イタリア さらば共産主義再建党

「批判的左翼」は独立政治主体として出発

解説

プロディ政権のアフガン派兵継続決定に反対


 二〇〇六年のイタリア総選挙で右派ベルルスコーニ政権が敗北し、旧キリスト教民主党勢力の一部(「マルガリータ」)や旧イタリア共産党多数派の後継組織である左翼民主主義を軸にした中道左派連合が僅差で勝利し、プロディ政権が発足した。一九九〇年代初頭に解党を拒否した旧イタリア共産党の少数派として出発し、青年を軸にしたラディカル左派の党へと再生した共産主義再建党(PRC)もこの連合に加わり、PRC委員長のファウスト・ベルティノッチが下院議長の座についた。しかしそれは、イタリアにおける新自由主義グローバリゼーション反対運動やイラク反戦運動の主力であったPRCの急速な右傾化をもたらした。
 この中で、PRC内の左派は第四インター・イタリア支部(「バンディエラロッサ」〔赤旗〕グループ)などを中心に「シニストラ・クリティカ」(批判的左翼)を結成し、全国的に党内反対派潮流の組織化に踏み出した。昨年二月、イタリア軍のアフガニスタン派兵の継続を決定したプロディ政権に反対して、PRC執行部の圧力をはねのけ「批判的左翼」潮流の上院議員で、第四インター・イタリア支部の同志でもあるフランコ・トゥリグリアットらはプロディ政権のアフガニスタン派兵継続に反対した。それにより、プロディ政権への「信任」が過半数に達しなかったことで、PRC執行部はトゥリグリアットら反対派議員への統制処分を行った。
 この問題を契機に「批判的左翼」はPRCからの事実上の「独立化」を準備し、ついに昨年末の第一回全国大会でPRCを離党し、独自の「運動」として出発することになった。PRCの右傾化とプロディ政権の新自由主義政策への従属の深化は、イタリアにおける反資本主義左翼勢力の結集にとって、大きな困難を強制することになるだろう。
 しかし「批判的左翼」は、イタリアの労働者運動や社会運動に基礎を置きながら、国際主義的な反資本主義政治勢力に形成に向けた新しい挑戦を開始した。当面「運動」として出発する「批判的左翼」は、広範な運動グループに呼びかけながら、その政治的結晶化に向けて闘おうとしている。(純)


 はじめに

 批判的左翼は、共産主義再建党(PRC)内での経験が終わり、新しい政治的プロジェクトの構築を開始することを宣言する。批判的左翼は運動へと転換し、アルコバレーノ(虹の連合 訳注1)の左に位置する反資本主義連合の最初の局面に入ることを提案している。それは次の土曜日のビチェンツア(訳注2)での集会から運動内部で責任を果たし、「不安定雇用に反対する協約」の活動、フェミニスト運動とLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)運動、エコロジカル運動、人種差別反対闘争の活動を継続するだろう。この春にわれわれの最初の全国的動員を行うために、メンバー獲得と資金集めキャンペーンが一月から出発する。

第一回全国会
議の最終決議

 批判的左翼の第一回全国会議は、冒頭発言を採択し以下の各項目を宣言する。

(1)共産主義再建党内の経験は終わったことを宣言し、新しい政治的プロジェクトの開始を発表する。それは、二つの異なったプロジェクトが二つの異なった道をとるという確認による組織的分離である。
 一方で共産主義再建党(PRC)は事実上その歴史を終え、小心きわまる改良主義という新しいアイデンティティーを持ち、政府の内部に入ることを天職とする新しい政治的主体として生まれるために、その活動家の会議を乗っ取ってしまった。他方、批判的左翼は、運動に中心を置いて階級的左翼、反資本主義の反対派を建設し続けること、今や共産主義再建党の転換によって空白となった現代的な革命的左翼のための理論的・実践的空間を占める用意があることを提起している。それはPD(民主党 訳注3)に反対する左翼であり、実際のところ今日ではプロディ政権に反対する左翼なのである。

(2)数日の間に、批判的左翼(SC)の活動家と指導者たちはPRCから離党し、その国会議員は下院内で自治的なグループを形成するだろう。上院議員グループはすでに形成されている。この決定は公開状という方法によってPRC全国組織に伝えられ、同様の公開状が地域組織にも提出される。われわれは州のレベルで、この決定をPRCの党員に説明するために会議を組織することになるだろう。

(3)批判的左翼は「党」ではなく、大衆運動に向けた政治的主体としての「運動」である。それは、地域グループ、特定の課題別に活動するグループ、ならびに州調整機関を形成する。一月以降、批判的左翼はメンバー獲得運動と資金獲得運動を開始する。

(4)今日の時代の必要にふさわしい政治勢力の建設というプロジェクトに関しては、われわれは「虹の連合」の左派に対して反資本主義の諸勢力協商会議を提起している。それは共産主義再建党の最良の経験、諸運動のさまざまなセクター、「社会的パートナーシップ」に反対する労働組合活動家、ラディカル・フェミニズム、エコロジー運動、そしてとりわけ青年たちを一同に結集する会議である。この協商会議は、たとえ「見本品」的ないし部分的形態であったとしても、少なくとも以下に述べる三点の基準をもとに今ここで階級的・反資本主義的連合を誕生させることを可能にする、現実的で有望なプロジェクトを代表するものである。
 三点の基準とは、
a 社会運動ならびにその発展力学、目標との連携
b 中道左派政権からの独立性を維持し、したがって民主党への批判を堅持しつつ、右派の構想へのオルタナティブを提示すること
c 政治活動においては制度圏から独立するが、選挙活動を排除しない。また選挙に必要な手段――たとえば再び見捨てられてしまった「槌と鎌」のシンボル――も使用する
である。

(5)反資本主義協商会議を現実化させるためには、運動が採用している諸方針との連携が必要である。したがって批判的左翼は、短期的な方針として以下の運動にコミットする。
a ビチェンツァのデモと米軍基地反対闘争に最大限可能な参加を勝ち取ること、それとともに十一月二十五日に調印された協定をめぐる問題から始めて、全体的な運動の再建を勝ち取り、一月二十六日にもう一つの動員日を呼びかける。
b 十一月九日のスト後に作成された不安定雇用に反対する協約を発展させ、明確化する活動。それは単なるデモ――それが必要ではあるにしても――のレベルを超えて、現実の生活を組織するような方法で関与することを可能にさせるものでなければならない。
c 男性の暴力に反対する闘いの問題をめぐって行われたさる十一月二十四日のデモに表現され、また来る一月十二日の全国会議で示されることになるフェミニスト運動の刷新に連続性を与える。
d バチカン法王庁の影響に反対する運動、LGBT運動を基盤にした性差別に反対し市民的権利と政教分離国家を求める運動、そして二月八日の反バチカンデーの運動を持続的に構築する。
e 公益と環境保護のための闘いを継続し、論議の普遍化を追求し、時を超えてこうした闘いを調整し、維持するためのより広範な構造を提案する。
f プロディとベルトローニの「治安パッケージ」に対する正当な批判から始めて、人種差別反対の闘争、移民の組織化のための闘争を強化する。

(6)SCは最後に、活動の中心、社会的諸権利、利潤の法則に反対して環境を守る全国キャンペーンの準備を全国調整委員会に委託することを決定する。とりわけ活動の中心は、トリノでの殺害事件が鮮明に示しているところにある。それは資本の勤労人民に対する日々の戦闘がいかに厳しいものであるかを示している。したがって、全国キャンペーンが批判的左翼を建設する道であり、それは来春の予定日の動員に焦点をあてたものとなるだろう。
(満場一致で採決)
(訳注1)プロディ政権内で、その主流である民主党に批判的な左派のブロック。共産主義再建党、共産主義者党、民主的左翼、緑の党の四党によって構成。
(訳注2)イタリア北東部の都市で米軍基地拡張反対闘争が展開されている。
(訳注3)民主党――旧キリスト教民主党勢力と左翼民主主義(旧イタリア共産党)の合同によって結成されたリベラル派政党でプロディ政権の最大与党。
「シニストラ・クリティカ」(批判的左翼)は、プロディ政権への入閣を拒否した共産主義再建党(PRC)の少数派により二〇〇七年一月に結成された。そこには第四インターナショナル・イタリア支部である「バンディエラロッサ(赤旗)」の同志も参加している。
(「インターナショナルビューポイント」08年1月号)

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