メキシコ・独立労働組合を承認せよ
韓国・現代グループの下請企業ハンヤンで続く労働争議
サンディエゴの「マキラドーラ(メキシコのアメリカ合衆国との国境近くにある輸出用保税工業地帯)労働者支援委員会」とワシントンDCの「労働者の権利のためのキャンペーン」は、「現代」(ヒュンダイ――韓国の財閥)に焦点を絞って消費者の圧力をかけるキャンペーンを再開し、さらに強化している。
このキャンペーンは一年前に始まり、ティファナにあるメキシコの下請け工場であるハンヤンの労働争議で公正な裁決が出ることを目指している。
支援委員会運営幹事のメアリー・トンは「ハンヤンの危機は、北米自由貿易協定(NAFTA)の誤りを、あらゆる面で例証している」と説明した。「メキシコ自身の労働法の実施をメキシコ当局が拒否したことは、メキシコ、アメリカ、カナダの市民に対して自由貿易の道をこのまま突き進んでいっていいのかということについて再考を促している」。
「現代」に対する新たなキャンペーンは、「現代」企業とメキシコ政府に対して労働者の独立組合を承認させることを目標にしたものになるだろう。
ハンヤンの労働者は、「現代精密アメリカ」が後で牽引トレーラーに組み立てる車台を溶接している。「現代精密」の本部はサンディエゴにあるが、これらの作業はともにティファナ地域で行われている。韓国の「現代」グループは、アジア通貨危機によって厳しい財政的窮迫をこうむってきた。キャンペーン活動家は、「現代」はアメリカからの輸出に不利な影響を及ぼすキャンペーンに持ちこたえるための準備ができていないと信じている。
ハンヤンにおける中心的課題は、自らの選択によって独立組合に加盟する労働者の権利や、経営と協約を結ぶ労組の権利を尊重することである。労働者たちは「十月六日労組」(この名前は、最初の組合資格証明選挙が行われた日からとった)を結成し、選挙資格のある労働者の明確な多数は、三度にわたって独立組合を代表とすることに賛成投票を行った。ティファナ地域の他の工場の労働者は、熱心に新労組を代表とするよう求めていると報告されている。
「現代」側は傍観しつつ、ハンヤン側が独立労組を破壊、ないし策略におとしいれようとする方向に進んだことで、最初の協定は決裂した。ハンヤンの経営側によるこうした行為の多くは、あからさまにメキシコ労働法を侵害するものだった。いずれにせよ、ハンヤンは「現代」(ハンヤンの唯一の取引先)の同意、おそらくはその助力なしではその行動路線を継続することは不可能だった。
新たなキャンペーンは、まずその圧力のほとんどを現代自動車の販売業者に向ける。
九八年九月九日に支援委員会は八十七のアメリカの宗教組織の代表が署名した公開状を「現代」に発した。「あなたの企業が現状況に対して公正な解決を課する位置にあるので、ハンヤンの労働者の権利の継続的侵害は、アメリカでの『現代』の評判を傷つけるだけでしょう」とそれは書いている。
「現代」へのもう一つの公開状――これは百三十六の地域組織と個人が署名している――は、次のように述べている。
「私たちは、私たちの組織のメンバーや広範な人びとがハンヤンの労働争議における『現代』の役割に十分に注意を払い、消費者の適切な決定に応えるよう保障するための長期かつ強力なキャンペーンに関わっています。私たちは、ハンヤン労働者が脅迫や弾圧のない環境の中で公正な協約を交渉することが認められるよう保障するために、決定的かつ速やかに介入することを、貴社に強く訴えます」。
「労働者の権利のためのキャンペーン」全国コーディネーターのトリム・ヴィッセルは述べている。
「あらゆる所の心ある人びとは、ハンヤンの労働者が受けている扱いに憤慨しています。『現代』は、自動車販売店の窓の外にピケットのしるしを見たとき、また議会のホールでその労働政策に対して疑問の声が上がっているのを聞いたとき、突然目が覚めることになるでしょう」。
(「インターナショナルビューポイント」98年10月号、『メキシカン・レイバー・ニュース・アンド・アナリシス』第3期16号より)。
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