フクシマを忘れない! 原発再稼働を許さない!汚染水を流すな! 3・20さようなら原発全国集会
代々木公園に6000人
【東京】3月20日午後1時半から、代々木公園で「フクシマを忘れない!原発再稼働を許さない!汚染水を流すな! 3・20さようなら原発全国集会」が「さようなら原発」一千万署名市民の会の主催で開催され、6000人が集まった。三里塚大地共有運動の会など24のブースも出店された。途中雨が降ったが午後2時頃には上がった。集会では、能登半島で珠洲(すず)原発の建設を阻止し、志賀原発の再稼働に反対する 北野進さんが闘いの歴史と原発再稼働反対の力強い発言をした。
集会の前に、松元ヒロさん(元ザ・ニュースペーパー)がオープニングライブを行った。ヒロさんは、安倍首相が札幌で街頭演説をした時に、野次を飛ばして拘束された市民たちのことを紹介した。「ヤジと民主主義」という本と映画になったこと、その人たちが警察の弾圧を許さず、損害賠償の民事訴訟を行い、一審で勝訴したことなどを紹介した。原発問題でも抵抗し、政府の悪口を言うこと、行動することの重要性をコントで訴えた。
地震大国に原発いらない
司会を畠山澄子さん(ピースボート)がテンポよく行った。落合恵子さん(作家・呼びかけ人)と澤地久枝さん(ピースボート)が主催者あいさつを行った。
落合恵子さんの発言。
「3・11から13年が経った。忘れさせていくシステムが山ほどあるがそれに乗ってはいけない。権力はそれを用意周到に準備して差し出す。それに一度乗ると忘れるシステムを作ってしまう。それが一番怖い。『許さないぞ、この現実を』という意識を持ち続けなければいけない。能登半島地震も忘れてはならない。志賀原発が停止していたことがラッキーだった。2011年から2020年まで全世界で起きたマグニチュード6以上の地震の17・9%が日本周辺で起きている。地震大国に原発はいらない」と訴えた後、裏金問題に揺れる自民党を倒そうと話した。
澤地久枝さんの発言。
「福島原発が爆発していた時に、政治的立場が違ってもこの国は一つになって、原発事故と向き合わなければならない、何とか地球から核兵器と原発が無くなる方向にいかなければならないと思った。しかしいま日本の将来のエネルギー問題を言う時、原発を止めようという人は表面に出てきてものを言ったり、書いたりできないような日本に落ちたと思う。悔しいし何とかしたいと思っている」。
「こんなに皆さんが集まってくれて、これは力になる。私は93歳という年齢になっている。体は不自由になっているが、地球から原発を止める、まず日本が軍備を持たない国に、憲法の原点に返っていく。それを実現したいと思っている。そのために努力する。お互いにがんばっていきましょう」。
汚染水放出を後押しする意見書採択
次に、3月16日から20日まで行われたフクシマ連帯キャラバンから発言があった。福島県いわき市出身の渡辺さんが団長。2011年の原発事故を風化させないために、2013年から三単産、全港湾・全日建・全国一般の青年たちを中心に結成された。北海道から沖縄までの仲間たちが集まった。3月16日福島市で行われた県民大会に参加、津波の跡地の池田小学校への訪問などを回ってきて、福島原発事故の被災の被害が終わっていないことの現実を伝えた。
片岡輝美さん(福島/これ以上海を汚すな!市民会議)
「処理水を汚染水と表現して行った授業があったと報道がなされた。それを知った自民党議員が『科学的根拠もないまま、虚偽の情報を世界に発信している中国と同様であると言わざるをえない。政府に対して、アルプス処理水の安全性を教える出前講座の拡大、教員に対する研修の強化を強く求める意見書』を県議会に提出した」。
「政府が教育に介入する危険性を容認し、後押しをする状況を作ってはならないと意見書の取り下げを求める要請行動、様々な行動を始めた。昨日の福島県議会は自民党議員の意見書を採択し、国が教育現場に介入していく道筋を作ってしまった。その愚かさに怒りがつのる」。
「福島県民は13年間、それぞれの現場で巨大な力に抗い続けている。支援してくれる全国の皆さんの力なしには継続できなかった。珠洲原発に反対した人たちの28年間にわたる抵抗は21年後の私たちの命や暮らしを確かに救った。私たちの日々の闘いが私たちの後に続く命をきっと守ることになる。このことを信じて声を上げ続けていこう」。
続いて、北野進さん(志賀原発を廃炉に!訴訟原告団長)が「能登半島地震と原発」と題して発言した。(次号掲載)
女川原発再稼働反対の闘い
原発再稼働反対運動の宮城県女川の多々良哲さん(3・23女川原発再稼働反対の全国集会の呼びかけ)、東海第二原発、阿部功志さん(東海村村会議員)が発言した。
多々良さんの発言から。
「東北電力は女川原発2号機の安全対策工事を今年の6月に完了し、再稼働すると発表した。これ以上遅れることはないと宣言した。3・11後の東日本で初めて、しかも被災地で被災した原発が動かされようとしている。あの事故を起こした福島第一原発と同じ沸騰水型の原発が再稼働されようとしている。これは宮城県民のみならず全国の脱原発を願う市民全員にとって、非常に重大な局面を迎えている」。
「地震に関する知見がまだまだ乏しい70年代~80年代に設計され、建設された極めて古い原発だ。1995年に運転開始した女川2号機は今年再稼働するとしたら、来年にはすぐに30年が経過する。対策が必要な老朽原発の域に入っていく。福島原発の原因がまだ完全には糾明されていないのに、同じ型の原発を動かしていいのか。この根本的な疑問に誰も答えていない。女川原発の再稼働は極めて危険性が高い。私たちは断固として反対している」。
「いま稼働している15基はすべて加圧水型原発だ。政府が原発30基を動かすというエネルギー長期基本計画を達成するためには、沸騰水型の原発を動かさなければならないのが課題だ。いままで福島原発事故を起こした沸騰水型原発は1基も動かしていない。女川が突破口に狙われている。女川に続いて、柏崎・刈谷、東海第二そして能登半島の志賀原発の再稼働が進められようとしている。全部が沸騰水型原発だ」。
「女川原発は牡鹿半島の付け根にある。能登半島の状況を見れば、もし女川原発で過酷事故が起きれば、牡鹿半島の住民は逃げられないのは確実だ。それにも関わらず、東北電力は全然ためらうことなく、今年の2月、能登半島の惨状を見ながら、女川原発の再稼働をやると言った。絶対に許せない。最後の最後まで徹底抗戦する決意だ。今度の3月23日、さようなら原発全国集会inみやぎを開催する。ぜひ、仙台に来てください」。
阿部功志さん(東海村村会議員)
「原発は絶対悪だと思っている。東海村は1月に、議会の改選があって18人の定数のうち、13人が再稼働賛成だ。5人が慎重または反対。脱原発首長会議の村上前東海村村長の娘さんがトップ当選した。東海村は年末の休みになる直前に、村長が避難計画を発表した。そのわずか5日後に、能登半島地震が起きた。これで避難計画のなさが証明されたはずなのに、計画に不足があるとは考えていない、ただ幹線道路が通行不能となった場合の大綱は重要だ。との山田村長の考え。2月の終わりの記者会見では、村長は複合災害の場合を含めればゼロから検討するしかないとも言っている」。
「しかし、原発事故が起きたら避難は無理だ。避難計画ができない限り、再稼働はできない。最初から動かさなければいいのだ。茨城県が日本原燃に、放射性物質拡散シミュレーションを出させた。新潟県と規制庁がすでにシミュレーションを出している。これと比べてもいい加減な結果が出ている。30キロ圏内に92万人が住んでいる。その避難は無理だというので、17万人で済んでしまうという結果を出させている。知事もそれを後押ししている。水戸市の方に流れていくのに、17万人の中に、水戸市は入っていない。不適切にもほどがありひどいものだ」。
「東海第二原発の運転差し止め訴訟の控訴審が行われている。誰が見ても動かしてはいけない。国はめちゃくちゃだ。合理的な議論をしようとしても、前提が崩れてしまっている。自民党政権を倒さないと、政権が交代しないとどうしようもない。自民党は腐って、反社会勢力そのものになっている。政権を倒すためにがんばろう」。
活断層の上に立つ日本列島と
原発は相容れない
集会の最後に、鎌田慧さん(ルポライター・呼びかけ人)が閉会のあいさつを行った。
「始めた時は9人だったが、大江健三郎さん、鶴見俊輔さん、坂本龍一さん、内橋克人さん、瀬戸内寂聴さん、辻井喬さんが亡くなっている。この13年とにかく原発なくすということでがんばってきた。13年経っても原発があることは犯罪的なことだ。新増設をすると岸田首相は言っているができっこない。コスト的にも電力会社はやりたくない、自然エネルギーに代わった方が全然安い。しかし今使っている原発を使えばもうかる。そのためにのみ原発はやる。自民党は保守党ではなくて反動党だ。日本の未来を踏みつぶす政党だ」。
「私たちの反原発運動は原発から離れていく、さよなら原発する。そして自然エネルギーに転換していくという方針で闘ってきた。政府は40年経った原発を80年もやろうという。阪神淡路大震災、東北の大震災があり、今度の能登半島の大地震があった。60年代原発が作られた頃はもっと活断層がはっきりしていなかった。それからどんどん活断層が発見されてきた。日本列島は四つのプレートに挟まれて、それが動いている。原発が日本の風土・地形に合わないかはっきりした。さよなら原発の力をもっともっと強めていく。そしてとにかくあきらめない。必ず絶対に廃炉にする」。
「稼働すればするほど廃棄物を生み出す。その廃棄物を処理する場所がまったくない。六ヶ所村の再処理工場は27回も試運転を中止せざるをえなかった。とにかく何も出来ていない。無知で無謀なことを自民党政権はやっている。私たちは新しい政治をめざして、力を込めて脱原発に向かって、エネルギーを再生エネルギーにしていく」。
集会の最後に、全員でプラカードを掲げて「フクシマを忘れない! 原発再稼働を許さない! 汚染水を流すな!」と大きな声でシュプレヒコールをあげた。そして原宿・渋谷コースに分かれてデモ行進で、「さよなら原発」を訴えた。(M)
代々木一帯にわたって「フクシマを忘れない」の声響く(3.20)
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