6.15大阪:中北龍太郎さんを偲ぶ会
市民運動、労働運動、弁護士、知人など160人以上が参加
【大阪】昨年12月に亡くなった中北龍太郎弁護士の偲ぶ会が6月15日、大阪・PLP会館で開かれた。生前の中北さんの活動範囲の広さを反映して、市民運動や反戦運動を共に担った仲間や労働組合活動家、弁護士仲間、政党関係者、知人など160人以上が参加し、会場は満杯となった。ご遺族からはお連れ合いの中北ひとみさんと娘さんが参加された。
中北さんは、関西共同行動代表、しないさせない戦争協力関西ネットワーク共同代表、止めよう改憲おおさかネットワーク共同代表、米軍Xバンドレーダー基地反対近畿連絡会共同など、さまざまな運動の結節点となる要職をいくつも務め、まさに関西の市民運動の代表的人格であったとともに、狭山裁判弁護団事務局長を務めるなど本職の弁護士活動においても、平和・人権・反差別、労働者の権利擁護のために生涯をかけて尽力してこられた。偲ぶ会では、中北さんとともに活動してきた人々により、活動への献身ぶりが紹介されたが、同時に中北さんが活動の中で見せたさまざまな側面についても語られた。
共に進めた
闘いの紹介
偲ぶ会は、増田京子さん、三橋秀子さんの司会で始まり、冒頭に主催者を代表して、関西共同行動の古橋雅夫さんが「中北さんとは反戦運動を通じて40年来の付き合いがあった。『中北龍太郎の配下』と名乗ると、それだけで十分通じた。追悼集には91人の方から原稿をいただいた。思い出話を存分に語り合っていただきたい」とあいさつした。続いて、呼びかけ人を代表して4名の呼びかけ人からあいさつが行われた。
服部良一さん「追悼集の前書きでは、裁判、3回の国政選挙へのチャレンジ、市民運動の3点について書いた。裁判では、特に沖縄で米兵に轢き殺された海老原鉄平くんの裁判で、損害賠償の判決をかちとったのに米軍がそれを無視して4分の1程度の見舞金しか渡さなかったことへの怒りが、その後の日米地位協定改定の戦いの先鞭をつけたことが心に残っている。1995年には当時の『平和・市民』から参議院全国区に立候補、2001年と2003年には社民党公認で大阪19区と9区から立候補された。今の国会の状況は大政翼賛会的でひどい。この中で、前書きの最後の部分を読み上げてあいさつを終えたい。こんな重要な時に、戦いの現場に中北さんがいないということがとても信じられない。中北さん、今からですよ、一緒に闘うはずだったんでは!』と何度も脳裏をめぐる。いちばん悔しいのは中北さんだろう。残された我々が力をふり絞るしかない。これからも中北さんと一緒に最後まで歩んで行くのだ。中北さん、長年ほんとうにありがとうございました」。
杉村昌昭さん「中北さんとの付き合いは三里塚闘争の救援闘争の中から。1980年には『民衆の表現の自由を確立する会』を一緒に立ち上げた。酒や遊びも含めて、家族ぐるみの付き合いだった。彼の社会的正義感の強さの起源は何か、『会った』ときに聞いてみたい。自分のやりたいことを人生かけて全うした大往生だった。最後に、彼へのレクイエムとして、シャンソン『ロマンス』を歌いたい」。杉村さんはフランス語と日本語の歌詞で『ロマンス』を歌い上げた。
弁護士活動の
エピソードも
小山帥人さん「今日は樺美智子さんが殺された日。国会内に突入したときの『戦争を止めたい』という思いが日本の派兵を止める力になってきた。最近のきな臭い状況を中北さんはなんとか打開しようとしていた。1980年頃にテレビの取材で中北さんの事務所を訪れ、ビラまき逮捕事件のコメントをもらうときに『短くお願いします』と言って怒られたこともあった。弁護士というだけでなく、関西の市民運動の中心的存在だった」。
永嶋靖久さん「一時期お付き合いが深く、公安から『お前は中北事務所のイソ弁か』と言われたことがあるほどだった。徳島地裁で、関生が被告の事件で、仙谷由人と中北さんが組んで弁護した時の迫力あふれる姿は忘れられない。彼の憲法へのこだわりは、疎開先で生まれ、周りから戦争体験を聞かされていたこともあったのではないか。一生かけて戦争への動きに抵抗してきた人だった」。
さらに東京から駆けつけた部落解放同盟中央本部の安田聡さんがあいさつに立ち、中北さんが狭山弁護団事務局長として第3次再審闘争を中心的に担ってきたこと、石川さんの支援集会には全国どこでも駆けつけてこられたことを述べ、「石川さんの冤罪を晴らすために全力で闘い、勝利の報告を中北さんに届けたい」と決意を語った。
逸話の数々も
会場を和ます
このあと、馬場徳夫さんの発声で献杯を行い、中北さんの生前の姿が映像で流される中、歓談と参加者からの発言に移った。呼びかけ人、遠方からの参加者、弁護士関係、友人、労働組合・市民運動の仲間、地方議員、大椿ゆうこ参議院議員、総選挙予定候補者のながさき由美子さん、尾辻かな子さんなど、多くの参加者が発言した。弁護士事務所をともに担った元事務職員の方からは、昼食には事務所で「愛妻弁当」をいつも美味しそうに食べていたとのエピソードが紹介された。
最後にご遺族を代表して、妻の中北ひとみさんがあいさつに立った。「皆さんを驚かそうとミュージックスクールに通って、カラオケを習っていた。その講師の方がかつての依頼者の娘さんだった。カラオケを披露する機会がなかったのは本人も残念がっていると思う」というサプライズな逸話が紹介され、会場全体を和ませる場面もあった。松岡幹雄さんが閉会のあいさつを行い、偲ぶ会は盛会のうちにお開きとなった。(T)
中北龍太郎さん偲ぶ会(6.15)
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