6・15強行採決7年─監視社会にNO!
【東京】6月15日、「6・15強行採決から7年 改めて共謀罪を問う集い─監視社会にNO!を─」が文京区民センターで行われた。集会は共謀罪NO!実行委員会、「秘密保護法」廃止へ!実行委員会、許すな!憲法改悪・市民連絡会、日本マスコミ文化情報労組会議(МIC)、共謀罪対策弁護団、秘密保護法対策弁護団、日本消費者連盟、憲法会議の共催。
共謀罪は適用できない力関係にある
2017年6月15日、 安倍政権は、グローバル派兵国家建設の一環として共謀罪(「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画」を処罰する罪)を新設する組織犯罪処罰法を制定した。この治安法は、近代法の既遂処罰が原則という法体系を国家権力の恣意的判断で、未遂でも罰することをねらい、言論の自由、結社の自由、通信の秘密、基本的人権の破壊、サイバー弾圧など民衆の日常生活まで処罰対象を広げようとする現代版治安維持法だ。制定から7年、同罪は民衆の厳しい監視下にあり、いまだに適用していない。だが2022年に共謀罪の対象犯罪を拡大し、いつでも適用しようと狙っていることは明白だ。この間でも経済安全保障上の機密情報を扱う民間人らを身辺調査するセキュリティー・クリアランス(適性評価)制度の導入を柱とした重要経済安保情報保護法を5月10日に成立させた。岸田政権は米軍とともに派兵国家化構築へと加速している。この流れをあらためて検証し、反対運動に向けたステップとして集会を行った。
問題提起が以下の3人から行われた。
集会の最後に、許すな!憲法改悪・市民連絡会、共謀罪対策弁護団からアピールが行われた。 (Y)
清水雅彦さん(日本体育大学教授・憲法)
「共謀罪と監視社会」
「街中、歯止めのない監視カメラ、防犯カメラの設置によって民衆のプライヴァシー権・肖像権が侵害され続けている。警察・検察は令状のみならず捜査関係事項照会書で簡単に各種情報を入手している。さらに各種ポイントカード、IC乗車カードの個人・利用情報、各種店舗の防犯カメラ映像を好き放題で入手している。携帯電話・スマホの位置情報入手には令状が必要なためゲーム会社から入手している。すべての市民の監視のためにあらゆるツールによって情報データを積み上げている。
これらの基礎活動によっていつでも共謀罪、重要経済安保情報保護法などの治安法適用をねらっている。オーウェルの『ビッグ・ブラザー』型監視社会からフーコーの『パノプティコン』(監視施設)型規律社会、ドゥルーズの環境管理型社会(権力に全て操作された人々)に向かっているのかもしれない」。
つまり、「『監視の下での自由』(現代の安全性や利便性のために自ら望んで監視の対象になる)、『空間の自由』(設定された空間の中で自由に振舞っているにすぎない)にどう抵抗するか。『家畜を管理するみたいに人間を管理するシステム』の中で『動物的』に生きるのか否かとして問われている」。
小倉利丸さん
(JCA─NET理事、盗聴法に反対する市民連絡会)
「能動的サイバー防御と通信の秘密」
小倉利丸さんは、「能動的サイバー防御と通信の秘密」から「能動的サイバー防御」を批判した。
「岸田政権は、国家安全保障戦略で『サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させる』として『重大なサイバー攻撃のおそれがある場合、これを未然に排除し、また、このようなサイバー攻撃が発生した場合の被害の拡大を防止するために能動的サイバー防御を導入する』と宣言した。『サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議』(6・7)では通信の秘密に対する介入、法的整理などの意見が出ている。つまり、高度な侵入・潜伏能力に対抗するため、政府の司令塔機能、情報収集・提供機能の強化を官民連携によって行っていくということだ。そして、悪用が疑われるサーバー等の検知には『通信の秘密』を最大限に尊重しつつも、通信情報の活用が不可欠だと述べている」。
このような野望に対して「サイバー領域を自覚的にとりいれた戦争の新たな定義、戦争放棄の新たな定義が不可欠である。殺傷行為そのものに加えて、銃後に関わる領域(『集団の構成員に対して、動静を把握したり、プロファイリングを行うこと』、『憎悪の扇動やヘイトスピーチ』、『生活インフラのシステムの破壊』、『集団の強制的移送、排除を意図した行動をとること』、『国民として束ねて動員するイデオロギーと統治の制度』)を戦争概念に組み込むことが必要だ。『自衛権』を含む一切の戦争と戦争を可能にする統治構造を認めない」ことだ。
原田富弘さん
(共通番号いらないネット)
「スマホへのマイナンバーカード機能の搭載と監視」
「マイナンバー制度は、個人を識別特定し個人情報を分野を超えて生涯ひも付ける社会基盤を構築していく危険性がある。警察や公安機関は、刑事事件の捜査、その他政令で定める公益上の必要(破防法、組対法、国際捜査共助、犯罪収益移転防止等)があるとき利用が認められている。だから警察による恣意的な利用が拡大していく可能性がある」。
「運転免許証とマイナカードの一体化(希望者のみ)が本年度中に開始しようとしている。マイナカードに運転免許証情報を記録し、警官がリーダーで読みだし運転資格を確認する。あわせて、都道府県警察が管理する運転免許や相談情報を警察庁の警察共通基盤に一元化することをねらっている。つまり、マイナンバー制度の治安的利用の可能性が高まっており、共謀罪により刑事事件捜査と公安調査の境界が曖昧になっていく。『身辺調査法(経済安保版秘密保護法)』により内閣府に適性評価の一元的な調査機関新設も準備している。市民監視の強化の流れを止めなければならない」。
岸田政権による戦争国家化、監視社会を厳しく批判(6.15)
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