3.23~24 自衛隊駐屯地開設から1年島々を戦場にさせない
なくそう自衛隊石垣島基地
3月23日~24日、石垣島では陸上自衛隊が駐屯地開設を強行してから1年を迎えた。2日間にわたって抗議の取り組みがおこなわれた。「島々を戦場にさせまい 全国がつながろうIN石垣島」は実行委員会主催の集会を新栄公園で開いた。デモでは「自衛隊は基地をなくしてちょうだい」、「ミサイルより外交を」などのコールをあげながら130人が市街地を歩いた。学校が春休みに入り、児童が隊列に話しかけてくる場面に何度も出会った。新栄公園のとなり、旧石垣市役所の建物は解体工事が始まっている。
ゲート前で基
地反対コール
この集会の解散後、川原公民館へ移動し60人ほどで交流会を行った。川原公民館は於茂登岳のふもとにある駐屯地を確認することができる距離に位置していて、煌々と灯るライトがしっかり見える。駐屯地開設計画が持ち上がった時に、地区単位で反対決議をあげた場所が4カ所あったが、2016年の川原公民館もその一つだという。川口真由美さんの歌、ギターなどの演奏もあり、その後2時間ほど発言が続いた。
2日目の3月24日は午前中ミバエ根絶碑のあるT字路交差点(中日本航空ヘリパート敷地近く)から国道87号線を北へ向かい、駐屯地ゲート前にたどり着き、そこで1時間以上抗議のアピールをおこない、最後はゲート前でコールをぶつけた。
市街地デモの警備には警察官が一切入らず、地元で運動にかかわる人々が交通整理を担っていたと思う。1年前のミサイル用機材、車両搬送、弾薬搬送の時の沖縄県警を動員したものものしさと比べるとのんびりした雰囲気にも感じられる。人々の生活のテンポを戦争に断ち切られてはならないと思うと同時に、軍事基地が存在する日常が多くの人の気づかぬままに浸透していく恐ろしさもある。集会に参加しながらも、島々を戦場にさせてはならないという切迫感をどこまで共有できるか、厳しい部分があると感じている。
保守派議員も
基地反対の声
交流会での発言は、初日の集会の発言と重なる部分もあるが紹介する。まず、3月中旬に車両、弾薬の搬入が強行され、開設されたうるま市のミサイル基地への抗議集会の様子と、それに並行して明らかになりつつある陸上自衛隊訓練基地に対する反対運動の様子である。特に訓練場計画については、自民党など保守議員を含めて反発が広がっており、そのことへの高揚した雰囲気は照屋寛之さんの発言からも感じられた。次の日のゲート前では、6月沖縄県議選など選挙がらみの部分もあるのではないかという意見も出されていた。
戦争と災害
対応リンク
今回の行動は、周辺の島々からの参加があって成り立っている。与那国島からは猪俣哲さんが発言していた。
「台湾有事」のかけ声とセットで与那国島が「アイコン」に仕立て上げられ、人口の1割を超えている自衛隊員の浸透の深刻さ、自衛隊基地に関する推進側の約束がすべて反故にされて、電子戦部隊の発足、ミサイル配備を予定されてしまった現状を変えたいと訴えがあった。全島避難計画など目まぐるしさは島の人の生活をどこまで翻弄したらすむのか。ミサイル基地いらない宮古島連絡会の仲里成繁さんは、メロン農家を営みながら日常を壊す基地との攻防を語った。
最近では駐屯地へつながる電線の敷設工事を自治体などにも周知せずに始めてしまっている実態には憤りしか覚えなかったという。戦時体制は民間企業を当然にも巻き込んで住民に何も知らせない態勢を着々と整えていくが、地道な監視、要請が民主主義の崩壊へと全面的に流されない運動の強さを物語る。
地域の軍事化
の動き広がる
清水早子さんも次の日のゲート前で発言していて、宮古神社への自衛隊員の集団参拝、遺体収容訓練、遺体収容袋の搬入などといった事態を常にいち早く伝えてくれる。離れた都市部に住んでいてもこういった発信に答えていかなければならない。
全国からの発言も相次いだ。静岡、岐阜、東京、大阪から継続してミサイル配備の問題点を街頭で継続して訴えている。神奈川からも、横浜ノースドッグの川崎市内で行われた病院での防災訓練の報告もあった。石原慎太郎が自衛隊を出動させた東京都防災訓練以来、戦争と災害対応をリンクさせた試みはエスカレートしているが、南西の島々での動きも逐一注視しなければならない。
基地が環境に
与える悪影響
軍事基地が環境に及ぼす影響についてPFAS汚染の問題に限らないいくつかの発言があった。
カンムリワシの里と森を守る会の山崎さんは、白保に空港建設をつくらせない運動の経験をふまえ、石垣島で裁判係争中の出来事を紹介した。リゾート開発を住民の了承なしに進めている問題である。それぞれ違いはあっても、大規模開発、ゴルフ場などの転用、ずさんな行政手続き、司法の追随など軍事基地に対する異議と共通の課題が浮かび上がっている。与那国島の軍使用を可能にする港湾開発に対して湿地保全のたたかいにも通じる点があるという話に、具体的な説得力があった。
また運動の課題として、非正規、不安定労働に追われる若い世代の問題にどう取り組むかという問題意識を表明する人は何人もいた。宮古島の女性が基地建設の傍らで観光ホテルの建設ラッシュと不動産賃料の高騰、出身者が島に帰ってこられない事情を吐露していた。生活格差と戦争に対する意識をつなげていくことは、あらためて共有すべき課題である。
最近台湾を訪ねた人から、中国という脅威にさらされた台湾の友人から沖縄周辺の米軍基地を肯定する意見を聞くこともあり、丁寧に対話をかさねながら行動を続けていきたいという発言があった。東アジアの中で日本がどういう位置にあるかの意識を深めていくことで、運動の多様性は開けていくものだろう。一方で、環境が違ったとしても、軍事基地に反対する発信への共感は台湾においても得られているという発言が他の人からあった。
韓国からは、継続して映画撮影などを通じて石垣島などに何度か滞在をしに来ているグループが参加していて、韓国の軍事基地に対する闘争の報告もあった。沖縄にも飛来するF35戦闘機などが所属する群山空軍基地、慶尚北道星州などミサイル基地の存在、米国との軍事協定の更新など、日本と共通する問題も多い。「米軍には国境がない。私たちの方こそ、国際的なネットワークを作りましょう」と締めくくられると、参加者は元気になって拍手を送った。
米軍艦の寄港
が強行された
様々な反対を受けて寄港計画を見送ってきた米軍駆逐艦「ラファエル・ペラルタ」は3月11日、南ぬ島ふ頭に接岸寄港を強行した。これに対し、全港湾沖縄地本が抗議のストライキに踏み切った。右派メディアは軍事化を推進する中山市長の発言などをとりあげ、ストライキは市民生活にとって迷惑というキャンペーンをうった。民間の空港、港湾などを軍事に使用する形態、簡便さについては、加速しながら岸田内閣主導の法整備が進んでいる。もちろん港湾などには、管理権を持つ自治体が軍事利用への制限を行使する権限をもっている。市民が行使のし方を十分に知ることが重要である。生活をかけて抗議することの何が悪いか。参加者は、戦争が起こってしまえばみんなが迷惑すると気勢を上げ、島々の要塞化を食い止めるために、連帯を強化することを誓った。 (海田)
ミサイル基地はいらない、石垣島を戦場にするな(3.23~24)
どの島も戦場にしてはならない(八重山毎日新聞/3.24)
軍事強化を担っている海上保安庁巡視艇(3.24)
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