チュニジア 若きフェミニストたちへのインタビュー
日常的課題での幅広い運動で
女性にエネルギーを与えたい
以下に紹介するのは、チュニジア第二の都市で活動する若い女性三人に対するインタビュー。これらの女性たちは、革命前から非合法活動を続けて来た若き左翼の活動家である。とりわけチュニジア、エジプトに代表される今回のアラブの民衆蜂起の重要な担い手は、こうした若い左翼活動家、労働者活動家である。チュニジアでも、男女を問わず全国的に若い左翼活動家層が、革命前の非合法活動のもとで形成され、それがジャスミン革命の勝利の後、さらに若者の覚醒をもたらし、勢いを増しているものと思われる。
また、このインタビューの中で示されているベール着用問題についての彼女たちの見解は、フランス国内で学校での女生徒のベール着用禁止を支持するフランスの一部の左翼や一部のフェミニストの主張に対するチュニジア女性活動からの重要な反論とみなすことができるだろう。(「かけはし」編集部)
チュニジア第二の都市、スファックスで、チュニジア労働者共産党(PCOT)のメンバーである若い女性たちが、女性団体、「出会い」の結成を望んでいる。
それぞれネディア、アッザ、ヴィームという名の彼女たちを中心に活発に活動するまったく若い女性のグループが存在する。その最も若い女性は、一七歳の高校生である。最初に語ったのはこの一七歳の高校生だったが、その後、答が入れ替わり立ち代わり次々と爆発するように飛び出した。
他の左翼政党と
共に選挙準備へ
――どうしてあなた方はチュニジア労働者共産党(PCOT)に入党するようになったのでしょう? 家族の活動の伝統なのでしょうか?
? 私は革命前にPCOTに入党した。共産主義の目的にひかれたからだ。レーニンとカール・マルクスをすでに読んでいた。私は、PCOTの一人の女性同志に出会ったが、彼女が私に入党したらどうかと勧め、われわれは非合法で活動していた。私はブルジョア的家族の出身である。父は活動に反対しているし、とりわけ共産主義に反対である。人民に近い党がよいということを私は知ったのだ。
? 私は今失業中だ。大学生だった。三年間英語を勉強した。一年前にPCOTに入った。PCOTはチュニジア学生総連合(UGET)の中で活発に活動している。
? 私の家族も左翼ではなく、むしろ「ブルジョア」家庭だ。
――あなた方の見解によれば、PCOTと、フランス反資本主義新党(NPA)とのつながりがある労働者左翼同盟(LGO)との間には、どのような違いがあるのでしょうか?
? われわれはLGOのパンフレットを読んでいる。
? 外から見るかぎり、違いは見られない。
――「一月一四日戦線」(戦線については「かけはし」二〇一一年二月一四日号のインタビュー記事参照)を構成する左翼政党は(七月二四日に予定されているが、もっと後の時期後に延期される可能性がある)選挙に向けていっしょに活動するのだろうか?
? 当面、すべての人が選挙の実施という考えを擁護したいと考えている。というのも、革命前はわれわれは非合法だったからだ。しかし、われわれは選挙の実施を後の時期に延期したいと願っている。というのも、選挙を準備するだけの十分な時間がわれわれにはないからだ。われわれは他の左翼政党といっしょに活動している。
女性には固有
の要求がある
――チュニジアで若い女性が政治活動をするのは困難でしょうか?
? 以前はすべての人にとって政治活動をすることはとても困難だったが、とりわけ女性にとってはそうであった。伝統、宗教、家族のせいである。しかしながら、革命には宗教問題は出て来ていない。
? ともかく最初はそうだった。だが、今や事態はイスラム主義運動の「エンハッダ」のために変わった。この運動は、われわれを、反宗教的であり、人々を無神論に改宗させたがっているとして、非難している。
? われわれは非宗教性(宗教と国家との分離)を支持しているが、われわれの側が宗教に対して問題を起こしているわけではない。各人は信仰の自由をもつべきである。PCOTには、スカーフを被っている女性がいる。スカーフを被っている人もPCOTを代表することができる。そのことで問題を生じさせてはならない。宗教にもとづいて人々を選別することはできない。党は大衆的なものでなければならない。
――女性にとっては宗教とベールの意味がある……。
? ベールを被っている女性たちはベールを被ることを選んだにすぎない。それを強制的に脱がすことはできない。私はベールに反対だ。だが、各人は自由だ。
? 私たちにはベールを被っている同志がいる。私はそうした女性同志を尊重すべきだ。ベールを被っているこれらの女性たちは男女の平等を同時に擁護している。一部の同志たちは、われわれはベールを被っていているがPCOTの党員であることを誇りに思っているとさえ言っている。
? 髪しか隠さないのがベールであり、それはニカブではないのだ。ニカブについてはすべての人が反対だ(一同、爆笑)。
――あなたたちは自分をフェミニストとみなしているのか?
? もちろん、大いにフェミニストだ。
? われわれは不平等に反対して男性と共に闘っているが、女性にとって固有の要求が存在する。女性たちが団結すべきだ。いくつかの権利は認められていない。法は不十分かあるいは適用されていないかだ。たとえば、遺産相続権がそうだ。この点では女性は男性の半分の価値だということになるのだ! 産休はまったく不十分だ。
C 賃金も同じ職でも平等ではない。職業に就ける可能性も男女間では異なる。
A それに、肉体的、性的な攻撃がある。われわれは同時に堕胎の権利を要求している。チュニジアでは、しばしば、女性は存在のない隠されたものにとどまっている。女性たちが政治生活に参加し、集会を行い、夜間に外出し、旅行したりすることが認められることは容易ではない。反対に、農村では、女性は労働の場では男性とより平等である。そして、夫が都市で働いていることも多い。
――チュニジアにはフェミニストの運動は存在するのか?
? チュニジア民主女性協会(ATFD)が存在している。だが、われわれはそれに入ってはいない。AFTDは、女性が男性の半分の財産しか継承できないということに反対し、遺産相続の平等のために闘っている。
? われわれの構想はスファックスでフェミニスト団体を結成することである。ATFDは、たとえいつもイスラム主義者や警察から攻撃されたり、叩かれたりしているとしても、とりわけより知的な階層の人々に呼びかけている。われわれは、民衆の中の女性のもとで、日常的課題で、たとえば、乳がんと関係するような課題で、活動したいのだ。われわれは、働いている女性も働いていない女性もあらゆる種類の女性を団結させたいと思っている。
? 女性のもとに接近するには段階が必要だ。たとえ食事の支度やレシピーについてであっても、日常生活に関心を寄せたいと考えている。
――結成を考えているのは、PCOTと結びついたフェミニスト運動かそれともそれよりももっと広いフェミニスト運動なのか?
? 広い運動だ。われわれは、そこにはすべての人が、すべての左翼が、非政治的な女性さえ、参加することを望んでいる。われわれの目的は、チュニジア民衆の中の女性にエネルギーを与えることである。
? 自由な運動を作らなければならない。
? われわれは、PCOTだけでこのプロジェクトを開始するようなことは望んでいない。そんなことはまったく望んでいない。だが、LGOや民主愛国派などすべての人とともに進めたいのだ。有効なものになることを目指さなければならない。(仏NPA機関紙「トゥテタヌー」二〇一一年六月九日号)
The KAKEHASHI
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