ギリシャ・反ファシスト運動は今も街頭に

「黄金の夜明け」は刑務所へ

OKDE―スパルタクス(FI・ギリシャ支部)

 ギリシャの裁判所は一〇月七日、極右政党「黄金の夜明け」を「犯罪組織」と認定する判断を示し、ミハロリアコス党首ら元国会議員七人を有罪とした。また、反ファシズムのラップ歌手パブロス・フィッサスが二〇一三年に射殺された事件や移民への殺人未遂事件などについて、それぞれの実行犯らに有罪判決を下した。そして、事件は個人犯罪ではなく、組織的な暴力だったと認めた。移民排斥を掲げる「黄金の夜明け」は、経済危機下で支持を伸ばし、二〇一二年に初めて国会で議席を獲得し、一時は第三党となったが、現在は議席を失っている。以下は、この有罪判決についてのOKDE―スパルタクス(第四インターナショナル・ギリシャ支部)の声明である。
 一〇月七日の朝、アテネとギリシャの全都市に氾濫した色とりどりの川は、労働者階級と青年の大多数の意識の中ですでに達成されていたこと、つまり「黄金の夜明け」は犯罪組織として有罪判決を受けるべきであることを法廷に強制させるのに成功した反ファシスト運動の結論を示した。
 何万人もの労働者、労働組合員、政治団体のメンバー、失業者、移民、若者、反ファシスト活動家は、ファシストの野蛮に対する壁を立てて、歴史的なサイクルに終止符を打った。そして、「黄金の夜明け」とその分派を刑務所に送り込み、歴史の屑箱に放り込んだのである。パブロスとシャフザド[訳注:二〇一三年に「黄金の夜明け」メンバーに殺害されたパキスタン人青年]だけでなく、テッサロニキとイオアニナのユダヤ人、カラヴリタとヴィアンノスの殺人被害者、コッキニアとカログレザの英雄たちも、私たちと一緒に立ち上がって叫んだ。それは明らかな階級的勝利であり、完全にわれわれの側の勝利だった。
 ネオナチは、政府の疑わしい民主的性格のおかげで有罪判決を受けてこなかった。ミツタキス政権[訳注:二〇一九年七月総選挙で新民主主義党が過半数を制したことで成立]は、その前のサマラス政権[訳注:二〇一二~一五年の新民主主義党政権]と同じように、大規模で多様な形態の反ファシスト闘争の重圧の下で、ナチスとの血縁関係を断ち切り、彼らを法廷に引きずり出すことを余儀なくされた。新民主主義党は、ファシスト殺人者たちの社会を浄化することに突然興味を持ったわけではなかった。ファシスト殺人者たちは、長年にわたって、警察からの公然とした支援、船主やボスからの財政支援、組織的なメディアによる不正浄化によって、何の支障もなく行動してきたのだ。ブルジョアジーは、反ファシスト運動が広範な階級的蜂起に発展することを恐れた。そしてそれゆえに、その段階ではファシズムに投資することはできないと判断したのである。
 シリザ[急進左翼連合]の臆病で慣習化された反ファシズムも、ネオナチに有罪判決を出さなかった。ブルジョア民主主義とブルジョア的規範の絶え間ない発動によっては、特に議会主義と政治システムの機能が低下しているという条件のもとでは、ナチスが「すべてのものに対して」闘う者として現れることを可能にしただけだった。さらに悪いことに、シリザ政権による著しい慣習的寛容さと裁判の進行の遅れは、ナチス・ギャングの帆に風を吹かせるように作用した。
 「黄金の夜明け」への有罪判決は、もっぱら階級的反ファシスト運動による勝利だった。数年前までは、ナチスは街頭や居住地域では無敵で強大な存在に見えた。反ファシスト運動、反ファシスト委員会、集会、大衆行動、さらにはナチス・ギャングとの物理的衝突における統一戦線政策の必要性を強調した政治団体の意識的な役割、裁判所での民事訴訟で弁護士の貴重な貢献、労働者階級の居住地域や職場での階級的本能、若者の反ファシストの反射的運動、ナチスの残虐行為の集団的記憶、アテネ工科大学の蜂起記念日に毎年大多数の人々を興奮させている大衆的な民主主義的感情(訳注1)。上記のすべてが、数年の間にまったく異なる状況を作り出したのだ。
 反ファシスト運動はここ数年で大きく成長し、私たちに希望を与えてくれている。OKDE―スパルタクスとして私たちは、「黄金の夜明け」が議会政党になるずっと前から数十年間にわたって、ファシスト現象をその歴史的な特殊性とともに理解し、われわれにできる限り、それに対処するための緊急の必要性を強調してきた。
 それは、階級を超えた「民主的」戦線という論理からではなかったし、ファシストの暴力を、国家の抑圧、雇用者の恣意性、失業の暴力、あるいは社会的保守主義の「単純な」寄生虫あるいは単純化しすぎた支流として考えることからでもなかった。この現象を理解することへの貢献と、反ファシスト動員への長年にわたる一貫した参加によって、われわれは、自らを「黄金の夜明け」を打ち破ったこのはるかに広範な運動の有機的な一部であると考えている。
 一〇月七日の歴史的勝利は、反ファシスト運動および階級運動全般に新たな展望を開くものである。「民主主義と規範」の保証人としての地位を確立したい新民主主義党が、「蹄鉄理論」(訳注2)のレトリックを展開することは明らかである。昨日のアテネでの集会を弾圧し、解散させたことによって、政府はナチスへの有罪判決を祝福する数万人の反ファシスト活動家を容認できないことが明らかになった。最近のあらゆる動員への弾圧は、闘っている人々が誰であれ、その人々に対する政府の態度を示している。運動への抑圧を許さないのは、われわれにかかっている。
 レイシズムと国家的神話との闘いは、依然として妥当なものであり、重要である。「黄金の夜明け」を粉砕したあと、われわれは以下のことも粉砕していくだろう。すなわち、難民や移民への排除政策、偉大さと拡張という民族的観念、トルコやその他の近隣諸国との軍拡競争、性差別や家父長制、「黄金の夜明け」によって残されたギャップを埋めようとするさまざまないわゆる「憤激する」極右。休んでいる時間はないが、悲観している時間もない。すべてはわれわれの前にある(訳注3)。
二〇二〇年一〇月八日
 (『インターナショナル・ビューポイント』一〇月一三日)
 (訳注1)当時の軍事政権に反対して、一九七三年一一月一四日、アテネ工科大学の学生がストライキに突入し、大学を占拠した。それに続いて、市民も参加した大規模なデモがおこなわれた。しかし、一七日早朝、軍事政権は戦車をも動員して、アテネ工科大学に突入し闘いを弾圧した。その結果、多くの死傷者が出た。しかし、この闘いは翌年の軍事政権崩壊の契機となった。毎年一一月一七日は「ポリテクニオン・デー」として、この学生蜂起を記念したデモ行進がおこなわれてきた。
 (訳注2)蹄鉄理論とは、通常は正反対にあるとみなされている極右と極左は、蹄鉄(馬蹄)の先の形状のように、実際には相互に類似性が認められるとする理論のこと。
 (訳注3)現在、ギリシャでは、パンデミックの中でも学級定員を減らそうとしない政府に対して、中学生・高校生の闘いが進められ、街頭での行動とともに学校占拠闘争が拡大している。

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