沖縄闘争論の深化のために
資料:沖縄の「自治・自決・独立」論にどう向き合うべきなのか――われわれの総括をこめて
沖縄の反基地闘争は、普天間基地返還の代替とされた名護市・辺野古への新基地建設反対の攻防を経て、自民党沖縄県連などの保守層をも含めた「島ぐるみ」の闘いとして現れている。その中で改めて沖縄に対する米国と日本による共同の軍事植民地支配、沖縄への日本(ヤマト)による「構造的差別」の問題が強く意識され、「沖縄の自治・自決」「独立」の問題が沖縄の知識人や活動家の間だけでなく、一般の人びとの間でも論じられるようになっている、と言われる。沖縄の人びととともに闘おうとする日本(ヤマト)の私たちにとっても沖縄の「自治・自決・独立」問題をどう考えていくか、という課題は避けて通れない。
われわれは一九六〇年代後半から七〇年代初頭にかけて、沖縄の米軍支配に反対し反戦と「本土復帰」をめざす闘いの高揚の中で、沖縄の自決権と「労農自治政府」をめざす闘いに連帯するという立場を打ち出した。それは日本・沖縄・朝鮮半島を一つの帝国主義的支配の構造ととらえ、その打倒をめざす「極東解放革命」戦略に位置付けられていた。
しかし、一九七二年の沖縄「本土復帰」以後、この戦略は事実上放棄されることになった。一九八七年の昭和天皇裕仁の沖縄訪問の意図を契機に新たな展開を見せ始めた沖縄の闘いを契機に、私は一九八七年の「世界革命」紙に「われわれの沖縄闘争路線の再構築のために」と題する試論を掲載した。それは一九六〇年代後半から七〇年代初頭にかけた「反帝労農自治政府」を軸にするわれわれの主張が清算されていった問題を批判的に再検討する試みだった。あわせて、沖縄「本土復帰」闘争の評価にかかわる一九八七年の豊原論文を収録した。
つづいて一九九五年の米軍兵士による少女レイプ事件を契機にした第三次「島ぐるみ」闘争と、それが日本政府による「特措法改悪」や辺野古新基地建設の流れに集約されていく過程で書いた文章が一九九六年の「沖縄の自治・自立」をめぐる二つの文書「沖縄自治・自立論を考える」、「『沖縄自治・自立論』再考」ならびに一九九七年の「九五年秋以降の闘いの中間総括と課題」である。
さらに二〇〇〇年に開催された沖縄サミットをめぐる沖縄の状況について書いた二つの文書「『沖縄イニシアチブ』論争によせて」と「嘉手納包囲の成功は新しい可能性を切り開いた」を収録した。
今日の沖縄の闘いと、その中で着実に広がっている「沖縄の自立・独立」論議に日本(本土)のわれわれがどう向き合い、ともに闘っていこうとするのかを考える上で、これまでのわれわれの立場の総括が必要である。その観点からの検討していただきたい。とりわけ、沖縄の人びとならびに「日本」に住む沖縄出身者のご意見、批判をいただければ幸いである。
あわせてカタルーニャ、スコットランドなど先進資本主義諸国でも旧来の「国民国家」の枠組みの見直しを提起する運動が広がっている問題への評価が必要となっていることを付け加えておきたい。
(平井純一)
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