1959年の「チベット動乱」と第4インターナショナルの立場

(2008年4月 「かけはし」編集委員会)

 現在、チベット問題が国際情勢の大きな焦点になっている。チベット自治区を中心に甘粛省、四川省、青海省まで拡大したチベット人民の中国政府への抵抗運動に対して、中国政府と中国共産党は強権的な弾圧に乗り出し、多くの人びとが虐殺・逮捕された。また亡命チベット人たちは、北京五輪を射程に入れながら全世界で「聖火リレー」を、中国政府のチベット民衆への流血の弾圧、人権破壊をキャンペーンする場に転化した。この運動は大きな効果を発揮し、EU諸国を中心に政府首脳の「開会式典」欠席という反応を引き出し、中国政府を追い詰めている。
 このチベット民衆・亡命チベット人の闘いを、われわれは支持し、中国政府がチベット人民への弾圧をただちに停止し、チベットの真の自治と民主主義的・民族的権利を承認することを求める。それは同時に、独立国家の権利をふくむチベット民族の自決権の無条件の承認のために、チベット人民と連帯することを意味する。
 この闘いはまた、中国全土における労働者・市民の民主主義と人権のための闘いに連帯しようとするものである。今回のチベット民衆の闘いに対するわれわれの基本的立場については、「かけはし」3月24日号の1面記事「中国政府はチベットでの弾圧・虐殺を直ちにやめろ」ならびに4月14日号7面のピエール・ルッセ「チベット民族に自決権を」を参照していただきたい。
 ただしそのことは1959年のダライラマ亡命をもたらした「チベット動乱」の政治・社会的意味とその性格についての評価とは別個に捉えなければならない。
 ここに掲載する1959年のチベット動乱についての、当時の中国トロツキストの分析と第4インターナショナル国際書記局決議は、1959年の「チベット動乱」の性格を、米帝国主義に支援されたダライラマを頂点とするラマ僧と封建貴族の反動的反乱であると捉え、中国政府とチベットの封建的貴族支配階級の対立において、基本的に労働者国家・中国を支持する立場を取っている。しかし同時に、中国政府の官僚的・軍事的な「反乱鎮圧」に反対し、「チベットの自決権の承認」や「即時停戦」「中国軍の撤退の具体的方法の交渉」(向青論文)を呼びかけ、チベット人民の正当な民族的・文化的要求を封建的支配層が利用することになった、中国共産党官僚の大国主義的民族政策の誤謬を明確に指摘している。
 われわれは当時の歴史的文脈の中で提起されたこの立場を、歴史的文献として読者の検討の材料とするためにサイトに掲載する。しかし言うまでもなくこの分析は今日の情勢にそのまま適用することはできない。チベット民衆の今回の反乱は、もはや「封建的・反動的」な旧支配階級の利害を体現するものと捉えることはできない。われわれはさらに分析を深める必要があることはもちろんだが、基本的にチベットにおける旧封建的農奴支配の基盤は解体されてしまっている、と見るべきである。そして、今回の反乱が帝国主義諸国、とりわけ米帝国主義の直接的介入によるものだと考えることはできない。
 もちろん日本の極右勢力がこのチベットの反乱を利用して、「反中・嫌中」の世論を煽っていることは事実だとしても、今回のチベット民衆の抵抗闘争と亡命チベット人の国際的な運動は、中国における「自治と人権」を求める一般民主主義的な運動の一部を構成しているのであり、チベットでの資本主義的な搾取と植民地主義的収奪に対する勤労民衆の運動は、中国全土における労働者・民衆の運動にとっても重要な意義を持っている。そのことはダライラマ、ならびに今回の運動の中心に位置する亡命チベット人組織・チベット青年連盟(強硬独立派とされる)の政治的評価とは別個に確認すべきことである。1959年の反乱と今回の闘いとの相違は、世界情勢の歴史的変化と結びつけて論議すべきテーマである。
 なお、最初の論文の筆者・向青は1923年生まれで今年85歳。
 (2008年4月 「かけはし」編集委員会)

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