ロシア・債務破産と自壊進む 資本主義以前的経済

ヒレル・ティックティン/スーザン・ワイスマン

 ソ連邦の崩壊から八年、ロシアの経済危機はますます深刻の度を加えている。経済システムとしての資本主義はいまなお確立していない。賃金も支払われず、税金も徴収されず、企業間の取引は物々交換になっている。生産は90年の半分以下になった。そしてそれと連動した政治的混乱が深まっている。

破局的に低下した生活水準

 ロシアの経済危機は株式市場と通貨の世界的規模の下落の引き金なのであって、その原因ではない。ゴルバチョフがソ連に市場原理を初めて導入した国営企業法を可決させて以来、ロシアは10年間にわたって厳しい経済危機の中にある。他方、世界は、生産物が過剰で購買者が不十分な、供給過剰の状態にある。ロシアの債務破産はきたるべき出来事の発端であるように見える。
 しかしロシアの破綻にはそれ自身の独自の先行事態がある。1992年にエリツィンは価格統制を撤廃し、急速な脱国有化政策を開始した。ロシアでの民営化は、ポーランドやチェコ共和国よりも先に進んでしまった。ポーランドもチェコ共和国も資本主義への移行に制限を付しているように見えるが、ロシアとウクライナはひどく失敗した(1)。
 生産は1990年のレベルの半分以下になったが、1990年にしてもいい年だったわけではない。総投資は1990年のレベルの5分の1である。金属・機械産業では1990年の5%である。生活水準は破局的に下落した。ソビエト水準からの下落の規模は20~50%であるが、その数字を信頼できるものと見なすことはできない。
 労働者にはしばしば数カ月、数年にわたって給与が支払われず、彼らが受け取るのはわずかに1月にして50~100ドルのささやかな額だったが、それも今では平価切り下げによってさらに低くなっている。人口の4分の3の生活は、公式の最低生活水準、ないしそれ以下に押し下げられてきた。
 公営部門においても民間部門においても賃金の未払いが標準的なことになっている一方で、年金生活者やインテリゲンチャは恐るべき目にあっている。年金の未払いは、高齢者が飢餓、寒さ、放置によって死亡する予想を増大させている。多くの女性たちが職を失ってきた。デイケアセンターや看護学校は閉鎖されるか、現在では支払い能力のある人々が入る施設になっている。
 教師や医者は、たんに給与を支払えという要求だけでストライキをしてきた。研究労働者は職を失い、乏しい賃金、生存に耐えられない賃金のために外国に移住したり極貧生活にあえいでいる。国防省は兵士たち--士官もふくめて--に対して、森に果実やきのこを捜しにいくようアドバイスしている。そうすれば彼らが食事にありつけるから、そしてたぶん「有益な時間」が過ごせるからである。炭鉱労働者は未払い賃金の支払いを要求して鉄道を占拠した。
 戦争もないのにこれほど急速に大規模な後退をこうむった社会はほとんどない。平均寿命は、わずか七年のうちに七歳も低下した(64歳から57歳へ)。世界のほとんどの人びとは、ロシア人の忍耐力の広がりにびっくりしてきた。不思議なことは、たった一つの民衆蜂起もなかったことである。
 ロシアの人びとは、自分たちに割り当てられた市民菜園や庭やアパートの窓に置いた鉢の中で食物を採取したり栽培することによって、どうにかこうにか生き延びてきた。ロシアの人びとはこうしたやり方で自力で食いつなぎ、買わなければならないものは茶、パン、ミルク、塩だけという生活をしてきた。ビジネスの75%をバーター取引で行なっているロシアの産業のように、個々の人びとも自分たちが買えないものを物々交換で手に入れている。

終わりのない政治的な混乱

 悪化する経済危機は政治危機をともなっており、そしてエリツィンがドゥーマ(ロシア議会)に譲歩し、彼がビクトル・チェルノムイルジンを首相に指名したのを撤回したことで、憲法の危機はぎりぎりのところで回避された。
 この解決は、エリツィンが議会を解散するか、それとも議会がエリツィンへの弾劾手続きを開始するかという二者択一の恐怖を避けるものだった。これは、憲法上の権利をほとんど持たないが、事実上の権力を引き受けているドゥーマの注目すべき勝利である。
 新首相のエフゲニー・プリマコフは1996年以来外相を務めてきた。彼はロシア連邦共産党(KPRF)の支持を受けた、完全に妥協の産物としての候補であり、彼の政権はミハイル・ゴルバチョフからさえも同様に好意的な評価を受けている。
 プリマコフは経済を救済するために引っ張りだされた。プリマコフはルーズベルトになぞらえることができるという願望の下に、ロシア版「ニューディール」について多くのことが語られてきた。彼はケインズ主義的な危機対処計画を語ってきたが、資本主義になったことのない社会でケインズ主義を云々することは困難である。
 プリマコフを選んだことは、ロシアにおける金融資本と西側の位置の後退を示すものである。プリマコフはユダヤ人であり、グルジアのトビリシで生まれ育った。彼のファミリーネームはフィンケルシュテインである。にもかかわらず反ユダヤ主義のKPRFが彼を支持したのは、彼が産業界と古くからの政治エリートの利益を代表しているからである(2)。
 彼はほぼ40年間も諜報活動にたずさわってきたが、しかしわれわれの知るかぎり、それは対外諜報活動(SVR-対外諜報サービス)であって国内でのスパイ活動ではない。プリマコフはアラブ・中東問題の専門家であり、長年にわたりロシアの対外スパイ活動にたずさわる一方で、1977年から85年まで東方問題調査研究機関を指導してきた。
 彼はまたきわめて名声の高い世界経済・国際問題研究所を指導していた。この機関は彼が担当していた当時、数千人の研究者とそれ自身の大きなビルを持っていた。当時この機関はソ連共産党(CPSU)中央委員会にアドバイスをしていた。
 こうしてプリマコフは長年にわたって政治的に著名な人物だった。ほとんどの西側の報道はプリマコフを経済についての基礎のない男として描きだしているが、明らかに彼は資本主義に関して一定の知識を持っている。彼の首相への任命によって、継続的なラセン的分解--諸地域が自立し、船から飛び降りるという脅しをかけながら--を阻止することができるがどうかは、まだこれからの問題である。
 内乱、社会的爆発、忍耐の終わりといったことが語られつづけている。社会はきわめて不安定で将来は予測できない。これはソ連邦が終焉した後の1992年以来、ずっと進行してきたことである。しかし西側は、同じような破滅的政策につき従いながらロシアに対して「路線を守る」よう求め、そうしたことが起こるのを否定しているように見える。
 今やエリツィンが軍に対して議会を砲撃するよう指令した1993年と似通った、危険に満ちた事態である。指揮官たちは自ら「異常な状況」に備えるよう指令してきた。
 変化したことは、エリツィンがかつては大衆的支持を獲得していたが、現在ではだれからも憎悪されていることだ。昔を振り返れば、エリツィンは特権を批判する共産主義者であり、党内で攻撃されていたためにストライキに立ち上がった炭鉱労働者の支持を獲得した。彼らはエリツィンが共産党内の管理者層エリートに対する闘いを導いていると見なしていた。当時労働者たちは、市場が特権を取り除き、平等をもたらすと考えていた。炭鉱労働者は資本主義が人間による人間の搾取を一掃すると語っていたのだ!
 1992年にエリツィンは、6カ月で生活水準が上昇すると約束し、それができなかったとき、さらに6カ月が必要だと語った。エリツィンは彼が約束したこととは逆の事態を解き放ち、民衆的支持を失った。実際、いまでは何百万人もの人びとが彼の辞任を求めてデモをしている(3)。

賃金も払わず税金も取らず

 エリツィンが「改革」ないし資本主義の導入の主要な道具となったため、いまや資本主義それ自身が疑問に付されている。
 物価統制の撤廃によって引き起こされたロシアの大幅なインフレーションは、紙幣の印刷が制限された1995年以後、統制された。カネがない中で、各企業はしばしば賃金を払わなくてよいというより良きシステムに改宗している。
 IMFの予算均衡目標に合致させることに熱心な政府も賃金を支払うことができない。企業の3分の2はバーターのシステムで作動しており、カネの動きをともなう取引高は2~20%にすぎない。その結果、税金は支払われないか物納かである。賃金を支払わず、税金を徴収もしないとは、なんとも変わった資本主義である。
 国庫の危機は、エリツィンによる1991年のウオッカ生産の民営化によってさらに悪化した。ウオッカにかけられた税はツァーの時代には国庫収入の5%を占め、ブレジネフ時代には13%になっていた。
 プリマコフが明らかにしている意向の一つは、ウオッカの国家独占を再導入することであり、そうすれば国家への収入を生み出すとともに、販売されるウオッカの質を規制することができるだろう。
 事実、平均寿命の下降はウオッカ生産と直接的関連がある。国家がそのウオッカ独占を手放して以来、ウオッカの品質は低下し、水増しされ、時には有毒物が加えられている。
 より質の悪いウオッカが町に出回るにつれて、消費量は上昇し、事故も増えてきた--自動車事故は増加し、酔っぱらって街頭をうろつき車にひかれる人が増え、街頭でのけんか騒ぎで死ぬ人も増えている。

国内から流出し続ける資金

 カネに欠乏している中で予算は膨大な赤字となっているが、その赤字はロシアと外国の諸機関が購入する政府債の発行によって賄われている。こうした債券の支払い不履行は、税の徴収が増大しない状況では不可避的であった。しかしバーター経済が続いているかぎり、税収の増加は不可能だった。
 今や予算の半分は、利子の支払いに充てられており、それは問題をいっそう悪化させている。
 さらに経済の犯罪化は、税の徴収を危険な仕事にしてしまった--1996年には41人の税査察官が殺害された。給料を支払われないか、ほんのわずかの額しか貰っていない普通の労働者に課税することはほとんど無意味である。
 政府は、チェルノムイルジンの企業であるガスプロムのような大企業を調査した。しかしガスプロムもまた、ウクライナのようなその顧客の多くから支払いを受けておらず、政府それ自体にそむく前は、きわめて限定された上納金しか用意できなかった、
 最近ガスと石油の価格が下落するまでは、ロシアの貿易収支は黒字だった。しかしもはやそういうことはない。毎年約200億ドルが非合法的に国内から流出していると見積もられている。ロシアは西側に資金を提供してきたのであって、その逆ではない。国際通貨基金(IMF)から、また債券の発行や、民営化によって相当額を受け取ることになったここ2、3年間の以前は、資金の流入はきわめて限定されたものであった。
 IBMとフィリップスはロシア国内での生産から撤退したが、それは工業への直接投資がきわめて抑制されていることを示している。実際、エリートたちはロシアへの資本流入を利用して、それを西側の銀行に預金したり、ロンドンやサンフランシスコなどで不動産を手に入れている。
 こうした状況の下で、分別のある投資家はなぜロシアにカネをつぎこむのだろうか? その答は、西側の債券市場で手に入れられるよりも大きい見返りを求めて世界をかきまわしている巨額の余剰資金にある。
 ロシア国家が利子を支払えなくなったためであるか、外国の信用供与者に支払う外貨がないためであるかにかかわらず、ロシアのメリーゴーランドは、いくつかの点において終止符を打たなければならない。

資本主義移行過程が危機に

 ロシアにとってなんらかの解決策はあるのだろうか。プリマコフの政策は解決策を指摘しているのだろうか。社会危機を回避する唯一の短期的解決策は紙幣を印刷することである。それはインフレをもたらすだろうが、もし国家の投資、あるいは国家が奨励する投資によって経済が拡張するならば、それは機能するかもしれない。遊休中の工場は生産を再開することができる。
 しかしルーブルの印刷は、通貨への規律と利潤動機を強制しようという企図を妨げるだろう。西側がこうした解決策に反対しているのはそのためである。資本主義への移行それ自身が危機にさらされている。
 市場や資本主義をわがものにするためには、貨幣は貨幣として導入されなければならない。すなわち経済は「貨幣化」されなければならない。1992年の物価統制の撤廃、1995年4月からの貨幣発行に対する統制、そして予算の均衡は、その目的を達成するためのものとされた。
 ソビエトシステムの下ではルーブルは貨幣として機能しなかった。諸物資を手に入れるためにはルーブルよりも、諸方面へのコンタクトや、行列の中の位置や、社会的ヒエラルヒーの中での立場の方がはるかに重要だった。
 また逆に企業は組織された基盤で物資を獲得したが、それは中央計画を通じて是認された。企業にとってルーブルはほとんど役割を果たさなかった。利潤は重要ではなく、またどの企業も、とりわけ賃金を支払うために銀行に要求することによってより多くのルーブルを獲得することができた。
 現在、クリントン米大統領やIMFのミシェル・カムドシュ専務理事、そして多くのエコノミストたちは、資本主義への移行は、それが十分に先に進まなかったために失敗したのだと主張している。彼らは、出費の切り捨て、福祉支出の削減、補助金の廃止、破産の強行を主張している。そこで企業は、カネで自らの債務をすべて支払わなければならないか、さもなければ破産に直面することになる。
 例外的ともいえる緊縮政策という状況下での大量失業は、貨幣導入の先ぶれである。そこから利潤を上げる企業が登場し、経済はテイクオフする。マネタリストのドグマが単純な理屈にとってかわったかのようである。
 もしクリントンとカムドシュのアドバイスが重視されるならば、その結果は意図に反するものになるだろう。生み出されるものが市民社会のカオスか内乱か、クーデターか蜂起か、それともロシアの分解(ダゲスタンはすでにロシアからの分離とイスラム地域を創設する意向を宣言した)かは、いまだ分からない。
 ロシアの排外主義、反ユダヤ主義、ポグロム(大虐殺)そして戦争は、こうした諸措置によってさらに可能性が高まり、それは大規模な屈辱的事態にまで上り詰める。こうした状況下で、反資本主義勢力がきわめて急速に成長することもまた確実である。
 ロシアのエリートたちは、クリントンやカムドシュの方法が最も危険である可能性が高いことを理解している。彼らはこのアドバイスを採用していない。しかし金融エリートの諸セクションは困難の中にあり、救命綱を必要としている。そこで彼らは、産業エリートとともにケインズ主義的-保護主義的オルタナティブを生み出す勢力に加わった。
 もし通貨が中国やマレーシアにおいてそうであるように交換の統制の下に従うことになり、紙幣が印刷されれば、資本主義への移行はないだろう。しかし経済は復活するだろう。それは非効率的で、技術的に後進的で、世界市場で競争することはできないだろうが、数年間にわたって住民に職場や物資や食料を提供するだろう。
 この解決策はロシアの経済危機を終わらせないが、一定の安定をもたらすだろう。それは労働者の戦闘性の増大に導きそうであるが、それはロシアのエリートにとって唯一の実行可能な選択である。もし事態が手に余ることになれば、彼らはつねに西側に逃げ込む選択肢を保持している。
 こうした情勢の中で、工業経済の回復に焦点をあてたプリマコフの処方せんは一時しのぎのものである。プリマコフのレーザーの焦点は、社会的爆発を阻止することにある。
 プリマコフ「プラン」は、中央銀行による貨幣の「発行コントロール」を含んだものである。それは、中央政府が工業での投資ができるように、その未払金を支払うための十分な額の貨幣を中央銀行が発行することを意味する。しかし、この国からの約200億ドルにのぼる漏出が止まらないかぎり、また海外の資本の動きのコントロールが提起されないかぎり、達成できるものはほとんどない。
 この政策の合理性は決してくだらないものではない。それは、現在の社会経済危機を賃金・給与の支払いを通じて終わらせ、また産業を瀕死状態から回復させようとする試みを通じて雇用を再生させる。
 この政策の問題は、現在の工業と農業の低落があまりにも大幅であるため、ルーブルやドルを供給することだけでは不十分だということである。より詳細な再組織化が必要であり、おそらくこのプログラムへの限定された「中央計画」であっても効果があるだろう。
 いずれにせよプリマコフの政策は、さしせまった社会的破局の防衛策であるにすぎない。それに代わってありうることといえば--強力な左翼が不在であるという状況では--大規模な飢餓をともなった大量失業だろう。

銀行という名の粗野な機関

 いわゆる移行期の内部的失敗にとって、銀行の危機は副次的な問題にすぎない。銀行危機の意味を理解するためには、「粗野な東の国」の銀行は、預金を集め企業にカネを貸す西側の銀行とはまったく似通ったところがないということを最初に理解しなければならない。
 ロシアの銀行は、多くは銀行所有者の利益を促進するための国家資金の導管である。規制はほとんどなく、汚職はヤマほどある。貨幣の多くは裁定取引に関わっており、あるいは外国為替市場で投機された。その損失は、実質的に支払い不能のまま銀行に残された。
 7つの主要グループのうちSBS�\アグロは破綻してしまい、国立銀行に合併されている。他の三つは相互に合同した。他のそれほど重要でない銀行は困難にぶつかっているが、おそらく大した関心を持たれていない。
 こうしたグループは、中央の銀行との政治的・経済的グルーピングを行なっているものとして理解されなければならない。銀行はグループの取り引きを促進するために機能してきたし、ドルは主要に原料資源の輸出や、究極的にはこの貿易に基礎を置いた金融取り引きのさまざまな形態を通じて獲得されてきた。
 システムが変化した時、上方への可動性を持ち、機を見るに敏なアパラチキ(官僚階層の一員)は、資本家になるのに最良の道は金融を通じてであるということを理解した。工業部門は労働者との関係が必要であり、したがって資本主義に転換するためには長い時間が必要なのである。
 そこでさまざまな党・国家組織は、彼らの資金を一つの機関に預け、それを銀行と名付けた。こうして以前の党書記たちは銀行家になることができたのである。
 一度銀行が設立されると、それは自らの軌道を持つようになった。とりわけそれは、国家自身から巨額のカネを引き出した。一つの方法は、高レベルの利子を支払う大蔵省証券(GKOと呼ばれた)を買うことによってであった。
 こうした銀行は、今度はルーブルの余剰を頼りに西側からカネを借りた。それからこうしたドルは西側の為替取引に投機された。その一部は銀行所有者によって引き出され、海外に預金されたと推測されている。
 この時期にルーブルは兌換性があったことに留意するべきである。ルーブルがひとたび切り下げられるや、こうした銀行は難局に陥った。もはやドル債務に対して支払うに十分なルーブルを獲得することができなくなったからである。「ニュー・ロシア人」はこの過程で一掃された。七つの寡頭支配は、子ども同然になってしまったことが示された。しかしそれはまた別の話だ。


注1 なにが資本主義国家かスターリニスト国家かを構成する指標かという論点は、公式の民営化の程度によってつくされるものではない。旧ソ連邦はポーランドよりも民営化の度合いが大きい--アルバニアもさらに民営化のレベルは高い。しかし労働者経営の諸関係は以前ときわめて似通ったものにとどまる傾向があった。ポーランドはロシアや一部の他の東欧諸国よりも工業における民営化ははるかに少ないが、資本主義に向かってさらに大きく進んできた。にもかかわらず、ポーランドが資本主義になったかどうかということは公然たる論議の対象である--今にいたるまで、労働者は労働予備軍や商品物神を通じた規律に染まる傾向をもっていない。経済全体の中で外国直接投資がかなり大きな規模で存在する場所でのみ、社会的諸関係における飛躍的な変化が存在する。ハンガリーはこのルートに沿って先へ進んでいる。

注2 ロシアでは反ユダヤ主義が非常に活発ではあるが、ユダヤ人であることは、スターリンが権力を確立して以来そうだったように政府や産業で高位につくことを不可能にするものではもはやなくなっている。指導的ないわゆる寡頭制のうちの六人と同様に、前首相のキリエンコ、ボリス・ネムツォフ、アナトリー・チュバイス、ボリス・フョードロフ、エゴール・ガイダルらはすべてユダヤ人である。

注3 警察当局によれば、11月7日の抗議行動には130万人が結集した。しかし、その組織者たち(共産党員と独立労組)は、1200万人が行進や労働放棄に参加したと述べている。後者の数字は明らかにとてつもなく過大であるが、参加した人数は現にある不満や怒りの小さなサンプルにすぎないことは明確である。いずれにせよ共産党と労組、そしてその他の諸組織は、政治危機が最悪の事態にあった九月初旬に抗議の行動を行なわなかったことによって、チャンスを逃してしまったのである。
(米「アゲンスト・ザ・カレント」98年11・12月号)

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