3.16 2024原発のない福島を!県民大集会に1100人

福島を風化させるな

財界及び法曹界の策謀を打ち破ろう

山積する課題の着実な解決へ

 【福島】約束破りの原発汚染水放出が強行される一方、国・県・メディアあげてのALPS処理水安全キャンぺーンが展開され、「汚染水と言ってはならない」と圧力がかかり、異を唱える者には風評加害者だとのレッテルはりさえ行われている中で、3月16日福島市で「2024原発のない福島を!県民大集会」が開かれ、地元の愛宕陣太鼓連響風組の太鼓が鳴り響く中で始まった。

福島の現状と
課題共有して

 角田実行委員長は、「能登半島地震で原発事故が起これば避難も屋内退避もできないことがあらためて示された。福島原発の過酷事故ではコミュニティーが失われ、生業復活は困難を強い続けられている。廃炉のリスクは大きく、再エネ促進には自然破壊の問題も浮上している。海洋放出が強行されたとたん配管洗浄中の労働者がタンクの放射能汚染水を浴び、さらに大量の汚染水が漏れる事故が起きた。県漁連の方は、廃炉が完遂した時点で漁業が存続していることで初めて理解・了解ができると語っている。国の教育への介入など許してはならない、福島の現状と課題を共有し議論しよう」と呼び掛けた。連帯のあいさつとして「さようなら原発1000万人アクション」の落合恵子さんが、想定外は許されない、忘れさせる、忘れていく構造や流れを止めていくことをメッセージビデオで寄せた。

 膨大な汚染物
 たまったまま

 「生産者の思い」を磐城森林管理署職員の佐藤晴夫さん、「生活再建の状況」を福島原発事故津島被害者原告団団長の今野秀則さん、「健康被害の課題」を南相馬市の絆診療所管理栄養士の鶴島綾子さん、「再生可能エネルギー」で会津電力(株)特別顧問の佐藤彌右衛門さんが登壇した。
 一番目の佐藤さんは、次のように語った。森林管理事務所とは合理化前は営林署のこと。森林全体の汚染は50京ベクレル。除染は居住地から20メートル以内だけ。タケノコやシイタケは350ベクレルはある。林野庁は、モニタリングをしているから大丈夫と言っているが、おかしい。今ダムには膨大な汚染物が溜まっている。阿武隈山地の浜通り側に250基も風車がある。1ヘクタールに一つだ。地盤は真砂土であり弱い。様々な対策を東電に任せておいてはいけない、と強調した。 
 浪江町津島地区の今野さんは、住民の生活の現状と裁判の状況を報告。山手線内側の1・5倍の面積9500ha)、450世帯1400人が、自然、歴史、伝統、文化、地域に根差した生活を楽しんでいたのに、原発事故で根こそぎ奪われ、異郷で避難生活を強いられている。家屋は草木に覆われ、野生動物に荒らされ、田畑は森林と化している。復興拠点に7世帯が戻ったが生活機能はない。2021年7月の福島地裁判決は、一人165万円の賠償を認め断罪したが、故郷の原状回復は却下。控訴審では、国の規制権限不行使の違法性、国の作為の違法性、被害拡大に係る国の責任の3点について主張し闘っている。本年内には結審の見込みだ。
 鶴島さんの働く絆診療所は、事故後、原発から18キロ北の小高病院を引き継ぎ南相馬鹿島区に開設された。避難住宅での生活は、閉じこもりも多く、互いのつながりが薄く、寂しく、生き甲斐が感じられず、運動不足であったものを心身ともに温かなものに変えていく「絆一座」の役割を果たそうと2015年に再建された。「食、動、楽」、「教養ある」より「今日、用ある」をスローガンに一人暮らしの弱者、高齢者、障がい者に健康講座と笑いを提供してきた。
 再生エネの会津電力を運営する佐藤弥右衛門さんは喜多方の酒蔵の9代目。会津地方は水力500万キロワットを東京に吸い取られてきた。その上に原発事故だ。飯館村の酒づくりにも協力したが駄目になった。自民党や電力総連が原発を止めないのは、やめれば22兆円もの不良資産になってしまうから。ボーっとしているとチコチャンに叱られるよ!っと、歯に衣着せぬ語りで会場を沸かせた。

集会をリードした
高校生平和大使

 第23代高校生平和大使2人が司会を担い、若者たちからの訴えとして、24・25・26代の高校生が調査アンケートに基づいた若者たちの意識状況を報告した。23代が3・11当時小学1年生で7歳、26代は3歳。事故発生当時を意識し記憶できる最後の世代である。その世代が原発事故を風化させない、微力でも無力ではない、と活動を継続してきたのである。発表者は、いずれも女生徒だった。福島の運動の中で彼女たちが果たしている役割はとても大きい。
 最後に、2024県民大集会アピールを採択し、参加者皆が「ふくしまを風化させるな!」と唱和し、プラカードを掲げて終わった。
 今回の県民大集会では、県農協中央会が実行委員会構成団体から外れるなどの状況もあったが、昨年を上回る1100人が参加し交流した。汚染水放出、自民党の教育介入、廃炉、命と健康を守る活動、生業と生活再建など、課題は山積している。より多くの人々を結集し、支援連帯関係を強めて政財界及び法曹界の策謀を打ち破っていく運動をつくっていこう。(世田達)

「2024福島原発のない福島を!県民大集会」(3.16福島市)

週刊かけはし

購読料
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009  新時代社