4.26同一労働同一賃金裁判

盛岡地裁は髙橋さんの請求を棄却

 【岩手】労働条件の格差とその解消をめぐる最高裁の判決は従来原告側にとって厳しい判決が多いため、今回の裁判についても原告に不利な判決が出るのではないかと危惧されていた。結果は予想以上に厳しく、今回の地裁判決では裁判長の判決は「原告の訴えをすべて棄却する。内容は文書で伝える」という主旨で、十秒ほどで終わった。

原告の訴えを
不当にも棄却

 髙橋さんは厚労省のパート・有期労働法のガイドラインを精読し、この内容なら100%自分にも当てはまると確信した上で裁判を闘ってきた。しかし地裁は、他の事務系正社員と比較して、明らかな労務内容の違いがあるとする被告側の主張を信用した。

差別を認めさ
せる判決だ!

 証人尋問の時、被告側の証人は他の営業所の事務員が髙橋さんより大きな権限を持った労務もしていたとの情報を他の営業所の所長から聞いたと証言した。しかし、反対尋問のなかで一つの営業所所長の話であることが明らかになりそうになり、被告側弁護士に「他の営業所も同じだったのではないですか?」と念を押されて力なく肯定する現場を私も見ている。
 パート・有期労働法の目的は、言うまでもなくパート・有期労働者の多くが差別的な待遇を受けていることを是正することであろう。第8条では、「待遇に不合理な相違を設けてはいけない」とある。しかし今回の判決に従うなら、この法律の目的は「わずかな違いをあらさがしして、合法的にパート・有期労働者の置かれている差別的現状を当該労働者に認めさせる」ことになるだろう。わずかな差が仮に事実だとして、そのときは大きな待遇の違いが許されるかと言えば、この法律の10条、「通常の労働者との均衡に考慮する賃金を決定するよう努める」は文字通り努力義務になっている。つまり許される。
 このように、パート・有期労働法はいまや、「ざる法」になりかけている。われわれはこの法律そのものも問題にして、より安定した労働環境を実現するために何が必要か社会的に働きかけていく必要がある。

控訴して闘う
原告に支援を

 5年を過ぎて期限のない労働者(すなわち「通常の労働者」)になったのに、全く法的保護がないままに従来の「正社員」と給与が大きな開きのまま放置されている者が今どんどん増えていることも忘れてはならない。
 政府が賃金上昇・同一労働同一賃金など労働条件の改善を「本当に」求めるなら、手っ取り早い有効な方法は、政府・文科省が自ら職場に労働組合が必要であることを訴え、学校現場でもその必要性を子供たちに教えるべきであろう。そのような政府が必要だ。
 髙橋さんは直ちに、控訴する意思を表明した。引き続き支援を!  (S・T)

非正規労働者の差別許さない、盛岡地裁前でアピール(4.26)

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