パキスタン・労働者の共同闘争発進

労働者の統一的要求初めて形に

パキスタン労働組合防衛キャンペーン(PTUDC)

 「全パキスタン従業員・労働者・年金者運動」の傘下で統一された六一以上の労働団体、労働組合、年金者団体の労働者、政府職員、年金受給者数千人が、一〇月一四日にイスラマバードの国会議事堂に向かって行進した。

おびただしい
妨害策動の中


 デモ行進は国会に向けて計画されていたが、支配者やその代弁者たちが「近づきすぎて危険だ」と感じた時点で、デモ行進の行く手は阻まれた。行進の前日、イスラマバード当局と警察はいわゆる「レッドゾーン」を封鎖し、首都へのすべての進入地点で厳しい監視がおこなわれた。国家は行進を妨害し、[参加者を乗せた]車列を止めるために汚い戦術に訴えた。参加を阻止するために、さまざまな労働組合の指導者が深刻な結果を招くと脅迫された。一〇月一四日の朝、パキスタン全土でさまざまな道路が封鎖され、さまざまな地点で、予定されていた抗議地点への車列の到着を阻止するための障害物が設置された。多くの場所で、抗議者は警察の封鎖を通り抜けてイスラマバードに向かう道を押し渡らなければならなかった。
 混沌とした場面が、カイバル・パクトゥンクワ州政府庁舎でも報告されている。そこでは、警察、民兵部隊、レンジャー部隊が、職員を庁舎から離れさせないように配備されていた。政府は、地元新聞に掲載された通知を通じて、公共部門の職員に対し、ストライキを中止し、職場を離れないように求めた。このような障害のため、多くの車列は道路に車を置いて、[参加者は]徒歩やバイクで抗議集会に参加した。世界中の同志たち、国際社会主義同盟(訳注1)のメンバー、世界各地の活動家や労働運動指導者が、パキスタンの抗議する労働者との連帯を表明した。
 あらゆる障害や脅迫にもかかわらず、数千人が国会議事堂に向けて集結した。APCA(全パキスタン事務職員協会)に率いられた一つのグループは、国会議事堂通りに入ることができた。警察と民兵部隊は多くの抗議者を乱暴に追い込んで、彼らを押し返すために実力行使に頼った。このとき、国会議事堂近くのDチョウク(訳注2)で座り込みをすることが決められた。

座り込みの主役
今や労働者自身


 Dチョウクは、二〇一四年にパキスタン正義運動(PTI:現在の与党)がナワズ・シャリフに対抗して一二六日間の座り込み(ダルナ)をおこなったことで有名になったところだ。いまや立場が入れ替わった。パキスタンの現首相イムラン・カーンがかつて彼の政敵に対して怒りの演説をおこなっていたのと同じ場所で、労働者たちが彼の政権がIMFに命じられた政策を実行していることに抗議したのだった。一〇月一四日にDチョウクでおこなわれた座り込みは、パキスタンの歴史の中で重要な出来事となった。
はじめて事務職員、若い医者、鉄道労働者、鉄鋼労働者、民間航空局とパキスタン国際航空の従業員、石油・ガス開発会社(OGDCL)労働者、カイバル・パクトゥンクワ従業員調整評議会、パキスタン水力発電局(WAPDA)水力発電所労働組合、パキスタン国立銀行、国家データベース登録局(NADRA)、パキスタン観光開発公社、ラジオ・パキスタン、パキスタン・テレビ局(PTV)、郵便局、教員、四級職員、講師・教授、自治体企業、保健局、女性保健労働者、救急救命士、野生生物局、水産局、森林局、産業局、カイバル・パクトゥンクワ政府印刷局、社会福祉局、住民福祉局、鉱山・鉱物局、通信・労働局、高等教育局、初等中等教育局、司法局、公文書館・図書館局、スポーツ局、技術教育局、カイバル・パクトゥンクワ教科書委員会、カイバル・パクトゥンクワ州保健サービスアカデミーから、多数が参加した。
パキスタン・テレコミュニケーション会社(PTCL)、PTV、鉄道などの年金受給者、さらには鉱業、ホテル、スポーツ、化学、ガラス産業の労働者も参加した。

階級的連帯示す
強いメッセージ


資本主義の危機は労働者階級への新たな攻撃を解き放ち、何世紀にもわたる闘争でかちとったものをすべて取り戻そうとしている。パンデミックが始まったときに労働者を黙らせるために、パキスタン国際航空や公共事業などを含む多くの公共部門機関で、公共事業法が公布された。同時に、パキスタンの裁判所は繰り返し組合に対して命令を出している。パンデミックを口実に、労働者の声を抑制するために法律が使われている。このような背景から、パキスタン労働組合防衛キャンペーン(PTUDC)は、IMFと資本主義の新自由主義政策に反対して、すべての労働者階級の力を団結させるという課題にとりくんだ。
労働者の団結に向けた一歩として、パキスタンの主要な組合・労働団体、たとえばPTUDC、人民団結PIA、従業員団結CAA、労働組合同盟パキスタン製鉄所、 APCA、パキスタン政府従業員連盟、救命士協会、PTCL労働者イッティハド連盟CBA、パキスタン観光開発公社従業員組合、パンジャブ教授・講師協会、パンジャブ教員組合、鉄道労働者連合、全パキスタン年金者協会、PTV労働者、ラジオパキスタン労働者、パキスタン医療協会、ホテル組合など六一の組合が七月二一日にラホールに集まり、民営化とIMF政策に反対する全国的な同盟の形成について議論した。全組合を合わせた総組合員数は四〇〇万人を超えている。
一〇月一四日の座り込みは階級的連帯の表現であり、IMFが課した厳しい緊縮財政に反対して労働者が団結しているというパキスタンの支配階級への強いメッセージである。当初、主流メディアは座り込みのニュースを隠そうとしたが、圧力のために労働者の要求を伝えることを余儀なくされた。パキスタンを代表する新聞である『デイリー・ドーン』は一〇月一七日の社説でこのデモ行進を伝えた。

交渉開始も
運動は続く


現在、パキスタンには、ブルジョア政党で構成されるパキスタン民主運動(PDM)と、労働者階級で構成される「全パキスタン従業員・年金者・労働者運動」の二つの運動が並列している。PDMの指導者でさえ、スピーチや記者会見で「一〇月一四日の座り込み」について語り、支持者に労働者の手本に従うよう促した。政府は、その政策と行動を通じて、政治的労働者と一般大衆の両方を疎外している。革命学生戦線(RSF)とジャンムー・カシミール全国学生連盟(JKNSF)の活動家が赤旗と怒りのスローガンを掲げて参加し、労働者・青年・学生の大きな結束を示した。
政府が労働者の要求を受け入れることを保証したため、座り込みは中止された。イムラン・カーン首相が主宰する委員会が労働者階級の不満を解決するために結成され、交渉が続けられている。しかし、私たちは、政府とこのシステムは改革の余地を残しておらず、労働者に与えるものは何もないと考えており、闘争は継続されなければならないと考えている。この運動は、労働者階級運動に大きな力を与え、全国に散らばっていた労働者の要求が、初めて共通の要求綱領という形で提示された。パキスタン労働組合防衛キャンペーン(PTUDC)は、この運動の前衛として、すべての労働者のために闘い続ける。交渉の結果がどうであれ、労働運動は継続する。一〇月一四日は、この地域における資本主義の転覆まで続く共同闘争の始まりにすぎない。

(訳注1)国際社会主義者同盟(ISL)は、昨年五月に結成された新たな国際トロツキスト組織。創立大会には、アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、パラグアイ、ベネズエラ、ベラルーシ、スペイン、ギリシャ、ロシア、ウクライナ、ウルグアイ、トルコから参加があったとしている。PTUDCを主導する「闘争」グループは、この創立大会に連帯のメッセージを送っている。
(訳注2)「チョウク」とはウルドゥー語で「交差点」の意味。Dチョウクは、別名「民主主義チョウク」と呼ばれ、さまざまな集会が開催される場所である。

(『インターナショナル・ビューポイント』一〇月二六日、もとは『アジア・マルキスト・レビュー』一〇月二二日に掲載された、一部略)

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