重要経済情報秘密保護法案に反対する!4・19院内集会
経済安保法に異議ありキャンペーン
【東京】4月19日、経済安保法に異議ありキャンペーンは、 衆議院第二議員会館第1面談室で「重要経済情報秘密保護法案に反対する!4・19院内集会」を行った。「秘密保護法」廃止へ!実行委員会、共謀罪NO!実行委員会 の共催。
重要経済安保情報保護法案は、4月5日の衆議院内閣委員会、8日の衆院本会議で強行可決された。自民党、公明党、立憲民主党、日本維新の会などが賛成し、共産党、れいわ新選組、有志の会(中道・新保守)が反対した。立憲民主党は、「国会による監視を求める修正案」などを指摘した修正案が受け入れられたので賛成したことを表明している。
法案は、衆議院の論議において①重要情報の定義や範囲が不明 ②情報の指定件数、適性評価の対象者数が不明 ③「政府から独立した監視機関」を設置せず、恣意的な運用の危険性があることなどが浮き彫りとなった。
とりわけ適性評価制度の導入によってサプライチェーンや基幹インフラ、先端技術の研究開発などへ幅広く拡大し、秘密や重要情報に携わる担当者の家族、信用情報、病歴、飲酒の程度まで調べ上げる。まさにプライバシーの侵害を合法的に強行突破しようとしている。このような人権侵害を許すわけにはいかない。
衆議院で明らかとなった欠陥法案に対して参議院でも徹底審議し、廃案に向けて取り組んでいこう。
集会は、海渡雄一さん(秘密保護法対策弁護団) 、青木理さん(ジャーナリスト)、佐高信さん(評論家)の対談によって法案の危険性、問題点を指摘した。
なぜ立憲民主党は賛成するのか
海渡さんは、「経済秘密保護法案 参議院における審議の課題 危険な人権侵害の本質がますます明らかに」というタイトルで「法案による秘密指定の範囲は限定されていない」「すべてが、運用基準にゆだねられている」「軍事とかかわりがなかった研究者や技術者がある日突然適性評価の対象に」について批判した。
そのうえで「悪法が制定されようとするときに、これに反対するか、少しでも毒の少ないものに変えようと努力するか、とても難しい判断である。しかし、野党の支柱である立憲民主党が反対の旗を掲げなければ、労働組合も、市民連合も、反対に立ち上がることができない。大きな市民集会やデモもできない。人々に、法案の問題点を伝えることができないまま悪法が制定されることとなる。
特定秘密保護法も、共謀罪も、未だ猛威を振るうような状況になっていない。それはなぜだろうか。野党と市民が共同して大反対した記憶が残っているからだ。反対の声が広がらないまま、成立した悪法は、ただちにその正体を現すだろう」と強調した。
公安警察のえん罪事件が多発か
青木さんは、経済安保情報保護法の先取りとして公安警察による大川原化工機えん罪事件を取り上げた。
「大川原化工機の顧問弁護士である高田剛さんは、今回の事件で警視庁公安部が『事件に飢えている』ということを言ってました。つまり、公安は途中で見立てが間違っていたことには捜査幹部も気づいていた。だが警視庁内で『この事件をやってます』と公言し『やめます』と言えない状態になってしまった。典型的な組織の悪弊の現れだ。公安は、かつて『反共』を最大のレーゾンデートルとしてきたが、冷戦体制の崩壊などに伴って、近年はまさに外事部門を新たな存在意義に位置づけて組織を拡大してきた。安倍政権では公安部門出身の警察官僚が官邸で枢要な地位を就き、戦後例を見ないほど政権と警察が一体化した。その政権が『経済安保』の旗を振り、新たなレーゾンデートルを誇示したい公安部が食いついたということだ」。
「民間に拡大する治安法である経済安保情報保護法案が国会に出されました。公安警察の権限も恐ろしく広がり、第二、第三の大川原化工機事件が起きかねない。さらにリーク頼みのメディアの問題を指摘せざるをえません。刑事事件であれば被疑者、被告人の主張や訴えもきちんと伝えていく作業は重要だ。メディア、公安警察、人質司法などの刑事司法の歪みを正していく必要がある」と述べた。
佐高さんは、「経済安保情報保護法を最も制定したいのは誰か。アメリカの中国排除を声だかに叫んでいるのが自民党の甘利明・高市早苗だ。だからこの法案を『甘利明・高市早苗』法案だと名付けた。中国やロシアを敵視する経済安保は軍事法である。何が秘密かを国家が決めるという意味で沖縄密約の西山事件を想起させ、戦争のために電力を統制した電力の国家管理法をも連想させる。2018年に中小企業の大川原化工機の社長らが無実の罪で突然、警視庁公安部に逮捕されたのが経済安保の未来だ。利権を確保し、自らの利益しか考えない連中を許してはならない」と訴えた。
続いて参加した国会議員の杉尾秀哉さん(立憲民主党・参議院 )、福島みずほさん(社会民主党・参議院)、 大椿ゆうこさん(社会民主党・参議院 )、井上さとしさん(日本共産党・参議院)から発言が行われた。
最後に日本新聞労働組合連合(「経済安保情報保護法案に反対する」)、日本マスコミ文化情報労組会議(「重要経済安保情報保護法案の廃案を求める」)の声明が紹介された。
(Y)
対談に臨む海渡さん、青木さん、佐高さん(右から 4.19)
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