三里塚・疑問だらけの空港会社の裁判書面

巨大開発(成田空港拡張)の横暴にNO!を
横堀農業研修センター裁判を支える会
7.1チラシ転載

 以下のチラシは、7月1日、横堀農業研修センター裁判第3回裁判(千葉地裁601号)に向けて、千葉県庁前で配布した。被告は、チラシで整理しているように空港会社の「杜撰な裁判書面」「円卓会議合意」違反などを厳しく批判した書面を裁判所に提出した。(編集委)

 昨年(2023年)8月2日、成田国際空港株式会社は、空港の東に隣接していた横堀農業研修センター(以下「研修センター」)の地権者に対して、土地の売り渡しと建屋の撤去を要求する裁判を、千葉地裁に起こしました。
 研修センターは、三里塚闘争連帯労農合宿所として1977年に開所して以来、45年以上にわたって、巨大開発や強者のゴリ押しによる生活破壊や人権侵害を問い続ける場として活用されてきました。
 現在、研修センターの建物が建っている土地は、一坪共有運動によって複数の地権者で共有されています。

ひとつの土地に複数の地形図

 この裁判では、空港会社から香山新田字安戸台125番地(一坪共有地はその一部)の地形図が、いくつも提出されています。
 ところがその地形図を見比べていくと、図面ごとに地形がバラバラです。(大きく分けて3種類)
 左側に上辺の長さを基準にして縮尺をあわせて並べてみましたが、一見して形も大きさも違うことが分かります。
 私たちは一坪共有地の場所(以前は住宅地)が分筆された1954年からの歴史的な経緯をたどり、A図が一番正しいと考えていますが、どうやら空港会社は、B図で裁判を進めたいようです。
 では、C図は何なのでしょうか。

勝手に変えられた番地

 この125番地の土地の一部が 125─1番地として分筆されて一坪共有地として運営・管理がされてきました。今も 125─1番地で研修センターに郵便も来れば、電気の契約も結んでいます。
 ところが空港会社は、この土地の共有者には無断で、勝手に番地を125─3番地に書き換えていました。
 何故、そのようなことができるのか、空港会社に問いただしても、まともな説明はなされません。
 さらに空港会社が提出した書類を見ていくと、図面によって境界の長さに違いがあったり、建物に関する誤認があったり、本当に現場に来て調査・測量を行ったのか疑問が出てくることばかりです。
 このような杜撰な図面資料で、土地の所有に関する裁判を進めようとする空港会社からは、何でもいいから周辺の土地を買い占めてしまおう、という極めて乱暴な態度しか見えてきません。

円卓会議合意の約束違反

 この裁判で最も重要な点は、1994年12月10日の円卓会議合意で得られた約束を、空港会社が反故にしていることです。
 円卓会議は、本裁判の当事者である三里塚芝山連合空港反対同盟(熱田派)と空港公団(当時)とが、裁判などの司法制度によらず直接の話し合いの場で問題を解決しようと設けられたものです。
 円卓会議の場には、空港公団総裁(当時は中村徹氏)だけでなく、運輸大臣や事務次官という行政のトップも参加して、過去の強制的・暴力的な空港建設に対する反省を踏まえた発言がなされていました。
 そして合意事項には「平行滑走路の整備については、あらゆる意味で強制的手段が用いられてはならず、あくまで話し合いにより解決する」ことが明記されました。
 この合意事項を受けて、現在でも成田空港のホームページには「これまでの空港づくりの反省の上に立って、誠意をもって話し合いを行うことにより、用地の取得や騒音移転の問題の解決に全力を尽くし」(円卓会議終了後の展開)と掲げられています。
 空港会社は、この合意には民事訴訟の放棄までは入っていないと強弁していますが、“あらゆる意味”に例外があるとは話し合われていません。
 なにより、ハッキリ明文化している“話し合いによる解決”に関して、この裁判を提訴するにあたって、空港会社は、土地の地権者に対して一度も相談・交渉を模索したことはありません。

 私たちは、田村明比古・現空港会社長は円卓会議の合意をどのように引き継いでいるのか、法廷に出てきて説明するように要求しています。
 しかし、空港会社からの回答は、田村社長は円卓会議の場にはいなかったので知らない、法廷には来ない、というものです。
 こんな無責任かつ乱暴な空港会社が、今、1000ヘクタールを超える(空港敷地が約2倍になる)面積の田畑や谷を埋め、山を切り崩し、1000戸もの住民に移転を迫る巨大な環境破壊工事を行おうとしています。一度破壊された自然や人の生活は、容易に取り戻せるものではありません。
 この空港会社の土地売り渡し裁判の杜撰で乱暴なやり方に対して、私たちは徹底的に抵抗し闘っていきます。是非、みなさまのご支援・ご注目をお願いします。

連絡先/〒151―0061 東京都渋谷区初台1―50―4―103 一般社団法人三里塚大地共有運動の会/横堀農業研修センター裁判を支える会
電話 03―3372―9408 /FAX 03―3372―9402

ゆうちょ振替口座/口座記号番号 00130―6―697201/口座名称 一般社団法人 三里塚大地共有運動の会

横堀農業研修センターは、「125─1番地」だ。空港会社は勝手に番地さえも変えようとしている。

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