フランス:マクロンの世界断ち切る闘いへ

民衆的決起の開始

根底的変革の政策始める政府を

アントニー・ララーシュ

抜本変革求める運動への跳躍台

 9月10日の決起はひとつの成功だった。それは、フランスにおける抜本的な変革を求める大衆運動建設に対しひとつの跳躍台を提供している。
 フランスのメディアと政府は、この日の成功を軽視しようと試みるかもしれない。しかしそれは、フランスの労働者階級の力量を示す成功にほかならない。内務省によれば、2万9千人を動員した157件の封鎖を含め、430の行動があった(黄色のベストの最初の日々における2、3000に比べ)。しかしわれわれは今すでに、ボルドーで1万5千人、トゥールーズで約3万人(年金決起の最高潮時の12万人に比べて)、レンヌで少なくとも1万人がデモに決起した、と言うことができる。
 パリでは多くの行動があった。たとえば数カ所のパリへの主な入り口に対する封鎖。これらのパリ封鎖のほとんどは、8万人の憲兵と警察官を動員した政府によって解体されたものの、相当な数のストライキ労働者が登場したいくつかのピケットラインはもちこたえた。どこでも、多くの若者の存在が認められた。総計17万5千人(CGTによれば25万人)のデモ参加者がリテールロー(内務相:訳者)によって公表されたが、彼が「予想していた」のは10万人だった。その晩、運動の次の段階を議論するために全体総会が開催されることになっていた。

深い政府危機へ底辺から回答


 半ば自然発生的な運動として、それは大きな成功だった、と言われてよい。それは、幅広い多様さがある諸個人と諸運動によって、次いで巻き込まれることになった急進左翼(不服従のフランス、極左、一定数のCGT連合、ソリデール、地方労組、その他)によって引き金が引かれた。一方主要労組連合は、9月18日の1日ストライキ行動(大衆的な大決起として実行された:訳者)を呼びかけた。
 特にこの年の予算を書き換え、さらに2日の公休日をなくす意図の公表の後、マクロンと緊縮拒絶の旗の下に、8月末と9月始め、いくつもの総会が数百人の人々を結集した。ちなみに先の予算書き換えは、公共サービスと社会保障に悲惨な影響を及ぼすことになるものだ。また2日の公休日とは、5月8日〔欧州における第二次世界大戦終結記念日〕とイースターの月曜日だ。諸々のデモでは、これらのスローガンが、極右と軍事予算増額を拒否するコール、またパレスチナに対する連帯を示すコールと組にされた。
 政府は、バイル首相が信任投票を求め、支持が僅か194票、反対384票でそれが拒絶された9月8日に瓦解した。翌9月9日のマクロン大統領によるルコルニュ国防相の首相指名は、ある種の挑発と計り知れない弱さの告白の両方のように響いた。マクロン下での全政権の連続性、および社会財源の軍国主義に向けた移転の両者を代表する誰かを、その地位に人はどうすれば指名できるのだろうか、という意味でそれは挑発だ。またそれは、彼の政策を実行する意志をもつ政治家を見つけ出すのがマクロンにとってどれほど困難かを示している点で、弱さの告白だ。
 来る数週間が非常に重要になるだろう。すなわち何ごとかが起きる可能性もある。労働者階級と左翼に十分な決意がなければ、半ば権力の真空状態というこの時期の中で頂点に現れるのは右翼と極右になるだろう。われわれは、反社会的かつレイシスト的な攻勢を加速し統治するための、ルペンとマクロン間の合意を見る可能性もある。あるいは、RN(国民連合、ルペンの党:訳者)と共にこの政策を押し通すことになる「専門家政府」という可能性もある。その場合RNは、その政府にそうさせ、2027年大統領選までその時がくるのを待つだろう。

勝利のための運動建設に挑戦を


 反対に労働者階級は、それが攻勢的立場をとるという条件で情勢に影響を与えることができる。これに必要なのはいくつかの条件だ。
 第1は、少数派の急進的な運動に満足しないことだ。基本的なことは運動の建設であり、来る日々に、諸々の部署、職場その他に出かける数を増やし、パンフレットを配布し、大衆的ストライキの準備を整えよう。9月18日は政府の諸政策に反対するゼネストに向けた転換点になる可能性もあるのだ。
 第2は、経済と社会の情勢、また現在の諸課題に対応する明確な目標とスローガンをもつことだ。債務の帳消し、賃金の400ユーロ引き上げ、公共サービスへの資金供与、退職年齢の60歳復活、整理解雇禁止、失業者の権利の回復、外国人に対する移動・定住の自由と平等の容認、戦争政策および特にパレスチナ人ジェノサイドに対する共謀を終わらせること、などがそれだ。
 3番目は、権力の問題に回答することだ。バイルとルコルニュを取り除くだけでは不十分だ。つまりマクロンこそ除かなければならない。これは、現在の諸制度の枠内では起こり得ない。それは、非民主的で破綻している制度なのだ。われわれには、現存秩序に対する根底的な変革の政策を始める変革の政府、労働者、その諸組織、諸労組、左翼諸政党からなる政府が必要だ。
 これが、それらの新聞、それらのパンフレット、また諸々の総会での彼らの発言を通して、この運動の中で反資本主義活動家が擁護できるものだ。活動家は、運動の統一――すなわち、社会的あるいは政治的左翼全体の、草の根から頂点までの統一――を、そして具体的な目的に基づくその建設を擁護しなければならない。
 その目的は、要求の分野、および民主的かつ戦闘的な組織化(全体総会、ピケットライン、リーフレット配布その他)と路線の分野双方におけるものになる。そしてその路線は、支配階級との衝突を考慮に入れるものであり、その衝突は文字通りの大規模かつ持続的な決起で止まることになるだろう。
 一定のブルジョアジーの諸部分はすでに、社会運動と対決する上での頼りとして、極右と抑圧を見ている。われわれは、反社会的、レイシスト的、かつ好戦的な攻撃の先鋭化を避けるために、そして新自由主義の資本主義と決裂するために勝利しなければならない。(2025年9月10日、「ランティカピタリスト」からIVが訳出)
▼筆者は「インプレコール」(FIのフランス語版機関誌)編集者で第4インターナショナル指導部の1員。(「インターナショナルビューポイント」2025年9月14日)  

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