県内市町村の中国での戦争体験記を読む(98)日本軍による戦争の赤裸々な描写
中国侵略の日本軍には、県内各地からも多くの青年たちが動員されて命を落とし、また、戦争の実態を目撃した。県内各地の市町村史の戦争体験記録にはそうした証言が数多く掲載されている。今号で紹介する北谷町の糸村さんは、二度目の徴兵で第6師団の下で、華北・華中へ進軍した様子を証言している。引用は原文通り、省略は……で示した。年号を西暦で補充した。
『北谷町史』第5巻資料編4「北谷の戦時体験記録(上)」(1992年)
糸村昌光
「中国人をガソリンで抹殺」
最初に私が退役したのは昭和八(1933)年。次に召集されたのは昭和十二(1937)年で、支那の中支、北支に回された。そして昭和十五(1940)年には日本に帰ってきた。……入隊は熊本の高谷隊高橋部隊で、連隊長が高谷という人。一週間でだいたい何もかも揃えた。船に馬なども積み込み、戦争の準備のため全然暇はなかった。……私たちのいる6師団は北支のセッカ省を討伐し、集結して司令部からの命令を待った。それから上海、中支、南京を行軍した。
私たちが行軍した地図があったが、破れて失くしてしまった。軍隊手帳は、内地にかえってきた時に空襲で焼かれてしまった。帰って来るまでのこと、支那での行動を全部軍隊手帳に書いてあった。……
日本軍は中尉、大尉などでも一線に出ると後ずさりして、一般兵を前方に向けた。訓練をしてきているのに後退ばかりする。連隊長、中隊長、小隊長でも、満州事変で実戦してきている人もいるけど、ほとんどの人はそうではないから、口ばかり達者で、実際には行動しなかった。二等兵、一等兵、上等兵などは、命令だから一線に出なければならない。……
最近新聞などで、友軍が中国の人たちにずいぶんひどいことをしていたとあるが、私たちがいるころはそんなことはなかった。……
第一線では日本軍は悪いことをしている。本土の人なんか、仕事といって日本刀を持っている。日本刀を買っていくのもいた。中国に駐屯している時など、まだ人を斬ったことがないからといって支那人を集め、試し斬りをした人もたくさんいる。口に出して言えないだけで、日本軍は相当悪いことをしている。
すごいのはガソリンをかけ燃やしたのもいる。敗残兵を捕まえて手を後ろにしばり、並べて座らす。それにガソリンをかけて、紙に火をつけ投げる。すると3分ほどで焼け死んでいた。
そういうのは一般兵が口出しすると大変なことになる。一般兵も言わないだけで、一線ではずいぶんひどいことをやっている。上の人たちが言わないだけで、大分やっていた。
後々のために、事実通り本に書いた方がいい。子供たちに伝えていくためにも。
中国では皆がやっているわけではないけど、南京虐殺とかいうのがよく新聞にある。あれは実際にやっている。また、牛なんか捕ってきて殺して食べていた。それは私たちもやった。
私たちは自分たちが難儀になったら、結局支那人を使ったりした。敗残兵などに煙草2、3本あげて、掃除、洗濯なんかをさせたりした。
日本の工兵たちなんかひどいのになると、丈夫そうな支那人を見つけ、自分は疲れたといって自分の重い荷物を、自分の食事の食べ残しや煙草を吸わせてこき使う者もいた。十日や二十日も一人の人に荷物を持たせて連れ歩く者もいた。寝るのも一緒だった。ちょうど山原の奥から島尻ぐらいの距離まで引っ張り回していた。そんなふうに引っ張り回してから、「お前は家に帰っていいよ」と帰したりするのがたくさんいた。それでも彼らには食事は腹いっぱい食べさせない。
南京虐殺では日本軍は強姦も大分やっている。私たちはガソリンをかけて燃やすのを見たことがある。
それに戦前に武芸・空手なんか習っていた者が、鉄拳で殺すということもあった。首里の人にもそういうのがいた。口に出して言えないだけだ。……
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