3.11緊急! 最高裁の東電刑事裁判上告棄却に抗議する

福島原発刑事訴訟支援団

 【東京】3月5日付で出された最高裁による東電刑事裁判の上告棄却決定は被害者を踏みにじり、次の原発事故を準備するものだと、3月6日に、福島原発告訴団・福島原発刑事訴訟支援団が抗議声明を出した。これを受けて、3月11日正午から、最高裁正門前で、「緊急!! 最高裁の東電刑事裁判上告棄却に抗議行動」が福島原発刑事訴訟支援団などの呼びかけによって行われ、埼玉や神奈川、都内から仲間たちが集まった。
 3月6日に出された抗議声明が読み上げられた。つづいて、最高裁に向けてシュプレヒコール。「東電上告棄却を許さない、東電の幹部3人の責任はある、岡村裁判長は恥を知れ、福島原発事故は人災だ、福島原発事故は防ぐことができた、津波対策の先送りは明らかになった、最高裁は原子力行政におもねるな、福島原発事故をなかったことにさせないぞ、被害者を踏みにじる判決は許さない、こんな判決では国の原発事故は防げないぞ、最高裁は司法の独立を捨てたのか、私たちはあきらめない」。
 それから、参加者による、東電と国の責任を問い、事故の責任がなかったことにし、被害者を切り捨てる最高裁判決を批判する発言が行われた。

原発事故の責任を認めない判事を許さない

 避難者支援裁判を行っている人は、「2022年6月17日に最高裁が、東電第1福島原発からの4つの避難者訴訟に対して『国が規制権限を発揮して、津波対策を講じたとしても、福島原発事故は防げなかった、したがって国に責任はない』という判決を下した。この最高裁判決以降、各地の高裁・地裁の判決はこれにならうものになってしまった。しかし、その後すべてがそうした判決ではなく、避難者裁判で半数の地裁・高裁裁判所では国の責任を認めた。それは刑事裁判で出された津波の予想を東電がしていたことが明らかになったからだ。同じ資料でなぜ刑事裁判は東電の幹部たちを有罪としないのか」と訴えた。
 南相馬から避難して横浜で借家生活をしている83歳になる人が「原発事故の責任を認めない判事を許していたら、私たちの命が守られない、司法が劣化している。今年も6月16日正午から避難者が求めた国の責任を否定した最高裁をヒューマンチェーンで囲み抗議しよう」と話した。

東京電力は放射能を出し放題だ

 澤井正子さん(原子力資料情報室)が発言。
 「2011年3月11日午後7時に、当時の枝野官房長官が原子力非常事態宣言を出した。それは未だに解除できない。デブリが取り出されなければ解除できないのか。そうだとすれば軽く百年は解除できない。今防潮堤を作ろうとしているが、その前に大きな津波が来たら壊れるかもしれない。汚染水もデブリも何かあるかもしれないというのが日本の今の現状だ」。
 「原子力規制法では万が一起こるかもしれない事故を起こしてはいけないと書いてある。ところがこの事故でたくさんの人が亡くなり、東京電力は放射能を出し放題だ。そして罰せられない。『最低裁判所』と書いてきたが、人偏を取って『最底』にしようと考えたくらいだ。この裁判はろくな審査をやってもらえなかった。もっともっとやることがある、がんばっていこう」。
 平和フォーラムの井上年弘さんが、「衆議院選挙のたびに、最高裁の判事を信任していないので×を付けている。最高裁は今回こんないい加減な判決を出した。想定外であれば何でも許される、罪に問われない。東電も原子力委員会も誰一人として責任を取っていない」と判決を批判。
 そして「こうした人は定年になれば、みんな大学に行ったり、機構にいったりと天下っている。本当に無責任な原子力行政、原子力業界の実態だ。様々な地震によって、改めて同じような第二、第三の福島原発事故が起こる可能性がある。水力は水がなくなればそれで終わり、火力は油がなくなればそれで終わりだが、原子力は本当に何百年という単位で大地を人々を汚染し被害を与える。原発も止めなければいけないし、裁判も覆さなければならない。様々の裁判がまだ続いているので引き続き連携をして、一つでも多く勝っていきたい」と井上さんは訴えた。
 最後に最高裁判所に対する怒りのシュプレヒコールをあげた。(M)

最高裁東電刑事裁判上告棄却抗議行動(3.11)


 
 
 
 

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