5・11祝園ミサイル弾薬庫はいらない学習会
戦争のための補給拠点はいらない!
祝園ミサイル弾薬庫問題を考えるネットワーク
【京都】京都府南部精華町のむくのきセンターで5月11日、京都・祝園(ほうその)ミサイル弾薬庫問題を考える住民ネットワーク主催で開かれた学習会には、地元以外で周辺の自治体(大阪枚方市・交野市、京都木津川市・宇治市・京都市、その他関西地域)からの参加を含め、300人が参加した。2月に開かれた同様の学習会の参加は200人だったようだ。のどかな田園地帯の会場の前では、右翼の街宣車が2台、住民ネットワークを非国民といって口撃していた。
京都府精華町
精華町には、陸上自衛隊の弾薬庫をもつ祝園分屯地がある。ここは近畿圏の中央に位置し、交通アクセスにも恵まれている。面積は約470ヘクタールで、東京ドーム約100個分に相当。戦時中は旧陸軍の弾薬庫として使われ、「東洋一の弾薬庫」とも呼ばれた。戦後の米軍接収期には、朝鮮戦争の補給地になったとされる。京都、大阪、奈良の3府県にまたがる関西文化学術研究都市の中心地で、町内には多くの企業の研究施設や国立国会図書館関西館が立地する。
祝園弾薬庫は、大阪府枚方市禁野にあった陸軍の代替施設としてつくられた。禁野火薬庫が1939年大爆発を起こし、100人近くの死者・全半壊家屋821棟の大被害が発生。精華町は丘陵地帯の人口も少ない地域で、入り組んだ浸食台地の形成により、万が一事故が発生しても被害が最小限に抑えられること、火薬を製造していた陸軍宇治火薬製造所が近くにあることなどの理由で代替地として選ばれたという。
102億円の予算で弾薬庫を整備
防衛省は反撃能力(敵基地攻撃能力)や、補給を切らさない継戦能力を保有するのに伴い、取得するミサイルや弾薬の保管場所を確保するために、今年1月、祝園分屯地を整備する計画を明らかにした。2024年度予算では祝園分屯地内にある関西補給処祝園弾薬支処の火薬庫を8棟増設する設計・工事費102億円が予算化された。
日本全土130箇所に長距離ミサイルを配備するとの政府の計画の先頭を切っているのが大分県敷戸と祝園である。祝園弾薬庫は本州の陸自弾薬庫施設では最大級の規模で、海自と共同使用することが決まった初のケースとなった。南西諸島や九州だけでなく、本州でも有事に備えた補給拠点として整備される。3文書の一つの防衛力整備計画(23~27年度)は、敵の射程圏外から攻撃できる長射程ミサイルの整備に、前回計画の25倍に当たる5兆円を投じ、弾薬・誘導弾も2倍の2兆円分取得するという。
特に海自は、イージス艦に搭載する米国製巡航ミサイル「トマホーク」最大400発や、多数の新型迎撃ミサイルを取得するため、火薬庫不足が課題になっている。京都にはイージス艦2隻が配備されている舞鶴基地(舞鶴市)がある。祝園から舞鶴まで、弾薬は陸上輸送されるという。
軍民分離が原則の国際人道法
学習会では、西岡信之さん(元沖縄国際大平和学非常勤講師)が講演した。西岡さんは、沖縄戦の教訓(軍隊は住民を守らない・軍隊や軍施設の近くは攻撃の標的になる)、第1次大戦後のパリ不戦条約、第2次大戦後の国際人道法の形成とその展開について語り、軍民分離が文民保護の原則であると述べた。
「沖縄戦では軍民混在で、多くの住民が犠牲になった。2027年までに戦争する前提で防衛省・自衛隊は動いている。逃げ場のない区域を圧倒的な軍事力で破壊すれば、国際法違反のジェノサイドが起きる。南西諸島や沖縄島を舞台とする戦闘が起きた場合のことが危惧される。ジュネーブ追加第1議定書は住民保護について述べ、住民保護に当たる部隊を専任部隊としてつくることを規定している。この部隊は武装していてはいけないとされている。与那国の町長は今年の改憲集会に参加し、交戦権の復活を訴えた。とんでもない人が選ばれたものだ。沖縄住民の闘いが、沖縄うるま市の陸自訓練場建設計画を断念させた。軍事施設が住宅地の近傍に位置することは、危険この上ない。これは保革を越えた問題だ。祝園でも、絶対に認めてはいけない」。
3者確認書
講演に続いて、Q&A形式で、祝園弾薬庫問題の焦点について説明があり、講演と合わせて質疑討論があった。その中のひとつに触れておきたい。
それは、1960年2月26日付で当時の精華町町長・防衛庁大阪建設部長・陸上自衛隊中部方面幕僚長の三者が交わした確認書についてである、その内容は「核兵器は将来にわたり貯蔵しない」という住民の要望に防衛庁側が「了承する」と答え、さらに「貯蔵施設の拡張はしない」、「現施設の貯蔵能力以上の貯蔵はしない」、「増加する場合は事前に町側と協議する」となっている。
木原防衛相は今年3月の国会でこの確認書の有効性を否定したが、会場から発言した弁護士は、印と割り印まで押されている書類が有効であるのは明確だと発言した。
最後に行動提起として、住民説明会を要求する署名集め、祝園問題の拡散、8月25日大学習会への参加を訴えて終了した。 (T・T)
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