承認の代執行」の問題点を明らかにした。
 今回の代執行は国の側が重大な反則をしている。審判員であるはずの裁判所がそれを容認した。それで国は勝った勝ったと言って喜んでいる。今回の代執行の判決はそういう状況にある、と前置きしてレジメに基づいて話をした。
 1 代執行とは ①都道府県知事の権限を剥奪して大臣が代わって行うこと。本件では公有水面埋立法に基づく設計変更承認を国土交通大臣が代執行した。②代執行は知事や市長が下請けをしていた時代の名残り③ただし当時でも最高裁は職務執行命令の適法性を裁判所が全面的に審査するとしていた。
 2 代執行の要件 3 代執行に至る経緯:裁決と是正の指示の不当連結 4 代執行の手続 (いずれも略)
 5 本件代執行の問題点
 ①代執行以前に、裁判所は国民ではない防衛局に審査請求を認め、さらに審査請求の裁決と是正の指示の不当連結を認め、裁決(不承認の取消裁決)の拘束力によって知事には設計変更を承認する義務があるとして代執行も認めたものであり、裁判所は第三者機関として知事の不承認の違法性をまったく審理していない。
→高裁判決は国(国交大臣)の裁決に従うべきだと言っているだけであり、代執行の適法性を実質的に審査していない。また、国と県の話し合いによる解決は不可能だとして代執行を認めながら、今後は話し合いをするべきだと述べており、支離滅裂。
 ②現行地方自治法は国と地方が対等であることを前提とし、国と地方公共団体の紛争は国の関与制度(是正の指示、係争委の審査、是正の指示の取消訴訟)によって係争委と裁判所が中立的第三者として解決することにしているが、最高裁は国による審査請求を認め、さらに審査請求と是正の指示の不当連結という地方自治法の恣意的な運用を認めることにより、地方自治法の基本原則を骨抜きにした。
→国と地方は対等だという地方自治法の基本原則は国民の意思だから、裁判所は国民の意思を踏みにじった。
 ③辺野古争訟により、日本は分権的で民主的な国家ではなく、集権的で権威主義的な国家に近づいている。実はそれこそ現政府が目指している目標ではないか。

 戦没者を冒涜する行為だ

 続いて、具志堅隆松さんが、遺骨混りの南部の土砂を大浦湾埋め立てに使う問題について問題提起した。
 二つのことを話したい。遺骨・土砂問題。辺野古の埋め立てに、激戦地である沖縄本島南部の土砂が使われる。そういう計画を防衛省が出している。もう一つは台湾有事。日本が再び戦争をやろうとしている。
 遺骨の収集。私は70歳だが28歳の時から、遺骨収集に関わっている。見つかった遺骨を身元を判明させて、家族の元へ返してくれと厚生労働省に要求してきた。2018年から沖縄戦の遺骨は全部DNA鑑定することになった。国家が責任を持つと喜んでいたがまったく反対のことを防衛省が言い出した。辺野古の埋め立てに沖縄本島の南部の土砂を使おうと。その計画を知った時に、すぐに反対の声を上げた。そこは激戦地であり、日本兵、朝鮮半島から連れてこられた350人あまり、米兵は220人あまりが行方不明のままだ。
 遺骨を見つけていた場所が翌週行ってみると、採石場になっていた。採石場の業者と私たちが対立するのではなくて、この計画を作り出している大元の防衛省に計画を撤回させるべきだと思っている。防衛省と交渉を続けている。なかなか防衛省は計画を撤回すると言わない。
 この問題は沖縄だけの問題ではなくて、全国の問題であるということで、全国の自治体・議会にも陳情を出した。現在230カ所あまりで採択された。そういう意味ではこれは全国の声になった。全国の議員が知る所となったが、国民が知る所となったわけではない。国民から反対の声が上がってほしい。この3年ぐらい8月15日には靖国神社の前で訴えている。本当は全国戦没者追悼式典が行われる武道館でやりたいがそこは使わせてくれない。
 戦没者の血を吸い込んだ土砂を使うのは戦没者に対する冒とく以外の何物でもない。何もなかったかのように、埋立計画が作られることを国民が知らないことに危機感を抱いている。

 軍隊は住民を守らない

 戦没者を守る行動をしている最中に、防衛省がもっととんでもないことを言い出した。それは台湾有事にかこつけて、沖縄を軍事要塞化するという動きがいまものすごい勢いで進んでいる。沖縄を二度と戦場にしてはいけない、沖縄から自衛隊は出ていってくれ、と声を上げている。戦没者の姿を見てほしい、そして考えてほしい。どうしてこの人たちはここで殺されなければいけなかったのか。私たちがいま同じ目に遭わないと言えるのだろうか。私が基地反対の声を上げているのは私たちが次世代の子どもたちが二度と戦争に巻き込まれないように。そういう繋がりでずっと遺骨収集をやってきている。
 台湾に中国軍が侵攻したら、これを沖縄から日米両軍が中国軍を攻撃する。そのための軍事演習が沖縄では繰り返されている。沖縄から中国軍に対して攻撃を加えれば、沖縄は反撃される。住民が住んでいる。『住民はどうなるんですか』と共同通信の新聞記者が防衛省に聞いたら、防衛省は『私たち自衛隊員は住民を避難させる余力はありません。自治体で考えていただきたい』と答えている。国民保護法では住民の避難は自治体が責任を持つとなっている。それで沖縄県や関係市町村は避難の計画を策定しなければいけなくなっている。一番台湾に近い宮古、石垣、与那国は九州へ避難する。沖縄本島は屋内避難。戦争になったら死になさないと言っていることと同じだ。
 私たちは避難したいとかシェルターに入りたいというわけではない。行政は戦争をさせないことに百パーセントの力を尽くしてほしい。台湾有事の時、戦争の発火点は沖縄だ。その引き金が何かというと、沖縄から中国軍に向かってミサイルを発射することだ。自衛隊は沖縄からミサイルを持って出ていってください。そのことが日本を戦争から守ることになる。本気で戦争を止めよう。

 地方自治体での闘い

 続いて、長南博邦さんが2回にわたる全国議員による申し入れを報告した。2021年6月24日、全国の自治体議員や経験者248人が遺骨土砂を使うなと防衛省・内閣府に対して申し入れた。そして2024年1月25日、辺野古新基地建設設計変更代執行を取り消せと全国の自治体議員や経験者202人が防衛省・内閣府に対して申し入れた。
 全労協と「あつまり辺野古@関東」から連帯のあいさつが行われた。最後に今後の行動が説明された。4月2日「代執行を認めるな、埋め立てを止めよう」署名の提出を最高裁に行い、院内集会・記者会見。4月5日(金)午後6時半首相官邸前行動、4月6日(土)午前11時から、新宿駅南口、辺野古の海を埋め立てるな 沖縄に軍事基地はいらない新宿大行動。4月6日(土)午前中、沖縄現地でオール沖縄が集会を予定。玉城デニー知事も参加予定。連続した闘いが組まれている。参加を。 (M)
 
知事コメント
(代執行訴訟の最高裁判所不受理決定を受けて)

 沖縄防衛局の埋立変更承認申請に関して国が提起した代執行訴訟について、本日、最高裁判所から、昨日29日付けで沖縄県の上告受理申立てを全面的に不受理とする決定を行ったとの調書を受領しました。

 最高裁判所には、地方分権改革以降の代執行訴訟として初めて高裁で判決が言い渡され、終審裁判所としての判断が求められた歴史的重要性や、地方自治の本旨、さらには、沖縄県民の苦難の歴史とその民意を踏まえ、憲法が託した「法の番人」としての正当な判決を最後まで期待していただけに、今回、司法が何らの具体的判断も示さずに門前払いをしたことは、極めて残念です。

 しかしながら、多くの県民の付託を受けた知事として、辺野古新基地建設に反対する私の立場は、いささかも変わるものではありません。

 私は、引き続き、政府に対し、対話によって解決策を求める民主主義の姿勢を粘り強く求め、辺野古新基地建設反対をつらぬいてまいります。

 令和6年3月1日
 沖縄県知事 玉城 デニー

リモートで参加した具志堅隆松さんが遺骨土砂問題などを提起した(3.7)

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