反資本主義左翼欧州会議に向けて

社会的抵抗と政治危機が並存
ヨーロッパ左翼が直面する国際情勢と社会主義の展望

国際的レベルで討論が必要

 われわれは、現代の社会主義の展望、二十一世紀の社会主義の展望を育て上げる熟慮と議論を真剣に、共同でまたは個別に、行わなければならない。
 LCRが欧州会議のイニシアティブをとったのは、次の二つの理由からである。
◆第一の理由は、今日の階級闘争にとっての「一九六八年五月」の教訓の意味を確認することである。
◆しかしそれだけでなく、第二の理由は、ヨーロッパのほとんどの反資本主義的および革命的組織の代表の間の対話を復活または確立し、情勢分析を交換し、何を行うことが可能かを検討し、いっしょに真剣に討論することである。もちろん、これは小さな会議でしかなく、ほんの始まりに過ぎないが、真剣に受け止められるべきである。いずれにせよ、われわれは真剣である。
 なぜなら、これほど多くの革命的・反資本主義的組織が一堂に会して討論するのは、この久しい間で初めてのことだからである。すべての人々、すべての組織はそれぞれ独自の歴史、独自の伝統、それぞれの政策を持っているが、われわれはすべて独自の基準で新しい時代あるいは歴史的時期の情勢を分析している。すなわち、資本主義的グローバリゼーション、スターリニズムと旧ソ連邦の崩壊、労働者運動の新しい進化の時代である。
 われわれのすべてが、政治的、戦略的、綱領的レベルの一連の重要な問題を討論または再討論する必要性を感じており、国際的レベルで討論する必要性を感じている。この報告は、この討論に向けての序論に過ぎない。討論に向けてわれわれが提出する考えは、もちろん、フランスの経験に基づいており、したがって、部分的なものであるが、われわれは何らかの出発点から始めなければならない。しかし、われわれは、前進するためには一国的枠組みを超えた討論が必要であると確信している。われわれは、お互いを必要としている。

 情勢の主要な傾向

この会議は、特定の瞬間、資本主義の危機のある瞬間、グローバルな危機の瞬間に行われようとしている。われわれはもはや、資本主義の思想家たちが資本主義は歴史の最後の体制であると言うことができたような情勢の中にいるのではない。
現在の局面で支配的なものは、危機である。すなわち、金融危機、銀行の危機、信用危機、資本の過剰蓄積の危機である。銀行の損失は数十億ドルあるいは数十億ユーロに達し、これを労働者と人民に支払わせようとしている。明らかに、資本主義世界は数年間にわたって高い成長率を経験した。旧ソビエト連邦、東欧諸国および中国における資本主義の復活によって、資本主義は新たな空間を再び征服した。中国とインドの成長によって、グローバリゼーションは新しい配置と新しい力関係を経験しつつあるが、そこには矛盾が存在する。すなわち、米国経済は景気後退に向かっており、景気後退はヨーロッパをも脅かしている。
この資本主義の危機の社会経済的影響は、何百万もの人々の生活と仕事に鋭い影響を与えている。労働力の過剰搾取の傾向が存在する。不安定雇用、賃金切り下げ、労働時間の延長がこの主要な表れであり、女性は不安定雇用とこの過剰搾取の最初の犠牲者である。移民の権利に対する攻撃、査証を持たない移民労働者に対する攻撃、外国人に対する排外主義的・人種主義的キャンペーンは、民主的および社会的権利に対する攻撃の中心軸の一つになっている。食糧危機や食糧暴動は、この資本主義体制の破壊的帰結を示している。約十カ国がこのような飢餓の爆発を経験している。
温室効果ガスやあらゆる種類の汚染と直接関連している気候変動をともなった環境的危機は、破局を引き起こそうとしている。これは自然現象であるが、実は資本主義的利潤の無制限の追求の結果である。
今日イラクで行われており、明日はイランや他の国に対して行われるであろう、石油戦争。パレスチナ人民やレバノン人民に対する侵略。主要帝国主義大国の軍国主義化は、この危機に対処するために支配階級が準備している方法の証拠である。しかし、ここには二つの大きな矛盾が存在する。

◆人民の抵抗。アメリカ帝国主義は、イラクで新たなベトナムを経験しようとしている。
◆アメリカの軍事力と世界経済における立場の弱体化の不釣合い。
われわれが破局主義者であるという者がいるかもしれないが、そうではない。危機を測ること、そのグローバルな性格を測ることが必要なのだ。資本主義にとって出口のない情勢というものは存在しないとしても、資本主義体制は行き詰っている。資本主義体制の危機の解決は、人類にとってますます大きな犠牲をともなうものになろうとしている。労働条件や生活条件の犠牲だけでなく、生命そのものの犠牲をともなうものになろうとしている。

権利に対する攻撃とその変化

危機がもたらす情勢は、資本主義国間の矛盾だけでなく、階級間の社会的矛盾を先鋭化させる。一九八〇年代初頭以降、支配階級は、右翼政権や左翼政権を通じて、反改良の武器庫を配置し、社会保障、公共サービス、生活水準や労働条件に関する一連の社会的獲得物を槍玉に挙げてきた。さらに、欧州連合は、労働者と人民の権利に対するこの再編成の主要なベクトルの一つを構成している。今日、世界的な労働力市場をめぐる国際競争の条件が、労働者の生活水準を引き下げ、支配階級を新たな社会的攻撃に向かわせている。
 ヨーロッパの最近の選挙結果、すなわちフランス、ギリシャ、イタリア、英国の選挙結果は、支配階級が、戦いに備えた指導的グループや政党や政府、「肉体派右翼」、の編成を始めていることを示している。この右翼は、イタリアの北部同盟のようなポピュリスト政党の支持を受けており、労働者とその組織の社会的獲得物を槍玉にあげる対決の準備を進めている。

社民の社会自由主義的進化

しかし、右翼の攻撃に直面して、社会民主主義は自由主義的資本主義的反改良に順応した。彼らは改良主義から改良なき改良主義に移行し、さらに今では自由主義的資本主義的反改良の改良主義へと移行した。各国代表団は、社会民主主義政府による新自由主義的政策の適用について、それぞれのサンプルを示すことができるだろう。これは、社会民主主義政治組織および労働組合組織の国家・経済上層構造への統合の拡大に対応している。
 この統合を象徴したのが、フランス社会民主主義の中心的指導者のひとりがIMF専務理事に指名されたことであった。政治的レベルではこの進化は、社会党(PS)の「アメリカ型民主党」への転換の過程に示されている。イタリア左翼の転換(旧イタリア共産党の民主党への転換)と同じである。この政策の結果とイタリアの経験は、われわれにとってひとつの教訓である。すなわち、共産主義再建党と中道左派に支えられた伝統的左翼は、政府に入ってブルジョアジーの仕事を処理しようとしたが、結果はベルルスコーニ、フィーニ、ボッシらの右翼を権力の座に復帰させることになった。国によって違いはあるが、この社会自由主義的進化を各国共産党が支持していることを指摘しておく必要がある。ただし、ギリシャ共産党とポルトガル共産党は、ネオスターリニスト党であり現在は反社会主義政党である。
 もちろん、右翼と左翼は同じではない。特に民衆階級の何百万もの有権者にとってはそうである。しかし、社会民主主義の歴史的変化、すなわちグローバル化した資本主義への重大な統合、を記録しておく必要がある。この進化は、また、労働組合レベルでも進行している。ETUC(欧州労働組合連合)の指導部は、特にEUの枠組みの中での新自由主義的政策について共同責任を負っている。最近数年間のスペイン労働者委員会、イタリアCGIL(労働総同盟)およびフランスのCGT(労働総同盟)の新自由主義的政策の実施の枠組みの中での進化は、非常に重要である。

 社会的・政治的力関係

このような情勢の中で、労働者人民にとって不利な社会的・政治的力関係の悪化が進行していることを認識する必要がある。支配階級は、資本主義的再編成の断固たる処置を進めてきた。労働者および民衆の闘いは守勢に立たされている。国によって階級闘争の不均等発展が存在する。しかし、支配階級は、プロレタリアートに対して大きな敗北を与えることができたわけではない。
 「英国モデル」に関するサルコジの言明、サッチャーやトニー・ブレアの路線をコピーしようという彼の意思にもかかわらず、サルコジは政策の適用において大きな困難に遭遇している。社会的抵抗が存在する。最近、われわれはギリシャのゼネラル・ストライキの力を知った。ドイツの鉄道労働者のストライキなどのストライキは、特定の部門に真の戦闘性が存在することを示している。一連の国における反戦運動およびグローバルな正義運動の力は、可能性が存在することを証明している。
 二〇〇五年にはフランスは三つの大きな危機を経験した。欧州憲法国民投票での「ノー」投票運動の成功、郊外反乱の爆発、不安定労働とCPE(初回雇用契約制)に対する大衆的デモストレーションである。しかし、これらはサルコジの勝利を妨げなかった。このような情勢の中では、伝統的左翼の指導部に大きな責任が存在するが、彼らは右翼の思うつぼにはまるように行動した。
 かくして、情勢の中には社会的抵抗が存在し、政治的危機の要素が存在しているもかかわらず、ブルジョアジーは攻勢に移ろうとしているのである。

 5つの討論課題

歴史的変化、グローバル化した資本主義、左翼の社会自由主義的変化のこの情勢の中では、反資本主義的オルタナティブの出現の文脈の中で、反資本主義的政策の基本路線、ならびに反資本主義的勢力だけでなく新しい労働者運動、新しい社会的運動の建設および再建の展望に関する、新しい討論が必要であるとわれわれは考える。労働組合運動や種々の運動体の政策、ならびに社会的運動および潮流と政治組織の間の結びつきに関する討論が必要である。

a 資本主義の変化を考慮に入れること。プロレタリアート(賃金労働者)の国際的レベルでの大衆的発展、資本による再編成が労働階級の情況に与えた影響を考慮することである。すなわち、資本主義的生産関係の枠組みの中での新技術の組合せ、プロレタリアート内部の社会的分化、不安定労働現象、フレキシブル労働の結果、労働の個別化過程、などの影響を考慮する必要がある。これらの新しい構造、このような「新しい労働階級」を考慮に入れた政策を定式化する方法。

b 人類と自然の尊重よりも最大利潤を追求する資本主義経済の機能の核心に対する攻撃と同時に環境の領域における要求を提起する、環境社会主義的政策を定義するために、エコロジー的危機や気候変動のような新しい問題を検討し、熟考し、分析すること。

c また、このことは、資本主義的利潤に対する課税によって富の新しい分配を達成するという目的を通じて、即時的要求、民主主義的要求、女性の権利防衛の要求、社会の根本的な革命的変革の要求と結びついた、反資本主義的過渡的綱領の現代化を進めることを意味する。このような目的は、雇用主の権力に対する攻撃と資本主義的資産を侵食して公共的社会的資産の道に沿って進むことを意味する。われわれは素朴ではない。これらの目的は、桁外れの社会的動員、対決、衝突、資本主義体制との断絶を必要とするだろう。この対決においては、民主主義への熱望と民主主義の必要性が決定的に重要である。この観点から、闘争の経験と労働者管理および自己組織化の経験に基づいた広範な論争が決定的に重要である。

d 最後に、戦略的レベルにおいて政策の要点を検証する必要がある。この政策は、最近の、ヨーロッパ、イタリアまたはドイツにおける、あるいは別の大陸の別の国(ブラジル)の状況に関連した、非常に重要な経験によって豊富化することができる。この点に関しては、雇用主に対するあらゆる左翼勢力の行動の統一を、中道左派や社会民主主義との議会主義的連合や政府のための連立の問題に関する非妥協的独立性の政策に結びつける、政策の態様について討論する必要があるとわれわれは考える。
 この点に関して、またもやイタリアの例が厳しい教訓を想起させる。すなわち、左翼の部分が資本主義的な経済および制度を管理する政府、すなわち今日の社会自由主義的政府に加わることは、労働者階級の利益の防衛および最も基本的な社会的要求の防衛と両立しない政策を支持することにつながり、労働者の動員を麻痺させ労働者の方向性を失わせることをもたらすという教訓である。これはわれわれにとっては、労働者運動再建にとって決定的に重要な問題である。われわれは、完全に独立的な方法で労働者運動を再建しなければならない。

e 組織、潮流、戦線、新たな党、革命的左翼の組織、伝統的政党との断絶に関しては、組織の形態は国ごとに独特である。これらはすべて、社会民主主義および伝統的左翼政党の左派にとっての空間を表現する。すべての人々が独自の経験を持っており、他の人々の経験から学ばなければならない。一連の諸国において歴史と不幸な経験が反資本主義勢力の分裂をもたらしていることを、われわれはよく知っている。
 他の諸国では、大衆的政治的経験や選挙の経験を基盤として、諸勢力の結集がもたらされている。われわれはこの道を進まなければならない。それは長い道のりであるかもしれないが、左翼および社会的運動全体にとって統一政策を持つことは、討論の新しい機会、反資本主義的オルタナティブの道を前進させる新たな機会となる可能性がある、とわれわれは考える。これこそ、この会議の意味である。

 結論として

 以上が討論のためのわれわれの提起である。結論として、われわれは以下の希望を表明する。今回は最初の会議であり、最初の討論である。われわれは、現代の社会主義の展望、二十一世紀の社会主義の展望を育て上げる熟慮と議論を真剣に、共同でまたは個別に、行わなければならない。これは、時間がかかるかもしれないが、決定的に重要である。同時に、われわれのすべてが、不可欠の問題に統一的に取り組み、社会的および政治的抵抗に関して、反戦闘争において、移民との連帯の領域で、気候変動の問題に関して、統一的に行動する責任があるとわれわれは考える。
 われわれは、これらの問題に関して(問題はこれだけではないかもしれないが)共同で行動するかどうかを討論することを提案する。しかし、ヨーロッパにおける反資本主義勢力の統一に取組み、この道を前進させることが必要であるとわれわれは確信している。われわれにこれができるだろうか。それが問題だ。
▲ ローラン・メンギニは革命的共産主義者同盟(第四インターナショナル・フランス支部)の全国指導部のメンバーである。
(「インターナショナル・
ビューポイント」6月号)

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