ギリシャ ピロスの惨事裁判
起訴された難民に無罪判決
アンドレアス・サルツェキス
反移民煽る
首相に痛打
「裁判所は起訴は承服しがたく、被告は無罪と言明する」。ほぼ1年投獄されていた9人のエジプト人難民を無罪にしたカラマンタの法廷が下した判決は、極右票を追い求めてEU議会選キャンペーンに取りかかっているミツォタキス(現首相:訳者)を激怒させた。
2023年6月13日、定員オーバーの難民を乗せた小舟がピロス(ギリシャ南西部)沖で遭難と伝えられた。沿岸警備隊は15時間の間かれらの救出を拒否し、最終的にロープを下げた。それが遭難中の小舟をイタリアに牽引することを意図したものだったことを、われわれはまだ分かっていない!
この作戦は小舟の沈没を引き起こし、600人以上の死という結果になった。紛れもない大犯罪だ。政府は即座に、他の事件で行ったことがある(テムビ鉄道惨事)ように行動し、その責めを諸個人や何と犠牲者にまで移し換えた。
かれらは犯罪的な「密輸業者」として終身刑に直面していたが、法廷はこうして、進行中の被告との連帯キャンペーンに正当性を与えた。つまり、デモ、コンサート、また集会がかれらの無実を求める、また真の犯人が起訴されることを求める圧力を高めたのだ。5月21日、ケールファやディクトヨのような市民団体と労組と並んで左翼がカラマンタにいた。この勝利が反レイシストの闘いを強化することを期待しよう!
変わらず続く
反難民の抑圧
ピロスの悲劇の先でも、極右に全く寛大な右翼の反難民行為が、毎日のできごとになっている。2千人以上の難民が密輸業者である証拠がないまま起訴され獄中にいる。しかしカラマタの判決でも、確実に彼らを助けることはないだろう。裁判所は、悲劇が国際水域で起きたがゆえに、事件の実態について裁決しなかったのだ。
われわれはまた送還行為にも馴染みがある。それは禁じられているのだが、EUの境界を監視しているフロンテックス(欧州国境沿岸警備機関)によって扱われている。
そして、少なくとも2万人の難民が2015年以来地中海で溺死した、と見積もられている。しかし移民に関する最新のEU合意も、ミツォタキスにとっては十分でない。彼は、EU委員会に文書でより強硬な方策を求めたばかりだ。
反ファシスト
の闘いは続く
当局からの狭量な報復。5月24日、9人のエジプト人は違法な口実でなおも刑務所にとどめられた。これはそうしたレイシスト政策の恐ろしさを示している。特に同時に、犯罪組織のトップとして投獄された「黄金の夜明け」というナチスの指導者が 法的には可能だが、満期前釈放を認められたからだ。そして他の刑務所にいるナチスも今、同じ便宜を求めているからだ。
これは、つい先頃死亡したフランス系ギリシャ人ジャーナリストの怒りを引き起こしていたはずだ。そのアンジェリック・クールニスのギリシャファシストに関する諸文書は諸々の決起を助けた。そして彼は、確固とした反レイシスト活動家だった。(2024年5月24日、「ランティカピタリスト」からIVが訳出)
▼筆者は、第4インターナショナルギリシャ支部2組織のひとつである「第4インターナショナル綱領的傾向」で活動。(「インターナショナルビューポイント」2024年5月30日)
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