中国 パンデミック下の労働者の抵抗
公式労組が困難を加重
チャイナ・レイバー・ブレチン
上海のペガトロン工場の外で数千人の臨時労働者が、この台湾資本所有電子企業の経営者がクンシャンにある別の工場に彼らを配転するよう命じた後、大規模な抗議行動を敢行した(注1)。
上海にいる家族への責任のゆえに配転を拒否した労働者は、解雇され、彼らのボーナスをも失うだろう。そしてそのボーナスは、彼らの報酬全体の実質部分、1万元以上にもあたる可能性があると思われるのだ。
その現場には警察が呼ばれ、取っ組み合いが勃発したが、その後経営者は、配転策見直しに同意し、労働者に約束済みの諸手当維持を認めた。
新型コロナウイルスパンデミックの中でグローバルサウスの労働者が直面する挑戦課題の分析に関しCLBが指摘したように、中国とインドの労働者は、たとえば衣料や運輸部門など、幅広い範囲の産業のいたるところで極めて似かよった搾取的な行為に対処している(注2)。そのリストには電子産業も加えることができる。
上海のペガトロン抗議行動は、バンガロールにあるウィストロン電子工場で数千人の労働者による抗議行動が、12月12日に暴力に転じ、700万米ドルと見積もられた損害を引き起こした(注3)、そのまさに1週間後に現れた。
〔バンガロールでは〕生産が頂点にあった時期、ウィストロンの労働力需要を満たすことを助けるために、6社の労働者派遣業者によって、学生を含むおよそ8500人の臨時労働者が雇用された。彼らは、長時間猛烈に働くことを迫られたが、州政府と労働組合による調査が見つけ出したこととして、その後賃金をだまし取られた。臨時労働者のほとんどはバンガロール郊外の貧困家庭出身であり、授業料と他の出費をまかなうために臨時所得を当てにしていた。
中国の電子部門では、生産が頂点の時期に諸問題が高まっているが、この産業ではそれが一年中地域特有になっている。最新としては昨年11月14日に、成都にあるフォクスコン企業で働くためにある労働者仲介業者が募集した労働者が、賃金支払いをめぐって抗議行動を敢行した。
CLBストライキマップはこの3年間で、中国の電子産業工場での114件にのぼる集団的抗議行動を記録してきた。それらは、この期間にリスト化された全製造業部門の抗議行動の、およそ3分の1を占めている。この抗議行動のほとんどは、江蘇州と東莞市という沿海地域に集中していた。
その最大の抗議行動の一つは2018年4月に起きたが、その時フレックス・エレクトロニクスの約6000人の労働者が、3週間のストライキに入ったのだ(注4)。そこで労働者は、フレックスがそのビジネスを別の投資家に売却する前に、労働契約解除の補償を前払いで支払うよう要求した。しかし労働者は、この紛争で経営者側に立った当地の労働組合から支援を拒否された。そして彼らはその後、仕事に戻る以外に選択肢がまったくなかった。
珠海市労働組合の役員は当時、CLB代表のハン・ドンファンに次のように語ってこの行動を正当化した。すなわち「当地の党委員会はわれわれに社会的安定の維持を命じた。安定特別委員会への参加はわれわれにとって行政的責任になっている」と。当局は、ストライキは扇動家によってけしかけられた、所有権移転では「企業はどのような法違反もしていなかった」と示唆した。
3年経ってもまだ、中国の電子部門労働者の、特に公式に雇用契約をしていない臨時労働者の利益と家計を保護するために、上海やその他のところの労働組合役員が多くのことを行っているという兆候はほとんどない。(CLB、2020年12月22日より)
▼CLBは、香港を拠点とする、本土の労働運動支援を目的に設立されたNGO。
(注1)ラジオ・フリー・アジア、2020年12月21日、「上海でアップル・サプライヤーの労働者数千人が賃金で抗議」。
(注2)CLB、2020年11月19日、「グローバルサウスの労働者、2020年に前例のない挑戦課題に直面」。
(注3)「今週のアジア」、2020年12月18日。
(注4)CLB、2020年4月19日、「フレックスの3週間ストライキ、上海労組が安定を第1にしたことで終わりに」。
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