タイ・後退せず抵抗する若者たち

強さの試し合いに向けて

ピエール・ルッセ

 政府は今厳しい弾圧で脅し続けている。民主主義運動は決起の引き上げを呼びかけ続けている。最初の鍵となる日付けが一一月二五日と周知されている。

旧秩序との
衝突が激化


 タイの諸機構を支配している軍・王制派寡頭支配層は、この数ヵ月進展し続けてきた親民主主義の決起に最終的な終止符を打ちたいと思っているだろう(注一)。一一月一七―一八日の日々は、そうすることは難しいと示した。
 バンコクにおける警察と活動家間の衝突は、ほぼ六時間続いた。強力な放水銃(時として刺激痛のある化学物質を含んだ着色水を装備した)、装甲車、催涙ガス、有刺鉄線、さらに武装した過激な王制派の存在にもかかわらず、また少なくとも五五人の負傷者(銃撃を受けた六人を含んで)という犠牲を払って、デモ隊は道路の封鎖戦を破り、議会前に結集することができた(治安部隊はその門の背後に後退して)。
 民主主義運動活動家に対する実弾発射は、極めて懸念すべき暴力のエスカレーションを意味している。それは特に、政府に力づけられた、過激王制派武装グループによる介入によって激化されている。それらのグループの例としては、王制タイ、あるいは黄シャツ(タイ王室の色)があり、後者はすでに一〇年前、選挙で選ばれたタクシン・シナワラ政府の支持者である赤シャツを標的にしていた。
 この時期を象徴する形で、若い僧侶たちが「新宗教改革グループ」を形成した。彼らは、寺院と国家の分離、および営利経済活動への宗教の関与を終わりにすることを求めている。このグループはこうして、仏教界聖職者の公式的権威であるサンガ最高評議会に異議を突きつけている。ちなみにこの機関は、タイにおける保守的な秩序で、王族並びに軍と並ぶ第三の支柱を構成している(注二)。

巻き返しの準備
体制側も着々と


 これらの発展、および彼の行動がドイツ国内に引き起こしたスキャンダルに直面して、不在王ラマ一〇世と王妃は、今回は永久に、少なくともそう見えるが、バンコクに戻るために、バイエルンにある彼らの邸宅を後にした。それは、コヴィッド・エピデミックがこの王国に打撃を与え経済が崩落した時、この国王夫婦が実行を拒否してきたことだ(その無関心は多くの者にショックを与えた)。
 しばらくの間恐れられた不敬罪は利用されずにきた(注三)。首相のプラヤト将軍は一一月一九日、それを再び使うつもりだと公表した。この公表は、親民主主義運動に対し「現にあるすべての法」が使われてよい、と彼が言明する中で、ある種の戦争宣言のように響いている。
 体制は、たとえば今昔ながらの教育制度に反対して立ち上がっている中学生に向けて改革を話しかけつつ、それが前にしている戦線を分断しようと試みている。とはいえ当面のところうまくいってはいない。

立ち上がる
中学生たち


 彼らが従わされている道徳的な拘束、教職の硬直した階層制と権威主義、表現の自由の不在、またカリキュラムの行き詰まるような保守主義、に反対して生徒たちはますます声を高めつつある。自らを「悪い生徒」と呼ぶ一グループは、民主主義運動の中核的要求に、教育制度の原理的な全面改修という要求を付け加えている。
 それは、ののしるような、また侮蔑的な教員の行為(たとえば、罰としての頭髪刈り上げ)、あるいは公的には禁止されているにもかかわらず、体罰の継続、を厳しく非難している。それはLGBTの女性や生徒に対するもっとよい保護を求めている。学校の制服を着た一人の生徒は、彼女の口をテープで塞ぎ、「私は教員から性的虐待を受けた。学校は安全な場所ではない」とのプラカードを掲げてデモを行った(注四)。

憲法改正を
めぐる対立


タイの成長中の民主主義運動は、その法的な主張を明確にしてきた。それは今、王制の憲法上の性格、および軍隊の非政治化を保証する目的の下に、憲法に対する一〇項目の修正を提起中だ(一〇万人以上の支持に基づき)。それは憲法制定会議の招集を求めている。対抗として議会は、それ自身の統制下での憲法改正を思い描いている。しかし先の修正は拒絶している。

特色の中で
世界と共鳴


 タイの運動の大きな特色の一つは、闘争の編成の構築に多くの「技術をもつ者」が力を貸すことを可能にしていることだ。たとえば、憲法に対する修正は、「法改革に関するインターネット対話」(iLaw)の助けを得て書き上げられた。ちなみにこの組織は、民主的な憲法の起草に関し何年も仕事を続け、現在はその修正を後援している。
 親民主主義運動は、民主主義闘争に力を尽くした香港、台湾、タイの活動家によってツイッターで始められた#MilkTeaAllianceに加わった。この三カ国すべてでは、茶はミルクと一緒に飲まれている。しかし中国ではそうなっていない。つながりは、後ろ向きの冷戦の論理と依存性の危険(この場合は中国の)に抵抗するために、地域を貫いて打ち固められつつある。新たな汎アジア主義が、極めて重要であると分かるかもしれない一つの発展が浮上中だ。それはまた、その地域的独自性を超えて、チリの民衆と闘争と共に、民主主義と多元性を求める世界を貫く闘争のコミュニティをも明示するものだ。

溢れる生気の
前にある脅威


 親民主主義運動はあらゆる見込みに反してそのユーモアを保ってきた。議会の所在地は、バンコクを貫いて流れるチャオ・パラヤ川の堤防上だ。活動家たちはその「攻撃」を象徴しようと、子どものおもちゃのイメージで巨大なアヒル風船を運び込んだ。そしてそれらは彼らの「艦隊」となった。それらはもっと実践的に、警察の放水銃の前に置かれたいわば遮蔽物として機能したのだ(香港のデモから引き継いだ雨傘の列で構成された「亀」のように)。ここには、黄色のアヒルの挑戦を受けた全員が黒い服をまとった警察部隊、という光景がある! 同様に、ある種の象徴的なゲームとして、チラノサウルスのように扮装した闘士たちが、ショッピングセンターから排除された。チラノサウルスの中には「暴君」がいる……のだ。
 親民主主義運動はこうして、その生気、その独創性、その楽しさを保っている。運動が向き合わなければならない脅威は、全く小さくはない。それはたとえば、首相に近い一人の上院議員が一〇月三〇日に行った批評によって示された。彼は首相に逆らって、サミュエル・パティの暗殺にふれることを躊躇しなかったのだ。つまり、「情勢がフランスでの首切りのようなものに行き着くかどうか、われわれにそれは分からない。しかし、精神に異常を来した者、あるいは無関係の第三者、あるいは計画的な攻撃はあり得るだろう」と。

(注一)本紙一一月三〇日号六面記事参照。
(注二)「マンダラ」二〇二〇年一一月一六日、「親民主主義僧侶がタイの抗議行動に合流」。
(注三)他方で、王妃と王子の安全を危うくしたとしてデモ隊に(でっち上げの)罪を着せる目的で、一つの挑発が当局により組織されたことがある。
(注四)ガーディアン紙二〇二〇年一一月二二日、「タイのティーンエージャーが支配者に告げる:『あなた方は恐竜だ』」。(「インターナショナルビューポイント」二〇二〇年一一月号)

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