フランスLCR全国会議で2007年への政治的展望を討議
欧州憲法条約に「ウィ」の社会党との同盟は存在しない
ローズリーヌ・ヴァシェッタ
CPE(初期雇用契約制度)に反対する闘いの勝利を受けて、今やフランスにおける政治的焦点は、来年度の大統領選挙と総選挙に向けた政治的再編に移っている。来るべき政治的展望をどう切り開いて行くかをめぐるLCR全国会議に向けた内部討論については、本紙(7月3日号)で紹介した。このLCR全国会議は、六月二十四日、二十五日、プレーヌ・サン・ドニに百九十人の代議員を結集し、二〇〇七年の選挙における立場を決定し、「マニフェスト」の討論を開始した。
若い同志の熱気
あふれる討論
多くの若い同志たちが、熱気あふれる討論の中で発言した。全国会議の結論は、すべての活動家にとってだけでなく、新自由主義に反対する左翼組織全体にとってもマスコミにとっても待ち望まれていたので、この会議の中で公開された土曜日の会期には多くの人々が参加した。
全国会議では、「マニフェスト」についての討論によって、何が決定的に問われているのかを提起することができた。すなわち、今日必要とされているのは、とりわけ、民主主義、もうひとつのグローバリゼーションを目指す運動、成長の低下、いっさいの抑圧に反対する闘争、闘争形態をめぐる新しい世代の貢献と問題提起、といった諸点を考慮に入れた綱領的文書である。そのうえ、「マニフェスト」は読みやすいものでなければならない! したがって、この作成作業はまだこれからなされるのであって、この秋の採択に向けて今年の夏に作業は継続されることになる。
代議員のすべての発言は、解雇と公共サービスの閉鎖といった経営者側の不断の攻撃によって構成されている社会情勢を分析するものであった。現在の右翼政権は確かに危機に立ってはいるが、出現しつつある多様な抵抗闘争を激しく弾圧し続けている。こうした右翼政権がなお存続しているという脈絡の中で、全国会議での代議員の発言はなされた。JCR(革命的共産主義青年同盟)の一人の代表は、CPE(初期雇用契約制度)や今なお青年に襲いかかり続けているまったく度を越した専制的で不当な軽蔑に反対する闘いで勝利を勝ち取った青年たちに連帯するよう訴えた。
だが、当然にも、討論が最も活発だったのは、来るべき選挙におけるわれわれの立場をめぐってであった。提起されたすべての立場は、自由主義路線に反対するという闘いの道を今後も継続すべきだと主張するものであった。だが、たとてそうであったとしても、そのすべての立場がそこから同一の実践的結論を引き出したわけではなかった。
引き続き討論
の続行を追求
現時点からオリビエ・ブザンスノーを候補者として決定し、運動を開始することを提案したプラットフォームAは、新自由主義に反対する左翼勢力が署名した統一候補を目指す訴えに署名することに反対した。この呼びかけが、社会党との議会レベルと政府レベルでの同盟が不可能であるという点について明確な判断を下していない、との評価にプラットフォームAの立場は立っているからである。プラットフォームAは、LCRがこの左翼の全国コレクティフにはオブザーバーの資格でとどまりつつ、新自由主義に反対する左翼の統一を打ち立てるために地区のコレクティフには参加することを提唱していた。Aのこの立場は五七・六一%を獲得した。
プラットフォームBは、オリビエ・ブザンスノーの立候補宣言が統一候補の追求と矛盾するものであると評価し、立候補宣言に反対し、統一候補を目指す呼びかけに署名することに賛成し、全国コレクティフに参加することを主張した。このBの立場は三五・九二%の支持を得た。
プラットフォームCは、ブザンスノーが前段階の準備候補者というレベルにとどまるべきであるという立場を主張した。プラットフォームCは、統一候補を目指す呼びかけの内容が署名できないものだとみなしているが、われわれは全国コレクティフにも参加すべきであると提唱した。このCの立場は、四・二二%を獲得した。……
だが、LCRは、これまでと同様に、この情況を克服しともに結集する方策を追求した。数時間の討論の後、ひとつの宣言が起草され、それによってひとつの共通の立場に八一・〇五%の代議員を結集することができた(棄権が一八・九五%)。その立場の内容は次のとおりである。
LCRの活動家は、この全国会議から独自の選挙キャンペーンを開始し、オリビエ・ブザンスノーを候補者として擁立することを多数決で決定したことを明らかにし、青年と労働者の闘いに応えて反資本主義的左翼を建設しようとするその意志を確認する。
統一候補をめざす呼びかけには署名しない。なぜなら、この呼びかけでは、主要な障害――連立政府に向けた社会党指導部との同盟の可能性――が依然として取り除かれていないからである。
明確な反資本主義的内容と社会党に対するきわめてはっきりとした立場にもとづいて前進するために、LCRは統一候補への呼びかけのための全国呼びかけ人のコレクティフと地区のコレクティフの両方の内部で活動する。この点を実現しようとする意志をもってそれに参加する。
以上の点を明確にした候補者が具体的に現れてきた場合には、オリビエ・ブザンスノー候補者を自らの候補者としては引っ込めることを、確認する。このような態度を表明しているのは唯一われわれのみである。
引き続き討論を追求するとともに、討論を続行するつもりがあるというわれわれの決意を改めて表明する。LCRは、共産党のマリー・ジョルジュ・ビュフェとジョゼ・ボベと「労働者の闘争派」のアルレット・ラギエをわれわれの夏季大学に招くことを決定した。
われわれは、われわれの政治的提案を来るべき大統領選挙において伝えるために、大統領選挙に向けて推薦議員集めなどの義務条件の達成を目指して――これらの条件はまったく非民主的な制約なのだが――これから全力を上げていくだろう。
LCRの宣言
大統領候補にブザンスノーを指名
反資本主義の統一候補を目指す闘いも続行
ここに紹介するのは、六月二十四日、二十五日のLCR全国会議で採択された宣言である。この宣言は代議員の八一%の賛成、一九%の棄権で採択された。
新自由主義に反対して繰返し登場する大衆動員は、それが社会の場であろうと――とりわけCPE(初期雇用契約制度)に対して勝利をおさめた闘争に見られるように――、選挙の場であろうと、あるいは欧州憲法条約の賛否を問う国民投票の場であろうと、わが国に現に存在している抵抗の力強さを証明してきた。こうした大衆動員が出現した後では、新自由主義路線の立場に立つとともにポピュリズムにも訴えてきた強硬路線の与党右翼陣営は、完全にその正当性を欠いている。
再び攻勢に打って出るには、セクト主義を排した最大限広範な統一の下にこれらの抵抗と大衆動員を結集させるために活動することが必要である。さもないと、逆説的だが、もし選挙戦の争点が社会問題ではなくてどんな形ではあれ(都市)治安問題に無理やりそらされてしまうならば、極右勢力がこの社会的、政治的危機から利益を得る可能性がある。
右翼ならびに極右と着実に闘うためには、直接対決を恐れる必要はない。逆に、右翼陣営が政権に就いて以来実施してきた政策――民営化、社会保障と年金改革と失業保険の改革、アンテルミッタン制度(舞台芸術関係者の失業保険制度)の改革、研究制度と教育制度の改革、医療費の値上げ、金持ち層への減税など――を取り除かなければならない。そしてわれわれに次々とのしかかってきたこれらの災厄を一掃するためには、右翼陣営だけでなく左翼陣営によっても実施されてきた新自由主義のすべての政策に終止符を打たなければならない。
セクト主義を排
し広範な結集を
政策を変えるというのは、以下の緊急措置計画を防衛し広めるために、首尾一貫した反新自由主義の政策、すなわち、反資本主義の政策を、推進することである:
解雇を禁止し、CDI(無期雇用契約)を唯一の労働契約とすること、労働時間を短縮し、すべての人々の間でのワークシェアリングを実施すること。
民間部門と公共部門のすべての労働者に対して同等に三七・五年の年金基金の支払いにもとづいて年金資格を授与すること。
右翼政権と左翼政権によって実施されたすべての民営化を取消し、幼児のための公共サービスを創出し、水や住宅や製薬産業や第四年齢期など新しい分野へ公共サービスを拡充すること、暴力被害を受けている女性を受け入れること。
SMIC(法的最低賃金)を一五〇〇ユーロにただちに引き上げ、経営者の利潤の負担にもとづいてすべての労働者に三〇〇ユーロの賃上げを実施すること。
「機会均等法」を廃棄し、研修中および求職中のすべての青年に対して自立手当てを支給し、法定最低賃金以下の報酬を禁止すること。不安定雇用をCDI(無期雇用契約)に変え、男女の賃金上、職業上の真の平等を実現すること。
雇用契約の中断なしの同一報酬水準での経営者費用負担の生活過程における研修の権利を与えること。
勤労報酬に対して減税するとともに生活必需品に対する消費税を廃止し、利潤と資産に課税する抜本的な財政改革を実施すること。
第五共和制の体制と手を切り、新たな社会的政治的民主主義の実施を可能にする憲法制定会議の選挙を実施すること。
民間利用と軍事利用の両方の核エネルギーから脱却し、遺伝子組み換え植物の野外での栽培を禁止すること。再生可能エネルギーを真に優先した開発ならびに温室効果ガスを実効ある制限を実施すること。
すべての人に住宅の権利を認め、空家徴発法を適用すること。
すべてのサンパピエ(滞在許可証を持たない移民)に正式滞在許可を認め、国外追放を停止し、すべての選挙においてすべての移民に選挙権を与えること。
予防と犠牲者の護衛とを組み合わせた女性への暴力防止のための闘いを展開すること。
その性的指向性いかんにかかわらず、すべての人に権利の平等を保証すること。
もうひとつの社会的、民主的ヨーロッパを目指して、むき出しの競争の立場に立つ新自由主義的な欧州憲法条約を廃棄すること。
NATOから脱退し、アフリカ、アフガニスタンへの軍事介入を停止し、債務の帳消しを実施すること。
候補者の問題は
シナリオが重要
右翼と左翼の両方の陣営による新自由主義的政策に終止符を打つには、大衆動員と闘争に依拠することである。それなくしては、これらの要求を経営者にのませることはできないだろう。それは、民衆が経済と国家の歩みに対する自らの統制を行使できるようにする真の民主主義の方向へと向かうことである。
社会党は、ル・マンで社会自由主義的な路線をまとめ、さらに大統領選挙に向けたプロジェクトの採択によってその第二次路線をまとめ上げた。この現実の後では、欧州憲法条約に「ウィ」(賛成)の左翼と「ノン」(反対)の左翼との間では、両者の願望がかつてないほど非和解的になっている。株主と市場の独裁を断固として攻撃することなしには、マーストリヒト条約や安定化条約の束縛を叩きつぶすことなしには、労働者や不安定雇用労働者や社会から排除された人々のために富の再分配を開始することは不可能である。
二〇〇五年五月二十九日の欧州憲法条約をめぐる国民投票によって、左翼の有権者を含む民衆の大きな多数派が欧州憲法条約を拒否した。この投票は付託という価値をもっている。われわれにとって、それは、「ウィ」と「ノン」とのいっさいの合同を禁止するものである。
LCRは、自分たちのすべての活動家とともに、欧州憲法条約に反対するキャンペーンの成功とその力強い発展に、統一コレクティフの建設に、新自由主義路線に反対する憲章をめぐる討論に、貢献してきた。このキャンペーンは、こうした大衆の希望と要求を掲げた反資本主義の政治勢力を建設する必要性を新たに生み出した。来るべき選挙期間中に統一候補を実現する必要性をわれわれが提起したのも同じ意味においてである。「ノン」の闘いに加わった他の政治勢力との間で展開されたこの一年間の論争にもかかわらず、討論は、われわれが不可欠であると思われるこれらの諸点に関する合意に今のところまだ到達していない。
LCRの活動家は多数決でこの全国会議を出発点に自らの選挙キャンペーンを開始するとともにオリビエ・ブザンスノーを候補者として擁立することを決定した。これが現時点でのLCRの決定である。選挙制度における反民主的な諸条件が、推薦人として五〇〇人の議員の獲得など小さな組織の前に踏み越え困難な障害を設けている。こうした諸条件があるので、このわれわれの政治的提案が選挙期間中に広く伝わるようにするためには、できるだけ早急にあらゆることをやり遂げなければならない。
この候補者は、労働界と青年の願望と要求に応えることを目指す。右翼や極右に反対する闘いにおいて非妥協的なこの候補者は、真に反資本主義的であり社会自由主義から独立したオルタナティブの探求に寄与するだろう。統一と反資本主義の路線に立脚するすべての支持者に開かれたこの候補者は、この政治的闘いを展開し、真の政治的オルタナティブを打ち立てたいと望むすべての人に呼びかける。
だが同時に、LCRは、左翼の「ノン」のキャンペーンに参加した勢力による自由主義路線に首尾一貫して反対する統一候補、すなわち、反資本主義の統一候補、を目指す闘いをも続行したいと考えている。
この方向へ向かいたいとする意欲は正当であり、われわれもそれを共有している。LCRにとって、この方向を推進し、実現するのを妨げているのは、政治的核心にかかわるものである。合意を可能にする核心は周知のものであって、われわれはその点を繰返し訴えてきた。われわれはその点をここで再度繰り返す。
右翼陣営およびその政策に反対して闘うこと。新自由主義に反対する首尾一貫した社会的緊急政策の綱領を擁護すること。(ジョスパン社会党を中心としたかつての)多元主義的左翼の戦略を繰り返さないこと。社会党指導部との政府レベルと議会レベルでのいっさいの同盟を拒否すること。
「ノン」が五月二十九日に勝利するためにそれぞれのやり方で活動した、四人の運動出身候補が今日存在している。「労働者の闘争派」のアルレット・ラギエ、ジョゼ・ボベ、共産党のマリー・ジョルジュ・ビュフェ、オリビエ・ブザンスノーである。再度繰り返して述べておくが、LCRにとって、これは、候補者の人選の問題ではなくて、シナリオ(筋書き)の問題なのだ。
基本において合意が見出せた場合には、LCRはオリビエ・ブザンスノー候補を撤回するだろうし、その場合には、この展望を体現する人物について合意に達するにはいかなる前提条件も必要ないだろうし、それについていかなる困難もないはずである。LCRはいかなる前提条件もつけない。それが明確な形で実現されるかぎり、すなわち、社会党との議会や政府レベルでのいっさいの同盟が拒否されるかぎり、LCRは共同で決定された候補者を支持するであろう。
LCR全国会議は、この道に今なお残り続けている障害の除去を可能にする論争とあらゆるイニシアチブを引き続き取り続けることを決定した。同盟はすでにマリー・ジョルジュ・ビュフェとジョゼ・ボベとアルレット・ラギエをLCRの夏季大学の際にともに討論するために招待している。同盟はまた、同じ精神にもとづいて、地区でも統一集会を開くように提案している。
LCRは二〇〇六年五月の統一候補を目指す呼びかけに署名しなかった。それを妨げた主要な相違(社会党指導部との議会レベルや政府レベルでの同盟の可能性)は目下のところ取り除くことができていない。このために、統一候補の実現が妨げられている。それを実現する必要性は今なおなくなっていない。LCRは、この障害を取り除きたいと願うすべての基本的組織に引き続き参加し続けるだろう。同盟は、すでに述べた理由のために統一候補を目指す呼びかけには署名しないが、合意実現の希望を抱いて、自由主義に反対する統一候補全国呼びかけ人委員会でこの論争を展開し、この委員会に参加し続けるだろう。
これら四人の候補を支持するすべての勢力と政党が会合を開き、解決すべき問題に真剣に取組むことが、不可欠であり、緊急に必要である。同様に、この目的のために動員されているすべての活動家と組織機関の間で、とりわけ五月二九日のコレクティフ関係の組織の内部で、以上の問題に関する論争を発展させることが緊急に必要である。さらにまた、この政府の攻撃に反撃するために必要とされる大衆動員を築くためにも、社会的、政治的戦線を建設することも緊急の課題である。(「ルージュ」(06年6月29日)
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