今回こそ特権層に払わせ 異なるEUへ

富の再分配の具体的提起を軸に
エコ社会主義への闘いを始める

ミゲル・ウルバンへのインタビュー

 ミゲル・ウルバンはスペインから選出されたEU議会議員であり、アンティカピタリスタスのメンバー。正統性のない債務取消しを求める委員会(CADTM)の国際スポークスパーソンのエリック・トゥサンが彼へのインタビューを行った。

EUの真実がむき出しになった

――EUのレベルと特定諸国のレベルにおける「コヴィッド税イニシアチブ」の目標は何か?

 この一〇年を通じてわれわれは、銀行がEU諸機関と諸政府によりどのように救出されたか、を見てきた。南欧の民衆は、何百万という家族が崩れるままにされた中で、本物の新自由主義的ショックドクトリンに、また事実上の彼らの主権棚上げに基づく彼らの経済への干渉にさらされた。それは、民衆諸階級にとっては失われた一〇年となった一〇年であり、しかし一方、利潤と権力を高め続けてきた大企業にとっては実りの時だった。それは、欠乏と不平等の組み合わせを特徴とした時代であり、そこでは、資本を有利とする労働所得の重みの喪失が特に目立つ形になっている。そしてそれは、権力の寡頭化が加速された時代であり、その加速は、同時に結果であり原因であり、かつEU全体で、またスペインでは特に今経験中の新たな歴史的サイクルの中心軸であるような一現象だ。
大金持ちと多国籍企業による脱税と税逃れは、世界中の不平等のくらくらするような高まり、そして国家財政不足の増大、というこの両者の心臓部にある。EU自身の経済的構造が、資本の運動の自由という枠組みの中で、また財政調和を欠き、内部的に切り離された財政体制として、こうして永続的な財政の位置低下を推し進めつつ前記の状況を力づけている。EUは同じ形で、それ自身の海外組織と規制枠組みを保持しているが、しかしその穴だらけで寛容な本性と陰での力づけが前述の脱税と税逃れを増大させているのであり、それは事実上、民衆多数を犠牲に、大資本、金利生活者、富裕家族に利益を与えているのだ。それは、何百万人もの貧しい者たちの費用負担による、不平等と一体となった、百万長者のEU構想だ。
しかし一つの追加的結果として、所得と富の高まる集中もまた、次が訪れるのをわれわれが見る以前にまだ抜け出すことができていない危機の、結果でありエンジンだ。EU諸機関とメンバー諸国政府が適用した経済諸政策は、底辺から頂点への大規模な財源移転を生み出してきた。つまり、危機以前、その最中、またその後の損失の社会化だ。そして今、迫りつつあるもう一つに対しはどうなるのか?

特権層の財政テロへの反攻へ


今回われわれが異なる歴史を求めるとすれば、われわれは特権層の反乱に確固として立ち上がらなければならない。まさに税の支払いを拒否している一握りの百万長者と多国籍企業は、公的資金の着服という彼らの行為を糾弾する人々を非難することに専念するか、直接に脅しつつ、諸政権と主要政党との共謀に基づき、実体をもつ財政テロリズムを実行しているのだ。
なぜならば、不気味に迫ろうとしている社会的パンデミックへの対抗は不可避的に、不平等に反対する、すべての成長中の多元的で内的に結びついた不平等に反対する、税制、不安定化、緊縮あるいは企業権力といった不平等の源と反映である諸々の現実に介入する闘い、を意味するからだ。要するにそれは、富と財源の再配分をエコ社会主義綱領の中心軸として、論争の中心に戻すことだ。
これがコヴィッド税の主な目標だ。つまり、支出を高める唯一の道として債務モデルを議論するだけの新自由主義論理のはびこりに対決する一つの中心的要素として富の再配分を置き、具体的な提案に基づいてポストコヴィッド再建に関する公的な論争に介入することだ。EUレベルでコヴィッド税は、まさに債務の相互化や他のものに関する、再建基金への資金手当に関する論争の中で導入され、再配分形態で協力的かつ国際主義的展望から、EU自身の構造と衝突するEUレベルでの具体的なイニシアチブを提案している。それは、EUに異議を突きつける方法だがまた、そこで止まらず、危機に対抗する社会的緊急計画に向け進展すべき具体的提案を軸にする動員から、異なったEUを建設する道でもある。
事実としてスペインでわれわれは、アンティカピタリスタスを通じて、「クエ・パグエン・ロス・リコス(金持ちに払わせろ)!」との名前をもつより幅広いキャンペーンの枠組みの中で、コヴィッド税の考えを発進させた。そこでわれわれは、税制と富の配分の問題、経済の戦略的部門における国有化の問題、雇用の再配分と労働時間短縮の問題、生産力モデル変革の問題に取り組んでいる。コヴィッド税から始めることはわれわれに、富の再配分に対する必要を公衆的論争の中に、またスペインの左翼全体の中に置くことを可能にした。それは、左翼の全体が異なった定式でその考えをあらためて取り込むような形になり、PSOE(現政権党の社会労働党)ですら大金持ちや企業利潤に対するさまざまな提案を拒絶したまま人前に出ることを迫られたほどになっている。

具体的提案軸にした民衆的決起

――富裕層と大企業に課税することの重要性は理解できる。しかし課税率に関する詳細に入り込んでいる理由は何か?

 われわれは三〇年間守勢に置かれてきた。われわれは、まさに形勢再形成のプロセスにいるがゆえに、つまみを動かさなければならない。われわれの傷をなめるよりもむしろ噛みつくようにだ。新自由主義的総意の多くは今疑問にさらされている。今はエリートに反対し底辺の人々を利するある種のショックドクトリンを実行するときだ。つまり、政治的討論の中心要素として富と職の再配分を机上に載せること、次の危機に払いをするのは誰になるかを公然と問うこと、税を払わない権利、あるいは富を財政的下水溝に隠す権利があると感じている特権層の反乱を指し示すことだ。しかし、その窓は長い間そのままになることはないだろう。われわれはすでに、二〇〇八年に企業やサルコジが行った「資本主義の再定礎」の約束がどれだけ続いたか、それが結局のところわれわれを惨害に導いた同じ政策における新方式にどのように移し替えられたか、を経験した。
それこそ、われわれが必要としているものは単なるスローガンや危機とそのオルタナティブに関する宣言以上のもの、とわれわれが信じる理由だ。しかしそれはまた、具体的で根拠をもつ、火急を要する役に立つツール、高いところに狙いをつけるツールでもある。それは、新自由主義的EUの建設モデルに疑問を突き付ける、あるいは実践的には同じことだが、危険に満ちた少数によるあらゆる財源の高まる退蔵に疑問を突き付ける、そのような高さだ。
われわれがまさに多くを語っている他のEUを求めるこの闘いでは、不平等と富の配分に反対する闘いが中心になるだろう。明らかに、これらの欧州緊急コヴィッド税の適用は、この戦闘には十分でないだろう。挑戦課題はもっと幅広い。しかし人はどこかで始めなければならない。そしておそらく今が、具体的な提案を机上に載せるときだ。われわれは、富の再配分を求める闘いを論争と政治行動の中心に置かなければならない。この方法でわれわれははじめて、今回の危機が民衆諸階級によって支払われないようにすることを確実化できる。今回こそ金持ちに払わせよう。それが残りも引きだすことを可能にする大きな着想だ。課税率は技術的な問題であり、疑いなく重要だが、それらが人々を動員するわけではない。

構造化されたタックスヘイブン

――タックスヘイブンに関しなされる必要があることに関するあなたの立場は?

 脱税と税逃れは孤立した事件でもたまたまの事件でもない。つまりそれらは、われわれの時代の不安定な資本主義が抱える一つの構造的な現象、何十年間もわれわれの経済を悩ましてきた新自由主義の攻勢に密接に結びついた現象、に関係している。それは、納税義務の外側にあるタックスヘイブンのネットワークなしには機能できないと思われる脱税と税逃れのネットワークだ。そしてわれわれは、直接的に「下水溝」とは言わないまでも、「穴」と言う。それらを「タックスヘイブン」と呼ぶことは、それらの場が彼らにとっては避難地である同じ危険な少数の話法を受け入れることになると思われるからだ。
企業秘密が他のあらゆる権利にまさっているこれらの場、創意を凝らした会計と法の小穴、のおかげで、一握りの特権層の人々は、彼らの富の実質部分を隠す、あるいは秘密にするおびただしい裂け目を見つけ出してきた。そして今日、システム全体はそれらの亀裂からの水漏れを続けている。あらゆる研究によれば、今日と同じほど多量のマネーがタックスヘイブンに存在したことはない。これらの財政上の下水溝は今日、不平等に反対し民主主義を求める闘争において、中心的要素とならなければならない。それは、さまざまな部分と行動のレベルにある問題の根源に攻撃を加える一連の具体的方策を実行することで、われわれが始めることができる闘いだ。
EUの枠組みの中では、税制問題で協調しない第三者権限リストは再評価され修正されなければならない(たとえば、EU議会それ自身の基準に従って、あるいはオクスファム、公正税制ネットワーク、またはスペイン財務省専門家組合のゲスザのような社会的組織の基準に従って)。これは、いくつかの政府がつくり出した以前の各国指標やEU委員会の現行リストの代わりに、全EUに共通のタックスヘイブンに関する最初の実のある活動目録をつくり出すと思われる。ちなみに前者は、意図としてはブラックリストになるはずだったが、しかし結局は、タックスヘイブンをロンダリング(洗うから転じて、いかがわしいものをまともなものに見せかける操作として使われている用語:訳者)するためのリストになることで終わったのだ。実際、多国籍企業がもっとも利用しているタックスヘイブン一五の内、同委員会の編集物に現れるのは一つにすぎない。
タックスヘイブンに関する信頼に足るリストを得ることは、そしてそれはEUの内部で活動するものも指し示すことになるが、それらの中で活動する者たちに制裁を加え、大銀行と共謀の仲介者を徹底的に調査し、この財政枠組みに力を貸しあるいはそこから利益を得ている者たちを商業的にかつ経済的に分別するための、必要な最初の一歩になるだろう。ちなみにそれらの銀行や仲介者は、脱税と税逃れをうまみのあるビジネスにする目的で、銀行業の秘密保持――それ自体もまた廃絶されなければならない――を利用し、あらゆる基準化された正当で入念な手続きを系統的に飛ばしているのだ。
時を超えて続いているこれらの方策に対しては、抑制効果のある制裁が適用されなければならず、その中には銀行業務認可の撤回も含まれる。加えて、均質な会計規制の適用も不可欠になる。それは、移転価格を通す乱用を回避し、要員と物的資本の存在、およびそこから引きだした利潤を基礎に各領域内で課税するために、それらの事業本拠によって構造化された関連の経済情報、および国毎の本当の活動、の提出を多国籍企業に義務づけるものになる。

EUと国家のレベルでの規制へ


第二に、また不幸なことに極めてありそうなシナリオとしてEU内で活動している税の避難所にEUが制裁を拒否している場合のプランBとして、オランダやルクセンブルクを始めにスイスへと続く、タックスヘイブンとして活動している国々に対して、貿易制裁もいくつかの国の間では設けられ得ると思われる。南欧の数ヵ国の企業連合に対しては、業務の以下の変革に起因する損失は、それらが協調しなかった場合に強要されると思われる貿易制裁よりも小さくなろう、との議論を使って、これらの国が銀行業の秘密保持の放棄と財政的協調を迫られる可能性があるだろう。
われわれは国家のレベルでも行動しなければならない。EUはそのタックスヘイブンのブラックリストを最新化することを決定しているが、これに関しスペインで前進がある可能性がある。それは、上述の同じ基準に従うものであり、こうして事例を作り、他の国々が加わるよう力づける助けになるだろう。これは、タックスヘイブンで活動し、あるいはそこに子会社や支店を保有している企業に対する援助を禁止することを意味し、またそれを可能にするだろう。同様に、脱税と税逃れは、企業に公的調達手続きへの参加をできなくする基準の中に含められることも可能であり、それは、地域圏や自治体のレベルで模倣が可能になる方策だ。もう一つの手頃な方策は、法による税免除を禁止することになろう。そして最後に、「変革の」政府であると主張している一政権のおよぶ範囲内の提案リストに続いて、脱税と税逃れの助言者や受益者としてこれらの国境を越えて広がる領域で活動している銀行と金融仲介者に対して、諸々の制裁の決定も可能になるだろう。
しかし、脱税、税逃れ、あるいはタックスヘイブンの災難と闘う上で、市民社会がすべてを諸機関の行動に任せるのは、素朴に過ぎ、また無責任になるだろう。これは、以下のような状況であればなおのことそうなる。つまり、ここまでのところ進んだ僅かなことは、共有の隠し部屋につながる回転扉をもはや必要としない政治・ビジネス階級を巻き込んだスキャンダルや報道のリーク、のおかげで生じたのだ。化粧用の諸方策をもつ一握りの者がこれらの下水溝から出てくる悪臭を隠そうと試みることを妨げるためには、それらの企業と億万長者を指し示し、それらをボイコットするキャンペーンによって、この闘いで市民社会が指導的役割を引き受け、財政の公正さと富の配分を求めて決定的に決起することが不可欠だ。この意味で、ATTACフランスが二、三年前に実行したアップル店舗占拠キャンペーンは人を元気づけるだけではなく興味深い。脱税と税逃れの中で活動し必要な仲介者になっているコンサルタント業者と銀行に反対する抗議とそれへの糾弾は、これらの多国籍企業に刻印された企業イメージ、不安定な資本主義というこれらの時におけるまさにそれらの主な資産の一つ、に打撃を与えることに力を貸すと思われる。

支持署名の拡大から次の行動へ


――債務のアピールは何を語っているのか?

 コロナウイルス・パンデミックの医療的、社会的、経済的非常事態は緊急的で即時的対応を求めている、とわれわれは分かっている。事実として、この目的に向けすでに何十億ユーロもが動員された。そしてそれは、諸国家にとっては手頃とは言えない債務を膨らませ続け、この状況に対抗する能力を妨げつつある。われわれはこの理由から、パンデミックの原因と結果と闘う意図を持つメンバー国の債務すべてを欧州中央銀行(ECB)は帳消しにする、あるいはそれができない場合、それらは予算に関連づけられない「永久債」に移される、ということが不可欠、と信じている。その間に、また遂行されるべきこの方策に向けた圧力の一形態としてわれわれは、諸国家による一方的不払いを、同じく正統性のない部分の支払い拒否をめざして、全体としての債務に対する市民監査、を提案する。債務は、今なおEUの危機を理解する点で鍵となる要素の一つにとどまっている。つまりそれは、われわれがEUを変えたいと思うなら、破ることが不可欠である南欧諸国にとっての本物の拘束衣なのだ。

――誰が署名者か?

 当初この宣言書に署名したのは、さまざまな欧州諸国の労働組合、社会、政治、また知識人の世界を母体とする四五人の個人だった。その名前の中には、たとえばスーザン・ジョージ、エリック・トゥサン、クリストフ・アギトン、エレノラ・フォレンツァを見つけることができる。その発進以来われわれは、様々な国と政策領域から何十という新たな署名を受け取っている。
われわれは次の段階として、諸組織と一般民衆に対して支持を開放するつもりだ。そして署名の名前や数以上に、欧州北部の諸国からわれわれが受け続けている歓迎が重要だ。何しろこれらの諸国の多くは「倹約的」と見られているのであり、したがってわれわれは今、このいかさまなEUの南北分断を打ち壊すことに貢献している。そしてその分断は、EUの主要な四隅の民衆と労働者階級によって掲げられなければならない必要不可欠なかけはしと共有された課題設定を前にした、あらゆる国のエリートの共通利益を隠しているのだ。

――あなたには日程表があるか?

 われわれは夏の間に、この第二期の署名集めを締め切るつもりだ。その後われわれは、受け取った支持と公衆衛生状況に従って進め方を検討するだろう。考えとしては、闘争における場と諸組織間のつながりを再建するために、またもっと一団となって前進を続けるために、何らかのタイプの会合を、顔をつきあわせる、ないしはリモートの会合を、秋に提案することになるだろう。

社会運動力にEUの総意に対決


――反資本主義派の議員として、EU議会におけるあなたの役割は何か?

 われわれが発揮すべき第一の機能は、多くの課題に関し、EU議会に、また全体としてのEU諸機関に存在しているおびただしくかつ堅固な総意を打ち壊すことに向け、ささやかだが決定的に、言葉を発し貢献することだ。それらの総意とは、世界におけるEUの役割、異なった市場メカニズムを通じて経済や社会を考えることへの思考放棄、あるいは他の多くの課題の中でもその対外行動によって人道にEUが「貢献する」という想定上の価値、といったことだ。
EU議会とほとんどのEU諸国を伝統的に共同統治してきた社会リベラルとキリスト教民主派の大連合は、今日諸々のリベラルとグリーン派のかなりの部分を含めるまで拡張され、一方でかつて以上にユーロ改革派になっている反動的右翼にまで関係を伸ばしている。このすべてが、権力の中核を形作っている。そしてそれは極めて強固であると共に、EUの経済的、政治的エリートの残りと完全な提携関係にある。
われわれの第一の任務は、われわれの統計的に表現された少数派の地位をもっと少数派にしようとする障壁を破ることだ。問題は、左翼内部にすら、新自由主義大連合の極度の集中がもつ総意にどんな対価を払っても統合することでそれがなされる、と考える者たちがいる、ということだ。
われわれの第二の役割は、そしてそれはあらゆる機関内のあらゆる反資本主義者にとって共通だが、EU議会のような一機関がもつ魔力と危険性に屈服しないことだ。この機関を特徴づける、そしてそれに対抗して日々の基盤でワクチンを施されなければならない、階級差別、シニシズム、傲慢さに感染する危険、あるいは安楽さに馴染む危険のためばかりではなく、それがもっとも重要なことと考えながら、本来なら他の戦線に配置されるべき不足の財源の山を使い尽くしつつ、議会のかけひきに捕らわれる、という実体的な危険までもあるからだ。
議会の議席をそれ自体で目的とせず、真に存在しているEUの利益と論理に真っ向から衝突する運動と諸提案を駆動源に、議会内部で、しかし何よりも議会外で活動するためのテコにするためには、少数派の地位に自覚的であることが基本になる。

――それをあなたはどのように考えているか?

 第一に質問としたがって回答は、多元的に定式化されなければならない。われわれは、反資本主義および国際主義の潮流として、制度上の活動をもう一つの戦線、重要だがしかし絶対に必要というわけではない、そしてそれが機構外の組織され闘う社会運動から支持されないならば特に不毛な戦線、と考えている。これらの闘争に同行し、それらに支援を与えまたそれらから学び、政治的行動と社会的行動を接合し、あるいはそれらの飛躍に力を貸すことは、制度上の活動とそこでのわれわれの役割に関するわれわれの考えでは原理的な部分だ。
その上で、EU議会のような一機関はさらに二つの興味深い要素を提供している。つまり、EU規模での拡張された領域的考え方、および国の規模と地方の規模でまもなく影響を及ぼす資本によるいくつかの攻撃に対する予想を可能にする当今の展望だ。その機関内に存在を確保することは、他の主体を配置し、連携を確立するためには、また新たな戦場に向け土台を準備するためには有益だ。

社会自由主義者との連立は危険

――ギリシャにおけるシリザ指導部中核の戦略が破綻したことを受けた、サンチェス政権(スペインの)へのウニダス・ポデモスの参加は同じ路線に添った継続なのか? あるいはそれは違うものなのか?

 ギリシャの経験は先頃における大きな政治的教訓になっている、あるいはそうであるべきだ。われわれは事実として、政府に関するシリザの経験との関係で、彼らがどのように解釈し、当時とその後自らをどのように位置させたかにしたがって、欧州左翼の中にある種の分水嶺を定めることができる。最終的にアンティカピタリスタスとしてのわれわれのポデモス離脱に結晶化することになった原理的な戦略的相違は、二〇一五年のギリシャ情勢の中ですでに行われた諸々の議論に密接に結びついている。
スペインの場合われわれはアンティカピタリスタスとして、社会自由主義者が率いる政府に少数派を入れることには多くの、しかし主には三点の危険がある、と極めて鮮明にしていた。以下がその三点だ。
(1)15M運動がその主な基軸として二大政党制とその諸政策への異議申し立てを行ったという事実にもかかわらず、PSOEを変革主体として生き返らせるという危険。何しろPSOEは、先の二大政党制とその政策では基本的な支柱であり、スペインの大「国家政党」なのだ。
(2)社会自由主義政府の多数派にしたがい、ポデモスを制度圏に閉じ込める形で、変革勢力としてのペデモスから活力を奪い、それを老化させる危険。
(3)反政府勢力としての独占権、およびすでにここにある新たな危機の管理から派生する不穏の方向付けに対する潜在能力、を右翼と極右に与える危険。
PSOEの少数政権形成を外部から支持し、諸々の運動と共に、また政府の一員であることから派生する現在の諸々の約束なしに、スペイン議会内外から反対を続けることは容易なことだったと思われる。

生産モデル転換めざす国有化


――あなたはさまざまな戦略的部門の国有化を求めるキャンペーンも始めているが? それはどのような部門か? 大製薬企業? エネルギー部門? 銀行? 他のもの?

 このパンデミックは資本主義の無様さをあからさまにした。民衆諸階級の保護と命の保護という挑戦課題を満たす点での資本主義の不十分さが見せつけられることになった。これらは、公共サービス切り下げという継続した年月の諸結果を分析する機会になっている。公衆衛生に対する権利は新自由主義の諸政策によって切り詰められてきた。そしてこのパンデミックの対価は経済上のものだけではなく、何よりも何十万人もの命にも達しているのだ。
このパンデミックはまた、EU新自由主義の裸の「皇帝」ぶりをもむき出しにした。ウイルス危機のど真ん中でわれわれは、何年にもわたる投資再配置と脱工業化の結末として、欧州にはコヴィッド19と闘うために必要な緊急装備を製造する方法がまったくない、ということを見た。EUは、社会的にまた環境的に公正な生産モデルへの挑戦に沿った、ある種の再工業化を必要としている。経済は、私的利益を膨らませるためにではなく、暮らしへのサービスに置かれなければならない。疑いなく、それこそがこの危機の大きな教訓の一つだ。
われわれはこの理由から、共有財を確保するために、諸々の戦略部門の社会的統制下における国有化を必要としている。この理由からわれわれはアンティカピタリスタスとして、たとえば日産が閉鎖するつもりのカタルーニャの工場を例として、さまざまな具体的提案に基づいて、戦略的部門の国有化と生産モデル変革への必要に関する扇動・宣伝キャンペーンを発進させた。
資本主義は、その主な原因が利潤率の低下傾向である、収益性危機が引き起こした長期の不況波上にある。資本主義は、そこからの離陸を達成する点でのこの永続的困難さに直面して、労働の永続的な価値引き下げと生物圏の劣悪化の進展という姿をとった人間と自然の搾取の強化を通して、資本主義がこの間系統的にやり続けてきたように、一つの出口を探し求めてきた。
こうして、資本主義的開発主義に新しい諸限界を、しかしまた変革を求める勢力総体とそれらの戦略にも新たな限界を持ち込んでいるのは、そしてそれはすでに作用している最中なのだが、環境の危機になるだろう。この意味で、ポスト資本主義のシナリオに真っ向から向かうという共通の挑戦に、異なった背景と地域的特殊性から対応する、そうした一つのエコ社会主義の構想を構築できる新たな戦闘的連帯に基礎付けられた国際主義を建設することが不可欠になる。(「インターナショナルビューポイント」二〇二〇年七月号)

THE YOUTH FRONT(青年戦線)

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