連邦民主主義憲章宣言

かけはし 第2662号 2021年4月19日

連邦議会代表者委員会
布告19/2020 ミャンマー暦1382年12月下旬4日

 3月31日、NLDの議員で構成されているミャンマー連邦議会代表委員会(CRPH)は、「連邦民主主義憲章」を発表した。この憲章は「憲法草案の作成の際にも、従うべき基本的な指針である」としている。軍の特権を排し、少数民族の自決権を大幅に認め、差別撲滅委員会やジェンダーに基づく暴力撲滅委員会の設置を決めている。今後、CRPHが軍の支配を排し、ミャンマーの政治を担うことができるかどうかの攻防に入るだろう。一部を紹介する。(編集部)

 1 連邦内で発生した紛争や根本的な問題などを完全に解決するため、ミャンマー国民であるすべての民族が参加し協力するため、すべての市民が平和のうちに同じ運命を共有し、調和を保って生きることができる繁栄した国家であって、民主主義が実現し、平等権および自決権が保障され、連邦内のすべての民族、全ての国民が自由、平等、正義の観念に基づき、相互に承認・尊敬し、相互に友好的で助け合い、団結している連邦民主主義国家を建国するとの決意のもと、本連邦民主主義憲章(フェデラル デモクラシー チャーター Federal Democracy Charter)を連邦議会代表委員会が本日2021年3月31日に宣言する。
 2 マンウィンカインタン副大統領代行が率いた連邦大臣代行を含む人民政府は、国民統一政府が樹立されるまで連邦の行政権を担当し続ける。
 3 2020年総選挙において国民全体が民主的に投票し、与えられた権限をもって2021年4月第1週間内に国民統一政府を構成し、連邦民主主義を信奉する全ての団体が、お互いに手を繋ぎ、本憲章で規定する目的及びロードマップを、すべての団体が集団的なリーダーシップを通して段階的に協働して実現していくことを宣言する。

連邦議会代表委員会
office@crphmyanmar.org crph.official.mm@gmail.com

連邦民主主義憲章

連邦民主主義国家宣言

2021年3月31日

 本連邦民主主義憲章は、総選挙で当選された国民代表者、政党、CDM主導者、ゼネスト勢力、女性および青年団体を含む市民社会団体及び民族武装組織(EAOs)のすべてが団結して議論・決定・合意されたものであることを確定する。

 目  次

 前文
第1章 目的
第2章 憲章の加入者
第3章 実施プロセス(政治的ロードマップ)
第4章 連邦民主主義国家の憲法案の作成
第1 連邦国家構想および基本的価値
第2 連邦民主主義国家を建国するための指導原則
第3 連邦民主主義国家の建国に関する基本政策
第5章 誓約
結語

 第1章


目的
連邦内で発生した紛争や根本的な問題などを完全に解決するため、ミャンマー国民であるすべての民族が参加し協力するため、全ての市民が平和のうちに同じ運命を共有し、調和を保って生きることができる繁栄した国家であって、民主主義が実現し、平等権および自決権が保障され、連邦内の全ての民族、全ての国民が自由、平等、正義の観念に基づき、相互に承認・尊敬し、相互に友好的で助け合い、団結している連邦民主主義国家を建国するため、以下の事項を実現することを本憲章の目的とする。


1 独裁制の根絶
2 2008年憲法の廃止
3 連邦民主主義国家の建国
4 国民政府の樹立

 第2章 憲章の加入者(Members of the Charter)
以下の機関は、本憲章の定める目的を協働して実現するために協力する。


1 総選挙で当選した議員
2 政党
3 CDM、ゼネスト委員会及び女性または青年団体を含む市民社会団体
4 民族武装組織(EAOs)

 第3章 実施プロセス(政治的ロードマップ)

 第4章


連邦民主主義国家憲法の作成
本憲章の加入者の合意に基づいて設置された憲法草案起草委員会は、以下の原則に基づき、憲法草案を起草しなければならない。
第1原則 連邦国家構想および基本的価値
第2原則 連邦民主主義国家を建国するための指導原則
第3原則 基本政策

 第1原則


連邦国家構想および基本的価値
連邦国家構想(Union Vision)
我々は、自由、平等、正義が保障された平和的連邦民主主義国家を建国する。

 連邦国家における基本的価値(Union Values)
連邦国家を建国するにあたり、我々は、以下に掲げるものを基本的価値として信じ、受け入れる。
1 民主主義的権利、ジェンダー平等および基本的人権
2 平等および自決
3 集団的リーダーシップ
4 多種多様で異なる意見の受容、社会的調和、団結および無差別、
5 少数者の権利保護

 第2原則


連邦民主主義国家を建国するための指導原則
1 連邦国家を構成する各州およびその州内の国民は、元来、主権を有する者である。
2 連邦民主主義国家は、平等権および完全な自決権を有する各州により樹立される。国家を構成する全ての州は、政治的に平等である。
3 連邦国家を構成する各州は、それぞれ自州の憲法を制定することができる。
4 連邦国家は、権力の共有(Power Sharing)、資源の共有(Resource Sharing)、税収の共有(Revenue Sharing)および財政連邦主義(Fiscal Federalism)を実施する。これらを実施するにあたっては、国民に一番近い政治組織が実施できるという補助原則 (Subsidiarity Principle)に基づくことを要す。
5 連邦国家の治安および防衛に関する全ての実力部隊は、民主的に選ばれた文民政府の指揮監督のもとに置かれなければならない。これらの実力部隊は、人間の安全保障原則に基づいた政策を実施しなければならない。

 第3原則


連邦民主主義国家の建国のための基本政策
連邦国家の体系
1 連邦民主主義国家は、完全な民主的権利、平等権および完全な自治権を実施する連邦国家の特徴を満たすものとして建国されなければならない。
2 連邦民主主義国家は、完全な民主的権利、平等権および完全な自治権を有する州によって構成されなければならない。
3 連邦を構成する各州は、それぞれ立法権、行政権および司法権を有する。

 連邦国家の主権


4 連邦国家を構成する各州およびその州内の国民は、元来、主権を有する者である。
5 連邦民主主義国家の主権を担う立法権、行政権および司法権の三権は、明確に分立し、独立して権限を行使し、相互に抑制と均衡を及ぼすものとされる。
6 連邦の権限、各州の権限および双方が共管する権限は、定められなければならない。連邦を構成する州の共通利益の実現のために必要とされる権限のみが連邦に帰属する。連邦の権限、各州の権限および双方が共管する権限として定められていない残余の権限は、連邦を構成する州に帰属する。

 土地および天然資源


7 連邦政府と州政府の間の土地および天然資源の管理および割当に関する法律を定めなければならない。
8 全ての州内の土地および天然資源は、州内に居住する住民に帰属する。州は、州内の天然資源の探索、生産、使用、取引、保護などに関し、独立して管理する権限を有する。
9 連邦国家においては、資源収入のうち、豊富に生産される天然資源から得られる収入は、その関係の州がこれを完全に得る権利を有する。天然資源の探索および生産にあたっては、関係する地方コミュニティの同意を取らなければならず、資源の探索や生産は、その地域の開発に直接貢献するものでなければならない。天然資源の生産によって生じるコミュニティや自然環境への悪影響や生態系の破壊から回復するため、特別税を徴収し、基金計画を定めなければならない。

 基本的人権および少数民族の権利


10 連邦内に居住する全ての人は、基本的人権を享有する。
11 連邦内に生まれた全ての民族は、個人としての完全な個人的権利(Individual Rights)を享有するとともに民族集団としての完全な集団的権利(Collective Rights)を享有する。
12 連邦内に生まれた民族ではないが、連邦国家の国籍を得た全ての人は、市民としての完全な基本的権利(Citizen Rights)を享有する。
13 性別およびジェンダーに基づく直接的または間接的な差別を絶対的に禁止する。差別を積極的に防止し、保護し、相互に尊重する措置を採らなければならない。
14 基本的人権に関する法律に基づき、少数民族の伝統習慣および言語を自由に用い、保護し、増進する権利が認められなければならない。生得的な権利としての国民のアイデンティティや少数民族の文化的な権利は、いかなる状況であっても、取り消され、妨げられてはならない。少数民族が政治や意思決定に参画できるよう、州政府、州議会および地方政府などにおいては、少数民族のための優先ないし特別の機会が与えられなければならない。
15 民族の文学および言語は、学校教育で教えられなければならない。連邦内の民族言語を教育できる高等教育機関、大学その他の機関が設立され、教育がなされなければならない。

THE YOUTH FRONT(青年戦線)

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