7.24老朽原発・美浜3号うごかすな!現地全国集会

再稼働準備即時停止! 廃炉へ
関西電力原子力事業本部へ申し入れ

 老朽原発・美浜3号うごかすな!現地全国集会が7月24日、福井県美浜町で開かれた。
 関西圏を中心に東京や名古屋、愛媛県伊方から300人が集まり、美浜町にある関電原子力事業本部に対し45年越えの老朽原発の再稼働に反対する申し入れが行われた。社屋には明かりがついていたが、日曜日であることを理由に関電側は出てこず、警備員に申し入れ書を手渡した。

美浜3号は廃炉
のはずだったが
 岸田首相は7月14日、冬の電力逼迫懸念から、最大9基の原発稼働を進めることを表明した。その9基とは、関電5基(大飯3、4号機、高浜3、4号機、美浜3号機)、九州電力3基(川内1、2号機、玄海3号機)、四国電力1基(伊方3号機)だと言われる。美浜3号はここに含まれる。
 集会当日は、まず弁天崎に集まり集会が開かれた。ここからは海を隔てて3キロ先に美浜原発1、2号機と山陰に3号機の端がわずかに見える。1、2号機は廃炉手続きに入っている。3号機で5年間働いた司会の山本さんの話では、10年ほど前に5人が亡くなる事故が起きたが、関電は安全対策にそんなにお金をかけることは出来ない、穴が空いたら直せばいい、ヤカンと同じだと言った。そのとき怒りを覚えると同時に、このまま行けば必ず事故が起きると確信したと言う。関電は美浜の事業本部に『安全を守る。それは私の使命、我が社の使命』と書いた看板を掲げている。そう思うなら3号機を廃炉にすることだ、そのことを町民に訴えていきたいと述べた。

老朽原発基準地
震動の危うさ
 続いて主催者実行委員会の代表あいさつを中嶌哲演さんが行った。

 「美浜3号機は、自ら定めた原則によって廃炉にすると決めたルールをねじ曲げて、再稼働に向け突っ走っている。83万キロワットの美浜3号。発電した電力は全て関西方面に送られる。1年稼働するだけで、事故が起きなくても広島原爆の800倍の使用済み核燃料を残す。活断層の巣の上に建っている美浜原発。つくられた当時の基準地震動は450ガルだったが、福島原発当時には750ガル、現在の新基準は900ガル。ばらつきを考慮すれば、1780ガルに設定する必要があると専門家は指摘している。重大な決断をしなければいけないとき、原子力ムラは、地元自治体首長と県知事・県議会の同意を得ればどんな理不尽なことでもやれるという枠組みを作ったが、その枠組みが揺らいでいる。美浜3号から30キロ以内のところに琵琶湖の一部がある。福島の飯舘村は50キロ圏内で行動を制限した。琵琶湖が汚染されたら、関西圏の1450万人の人々の飲料水がアウトになる。若狭の原発の電気はすべて関西に送られている。どのような原発の当事者性を持っているかを認識してほしい。美しい若狭の自然を求めて関西からもたくさんの人が来る。大歓迎だ。もうそろそろ原発による当事者性は止めにしたい」と述べた。

配管の点検
は不可能だ
 松下テルユキさんが、地元を代表して美浜町からの報告をした。

 「美浜3号が運転を開始したのは1976年12月。それから今までで46年が経過したが、2004年8月に11人の死傷者を出す大事故を起こした。さらにその死体を救出に入った関電社員が被曝した。28年間も配管は点検されてこなかったことが報告されている。事故は繰り返される。数年前、大飯3号機の直径11センチの中口径の配管がひび割れを起こした。関電はそのまま稼働を続けようとしたが、さすがに規制庁はそれを止め、損傷した配管を取り替えるように命令した。美浜3号機の事故では、6000本ある直径3センチ程度の配管のたった1本が破断しただけで炉心の中は一時沸騰が起きるという事態になった。配管が破断すれば空だきになる可能性がある。冷却水の注入で急冷されれば、圧力容器が一気に脆性破壊に至る可能性がある。規制庁は配管の取り替えを命じたが、取り替えればいい話ではない。関電の安全に対する姿勢が問われている。関電は福島原発事故を教訓化していない。配管の点検は、新品の材料を使ってやっていると、関電の社員から聞いた。経年した実際の配管の点検は出来ないと考えた方がいい。原発は巨大設備であり、放射性物質を扱う、配管は最大の弱点の1つだ。他にも、直ぐには止められない崩壊熱、直下地震に弱い構造、見えない老朽化がある。原発に疑問を持ち始めてから50年を超えた。われわれの運動は何をなしえて何をなしえなかったのか、くり返し考えるようになった。原発を止めることで、原発メーカーを破綻状態に追い込んでいる。原発のコア技術を支えてきた東大・京大などの原子力工学科は消滅した。福島事故以後21機の廃炉、10基にとどまる再稼働原発、相次ぐ運転停止判決。これは運動の成果でもある。私が敦賀駅ホームにいたとき、もんじゅの発電所の所長であった菊池三郎さんが見つけて言い寄ってきた。ブッシュの政策で日本にも原発がどんどん建つと言って。私は、民間資金が動かないと思うよと反論した。リターンがないところには投資はない。国は美浜町に対して、SМR(小型炉)、高温ガス炉への転換を吹聴している。立地自治体は新増設を要求しているが、政府は応じていない。

自然エネルギー
ビジョンへ
 これから何をなすべきなのか。美浜町には、自然エネルギービジョンがある。具体的にはまだ出来ていないが、間違いなく脱炭素にむかう。省エネ・再生可能エネルギー技術を活用し、雇用をつくりたい。地域のエネルギー自給を増やしたい。都市部の皆さんには、原発の電気を買わない運動を拡大してほしい。送電網の制度を作り替え、再生可能エネルギーを最優先的に取り組む制度の創設に力を入れてほしい」。

 弁天崎の集会を終え、美浜町役所のある地域に移動し、デモの隊列をつくって役所を一周してから、関電の原子力事業部前で、再稼働準備の即時停止・使用済み核燃料を増やさず廃炉に!の申し入れ行動をやった。正面玄関に確かに『安全を守る。我が社の使命』の看板が見えた。滑稽な気がした。
 さらにここから、再稼働反対・廃炉へを訴えて美浜町の町中をデモ行進した。
        (T・T)

各地からの300人で再稼働するな、の申し入れ(7.24)
老朽原発動かすな、美浜の町中をデモ(7.24)

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