7.2「在沖米軍による沖縄の少女への性暴力および政府による情報隠蔽に対する抗議スタンディング」
外務省への抗議行動
呼びかけ:アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)、
アジア女性資料センター(AJWRC)、ふぇみん婦人民主クラブ
【東京】7月2日午後6時から、 外務省正門前で「在沖米軍による沖縄の少女への性暴力および政府による情報隠蔽に対する抗議スタンディング」がアクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)、アジア女性資料センター(AJWRC)、ふぇみん婦人民主クラブの呼びかけによって行われた。怒りと熱気に包まれた行動に、女性たちを中心に350人が集まった。呼びかけ団体として全国から120以上が集まった。
情報隠蔽を許さない
今回の行動について、主催者が以下のように訴えた。
2023年12月、在沖米空軍兵長による少女への性暴力事件が起こり、2024年3月には、那覇地検が不同意性交等の容疑で起訴していたことが6月25日の報道で明らかになった。外務省は遅くとも起訴がなされた3月27日までには事件を把握していたにもかかわらず、沖縄県に情報を共有していなかったことが明らかになっている。このほかに今年1月から5月末までに少なくとも3人が不同意性交罪容疑で摘発されたと報道されている。
わたしたちは、日本政府が「被害者のプライバシー」をもちだして県との情報共有を怠ったことに強く抗議します。被害者のプライバシーに配慮しつつ情報を自治体・市民と共有することは可能であるばかりでなく、あらゆるジェンダー/性暴力を根絶するためにも不可欠です。今回のことは、選挙における争点化を避けるための隠蔽としか考えられません。また基地に関わるジェンダー/性暴力の実態を見えなくさせるものです。
米軍による性暴力を国家安全保障のために容認し続けている日米両政府に抗議し、被害者のプライバシーを口実とする情報隠蔽の責任を追及します。
福島みずほ議員が外務省とのやり取りを説明
最初にふぇみん婦人民主クラブが行動の趣旨を述べた。
次に午前中に外務省と防衛省に抗議文を提出した福島みずほさん(社民党・参議院議員)が「外務省の事務次官は起訴された日に、エマニエル米駐日大使に抗議している。SACO合意に基づいて事件があったら、通報すると1997年に決めている。それにも関わらず沖縄県に通報しないことはおかしなことだ。知事も県民も知らない。もし公表して、事件を起こさない取り組みをしていたら、第二の事件も起きなかったかもしれない。被害者の名誉とプライバシーを尊重するために明らかにしなかったと釈明したが、こうした理由によって事件が隠蔽されていく」と強く批判した。
沖縄から高里鈴与さんが怒りの訴え
基地・軍隊を許さない行動する女たちの会の高里鈴代さんが沖縄から電話で訴えた。
「日本の刑法が201
7年に改正され強姦罪は親告罪でなくなったが、事件を取り下げると米兵の罪は軽くなる。日本の刑法と日米地位協定のはざまにあって、沖縄で被害に遭う女性たちは人権が守られていない。6月23日のセレモニーに岸田首相が来て、負担軽減をすると言っていたがその中に人権は入っていないのかと言いたい。性的暴力を受けたら、公表されたら恥ずかしい。そのためには秘密にしておきましょうと公の機関が決めるのか。暴力が行われている時に、しっかり加害者を糾弾しないで、被害者を守ると称して加害者を守っている。女性の人権を理由にして、秘密にしてさらに沖縄を排除する行為をしている。二重の差別だ。許せない」。
参加者がリレートーク
続いて参加者のリレートークが行われた。その中の発言の一部を紹介する。
エトセトラブックスの松尾亜紀子さん
「沖縄では子どもが性暴力にあっても、その事実自体が隠されてしまう。なんのためにこの数年間、北海道から沖縄までの性暴力被害者たちが声を上げてきたのか。悔しい。国が押しつけた基地のせいで起こった性暴力を国が隠すな! 性暴力をなかったことにするな! 私たちにもできることがある。一緒に声を上げよう」。
沖縄一坪反戦地主会・関東ブロックの青木初子さん
「日本の米軍基地の70%以上が沖縄にある。米兵は女性を物色して性暴力をはたらく。これは何度も何度も繰り返されてきた。米軍基地がある限り性暴力はなくならない。日本政府は米軍を支持して、沖縄県民を弾圧する側に回っている。隠蔽するのは外務省だけではない。日本政府が沖縄を弾圧しているというこの状況に声を上げ、なくしていこう」。
本と喫茶サッフォーの山田亜紀子さん
「日本は政治や教育で当たり前のように女性の身体を支配してきた。2012年当時衆議院議員だった照屋寛徳さんは女性への性暴力、犯罪に対する認識についての質問主意書で、『立て続けに起こる米兵の性暴力に県民のわじわじーは頂点に達している』とあります。わじわじーはうちなーぐちで怒りを表します。性暴力のない社会を作るために私たちは沖縄のわじわじーを絶対に忘れずに、うちなーんちゅの人権を踏みにじるファシズムや植民地主義にこれからも抵抗し、沖縄の人とともに怒っていきましょう。性暴力の被害者は女性が圧倒的に多いです。しかし、あらゆるジェンダーの人が被害に遭っているということも忘れないでいましょうと、付け加えておきます」。
Praise the braveの八幡真弓さん
「私は約15年前に性暴力被害に遭った当事者です。いまは当事者に優しい社会を目指して、トラウマ・インフォームドケアの普及活動をしています。性暴力はどのように行われても許されません。私は性暴力の後、家庭も、仕事も、健康も、周囲との信頼関係もすべて失いました。私は一時、確実に人生を失いかけていました。性暴力は重篤な後遺症を残します。今もまだ万全ではなく、PTSD治療を続けています」。
「今回の性暴力は被害者のプライバシー保護を理由に隠蔽されたと聞きました。私は沖縄で引き続き危険にさらされる人たちはもちろんながら、その理由を聞くことになる全国の性暴力被害当事者がどんな気持ちになるかと思うと、とても辛い気持ちになりました。統計では少なくとも14人に1人、無理矢理に性交された当事者がこの日本にはいます。その人達が、政府や自治体の事情で性暴力被害者が適切に対応されなかったと聞いてどう思うでしょうか? その対応に、私たちのプライバシー保護という大義名分を利用されたと聞いて、どういう風に思うでしょうか」。
「二次加害は回復を遅らせ、症状を深刻化させることもあります。わずかな生命力を燃やして必死に生きている当事者に、今回の二次加害はどのように届くでしょうか。性暴力後の人生を必死で生きている被害当事者も、沖縄で起きた性暴力に政府が真剣に向き合ってくれることを願っています」。
バスストップから基地ストップの会の京極紀子さん
「今、キャンプ座間には米陸軍の司令部が置かれている。沖縄につながっている仲間達から、『座間も大変だねえ、自分たちのところでもがんばりなさい』と言われ、『バスストップから基地ストップの会』を立ち上げた。それから19年間、毎週水曜日の座り込みと月1回の申し入れ行動を行ってきた」。
「2016年に 沖縄の恩納村で女性がレイプされ、殺害されるというひどい事件があり、『NO BASE STOP 性暴力 黙ってられん』というグループで活動をした。その時は沖縄で死者を悼むという蝶々のバナーを作った。その痛みを形に残すためにZINE(冊子)を作った。そのZINEの一番最後のところには、高里鈴代さんたちがまとめた1945年からの沖縄での性暴力被害の一覧を帯にしてつけた。この8年間の間に、性暴力事件がたくさん起こっていることに非常に怒っている。今回、国家が軍隊による性暴力事件を隠し、人権侵害が起きたことが明らかになった。この帯がこれ以上1㍉も長くならないために、私たちもみなさんと一緒に闘っていこうと思っています」。
ウォリアーズ・ジャパンのキャスリン・ジェーン・フィッシャーさん
「22年前に米兵からレイプの被害に遭った。私が初めての被害者だと思っていた。こんなにたくさんの被害があるということはあり得ない。シーツに1945年からの被害を書いてきました。たとえば一番最初、奥さんがレイプされている時に、だんなが『やめてください』って叫んだんです。たった6歳で誘拐されてレイプされた子もいるんです」。
「22年間、日米地位協定を見直すよう、沖縄でがんばっている。米兵も日本の法律を遵守しないといけないんです。日本の政府は被害者と加害者、どっちの側に立っているんですか。私たちと一緒の側に立っていません」。
「透明性が必要。正義が必要。私をレイプした加害者は裁判中に逃げてしまった。私はあきらめずに10年間、ひとりで探した。そしてアメリカで裁判を起こし2012年に勝訴した。みんなで一緒に闘っていこう」。
集会の最後に「在沖米軍による性暴力および情報隠蔽に抗議する緊急声明」が読み上げられた。司会者が今後、行動を呼びかけていくと報告した。参加者から大きな賛同の拍手が起こった。米兵による性暴力を許すな、日米政府による隠蔽を許さない。 (М)

外務省前で抗議スタンディング(7.2)
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