3.10マーチ・イン・マーチ2024

職の保障と平等をすべての者に!

奏でよう移住労働者の声を

現代奴隷労働の温存は許さない

 【東京】3月10日午後、上野公園湯島口に、日本で働く移住労働者とけんり春闘に結集する労組の仲間、また移住者支援活動の市民たちが続々と集まった。移住労働者の春闘のマーチ・イン・マーチ2024だ(主催:同実行委員会)。平等な労働条件を求める取り組みとして1993年から重ねられてきた取り組みがマーチ・イン・マーチに発展して今回は18回目。間に東日本大震災や新型コロナでの何回かの中止を挟んでいる。

低賃金にNO

 今年の行動は、先の集合地点から、内外の買い物客、観光客でごった返すアメ横の大通りを通り抜けるデモ、そして解散地点での集会。参加者は「奏でよう移住労働者の声を!」と大書した横断幕を先頭に、数多くの組合旗や色とりどりのプラカードを携え集合地点で隊列を整え、午後1時30分定刻通りデモに出発した。
 デモはまさに賑やかで元気一杯。きらびやかな羽根飾りをまとった踊り手を先頭に立てたブラジル出身者を中心としたサンバ隊がリズミカルな太鼓演奏で先導して、高らかなコールを休みなく響かせながら進む隊列は、沿道の群集から並々ならない注目を集め、海外の観光客にはスマホを向ける姿もあちこちで見られた。
 今年のコールは、コーラーの呼びかけにデモ隊がイエスかノーかで答えるという、極めてすっきりした分かりやすいものになった。具体的には「ヒューマン・ライツ」「賃上げ」「ユニオン」「ワーカーズ・ライツ」に「イエス」、「奴隷」「永住権取り消し」「首切り」「低賃金」には「ノー」という具合。デモのやり方でも不断に工夫が凝らされていることが分かる。いずれにしろこのコールは、デモの活力を一層引き上げたように見えた。

入管難民法改
悪を許さない

 ところで、このコールの中に「奴隷」と「永住権取り消し」が入ったことには今年の特別な理由がある。この日の行動の後、3月15日に岸田政権が閣議決定した「育成就労」創設を柱にした入管難民法改悪のもくろみだ。
 周知のように現行の「技能実習」制度には、国際的に奴隷制度だと非難されるような数々の問題点が露わになっている。それゆえ移住労働者問題に取り組んできた運動体はこの制度の廃止を強く求めてきた。昨年のマーチ・イン・マーチ2023も、技能実習制度廃止をテーマのひとつにしていた。こうして技能実習制度の見直しは、日本の支配層にとっても避けられない課題になっていた。3月15日の閣議決定はその「見直し」として打ち出されたものだ。
 しかしその実体は、ほとんど看板の掛け替えにすぎず、たとえば「奴隷」的条件の根幹にある転職禁止は基本的に維持されている。また、永住資格を得ている移住者にも、場合によって「永住権取り消し」を可能にする規定も盛り込まれようとしている。要するに、移住労働者を共に暮らす同僚や隣人とは認めず、使い勝手の良い「労働力」としてだけ扱う思想が貫かれているのだ。
 こうして「マーチ・イン・マーチ2024」は、この卑劣なもくろみを絶対許さない訴えとしても設定され、先のようなコールが選ばれると共に、この日の呼びかけチラシには、「『技能実習制度』廃止でも現代奴隷労働の温存は許さない」と題した実行委員会声明が付記されていた。

共生社会実現
へ!共に闘う

 デモ終了地点の集会は、移住労働者の司会の下で始まった。まず神奈川シティユニオンの移住労働者が全員でラテンアメリカの闘争歌二曲とインターナショナルを力強く歌い挙げ、全体を鼓舞。
 そして実行委員会を代表して渡邉洋けんり春闘全国実行委員会共同代表が、この日の行動の意義を確認した。渡邉さんは特に、国会議員のヘイト発言がまかり通るような、移住者使い捨ての歴史を反省できない社会を何としても転換したいと強調、それを明るいデモを実現し街にアピールできた、技能実習制度の実質温存をもくろむ政府の動きも全力ではね返そう、と呼びかけた。
 続いて全統一労組、在日ビルマ市民労組、ゼネラルユニオン、全労協、移住連、交通ユニオン、平和フォーラム、東京清掃労組、東水労、郵政産業労働者ユニオン、全国一般東京労組が次々に発言に立ち、自らの要求実現と共に共生社会実現に向け共に闘う決意を述べた。

岸田政権追い
詰める闘いを

 特に移住連の仲間は、先にふれた政府の動きを厳しく批判、管理しやすい労働力確保にしか関心がなく、共生社会の議論を置き去りにしているかれらを容認してはならないと訴えた上で、入管難民法改悪反対の署名への参加を呼びかけた。これらの発言とこの日の行動を全体で確認しつつ、参加者は最後に団結ガンバローを三唱、集会を後にした。なお主催者からは、この日の行動参加者が250人と発表された。
 政府と入管当局は、ウイシュマさんの死を反省するどころか、ごまかしによる技能実習制度の実質温存を狙っている。危機が積み重なる岸田政権を追い詰め、かれらの策する入管難民法改悪の阻止に向け全力を挙げよう。 (神谷)

「賃上げ!首切りやめろ!」と訴える労働者たち(3.10)

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