投書 次期戦闘機の第3国への輸出解禁に反対する

SM

 ―― 政府は26日(3月26日)、英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機の日本から第三国への輸出を解禁する方針を閣議決定し、国家安全保障会議(NSC)で武器輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」の運用指針を改定した(2024年3月27日・水曜日『東京新聞』朝刊1面)。
 この事件に対する新聞の報道はどうだったか。3月27日・水曜日の朝刊を中心に比べてみた。『朝日新聞』は1面トップ、社説などで批判的に報道した。『東京新聞』も1面トップ、社説(社説は3月28日・木曜日朝刊5面)などで批判的に報道した。『しんぶん赤旗』も1面トップ、主張などで批判的に報道した。『しんぶん赤旗』は市民による抗議行動も報道した。『毎日新聞』は1面トップでは報道せず、社説で批判的に報道した。『神奈川新聞』も1面トップでは報道せず、2面で野党の批判(立憲民主党の批判と「日本維新の会」の「批判」)を報道した。『日刊スポーツ』は社会面の1番下で非常に小さく報道し、コラム(政界地獄耳)で批判的に報道した。『読売新聞』『産経新聞』は、私の誤解でなければ、肯定的に報道した。『日本経済新聞』も、私の誤読でなければ、肯定的に報道したように思える。
 テレビはどうだったか。杉原浩司さんのツイッター(X)は「歴史的な大転換となる戦闘機輸出の決定について報道ステーションはわずか10秒ほど、無批判的に報道。優先順位の判断ができないのは、ジャーナリズムとして失格」「3月26日のNEWS23は、安易な報ステとは異なり、朝の官邸前抗議行動を伝えつつ、戦闘機輸出閣議決定の問題点も指摘。スタジオの藻谷浩介さんは『メリットはお金の話しか思いつかない。平和憲法を持ち自分から手を出さない国というブランド価値を崩すと、かえって安全を損なうのでは』とコメント」と書きこんでいる。なお、3月31日・日曜日の「サンデーモーニング」では「風をよむ」というコーナーで、戦闘機輸出の問題について批判的に報道していた。
 3月26日・火曜日、8時30分から(午前8時30分から)「戦闘機輸出閣議決定反対!勝手に決めるな!首相官邸前緊急行動」が戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会、市民緊急アクションの呼びかけで、80人が参加しておこなわれた。私は参加出来なかったが、インターネットで動画が紹介されている。高田健さん(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会)の発言を紹介したい。そう思ったが、すでに紹介されているので、省略する。
 3月21日・木曜日、武器取引反対ネットワーク(NAJAT)、主婦連合会、日本消費者連盟合同呼びかけで「三菱重工と三菱電機は武器輸出から撤退を!不買運動&はがきアクション記者会見」がプラザエフでおこなわれた。私は参加出来なかったが、インターネットで動画が紹介されている。杉原浩司さん(武器取引反対ネットワーク〈NAJAT〉代表)の、次期戦闘機の第三国への輸出解禁に関する発言を紹介したい。
 「報道でもさかんに報じられてきていますけれども、もう来週のですね、26日(3月26日)に自民党公明党の政調会長の合意を受けて、いよいよ閣議と安全保障会議で日英伊が共同開発していく次期戦闘機を第3国に輸出していけるようにするという、そういう決定をしようとしています。これは本当に最も殺傷能力の高い武器ですね、これが出せるということは、今回は限定すると言っていますけれども、他の武器を出せない理由がありません。ミサイルだろうが、あるいは潜水艦だろうが、基本的に次期戦闘機が出せる以上ですね、他の武器が出せない理由はないわけですね。ですから、すでに小野寺前防衛大臣などは、どんどん追加していけばいいんだということを言っていますけれども、本当に大きな突破口が開かれるということになります」。
 「これがもし実現していけばですね、以前イギリスやイタリアがやはり共同開発した戦闘機、ユーロファイターがサウジアラビアにイギリスから輸出されて、そしてサウジアラビアが2015年からのイエメン内線に軍事介入して多数の民間人をですね、無差別空爆で殺傷したということがあります。それによって世界最悪の人道危機をもたらしたわけですけれども、これと同じようなことが再現されかねない。イギリスやイタリアは中東に輸出するでしょうし、日本も東南アジアに輸出していくと言われています。東南アジアについて言ってもですね、かつて韓国がフィリピンに戦闘機を輸出したしたわけが、それをフィリピンが国内の紛争で使用して、やはり人びとを殺傷しているということが実例としてすでに」。
 「ですから、メイドインジャパンの武器が他国の人びとを殺傷するということに道を開くということで、何としても私たちはこの次期戦闘機の第3国輸出についてもはっきりとノーを言いたいと思っています。あわせていえば、これについて公明党がですね慎重姿勢を示していましたが、今回歯止めが確保されたということで、賛成に転じましたが、岸田首相が提案している歯止めはことごとくまったく歯止めになってませんね。戦闘地域を除外すると言ってますが、じゃあ停戦になれば出せるのか、あるいは戦闘していなくても出した国が戦闘にはいる、あるいは虐殺をはじめるっていうことは、サウジアラビアも含めて、あるいはイスラエルもそうですけれども、もう本当にいくらでもあります」。
 「そうなれば、やはり武器が、日本の武器がですね、使われてしまう。そして、防衛装備移転協定の対象国に限ると言っていますが、これは何の新しい歯止めでもなくて、今の武器輸出もこの前提でやってます。閣議決定を2回やると言っていますが、国会と主権者を完全に無視したもので、本当に独裁的な決定に過ぎないということで、何1つ実効的な歯止めがない中で、公明党がこれに賛成したということについても、強く私たちは批判の声をあげたいというふうに思っています」。
 「もしこの戦闘機が認められれば、先ほども言いましたけれども、今度は12式(ひとにしき)地対艦誘導弾、これは能力向上型として1000キロメートル以上届く敵基地攻撃兵器になりますけれども、三菱重工が愛知県の小牧北工場で今量産にはいっています。こういうものも次々と出せというようなこともすでに軍事シンクタンクの方がたは提言をされています。何でもありになっていく。まさに、これは『死の商人国家』への堕落だというふうに思っています」。
 杉原浩司さんの以上の発言が動画に残っている。
 次期戦闘機の日本から第三国への輸出解禁に反対する。日本はこれでいいのか。自民党・公明党はこれでいいのか。日本人はこれでいいのか。戦後の右翼的大転換と闘おう。
(2024年4月9日)

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