2011年超える質の下に民衆蜂起が展開中

アラブ革命 スーダンとアルジェリアの蜂起
新しい要素と息吹きを受け止め
地域的、世界的連帯の形成を

フィリーダ・アファリ

 スーダンとアルジェリアで民衆蜂起と軍部の対峙が続いている。二〇一一年のアラブの春を思い起こさせるが、当時とは明確に異なる特色があること、また二〇一一年の教訓への自覚もうかがわせて、軍部への強い拒絶感があることなど、新しい展開への可能性も見せている。以下は、この蜂起を進展させる観点から事態の分析を行っている。特にスーダンにおける女性の役割に光を当てた論考も合わせて紹介する。(「かけはし」編集部)

 二〇一九年早くのスーダンとアルジェリアの蜂起爆発以後、これらの蜂起が二〇一一年に中東と北アフリカで始まった革命の進行を破壊した多くの障害を越えて進むのでは、との期待がかなり生まれた。

独裁者打倒では満足しない蜂起


 スーダンでは、貧困と抑圧に反対する継続的な大衆的な抗議行動(二〇一八年に始まった)、およびこの蜂起に加わった下位の兵士と下士官の脱走が、四月一一日、残酷な独裁者、オマル・アル・バシルを退けるよう軍指導部を強制した。
 首都ハルツームの軍司令部前での数千人におよぶ抗議の人々の座り込みは、六週間以上続き、規模と多様性を増し、軍の支配に終止符を打つよう要求した。スーダンの革命的民衆はさらに、イエメンにおけるサウジアラビアの戦争に対する彼らの軍の関与、およびそこでの兵士としてスーダンの子どもたちを使うこと、にも反対してきた。
 スーダンの軍部は、五月末の三日間の効力を発揮したゼネラルストライキの後、座り込みを攻撃し潰すために、その民兵組織である緊急支援軍(RSF)(以前はジャンジャウィードの名前で知られ、ダルフールでのジェノサイドの中で養成された)を使用し、この場と国中で一〇〇人以上を殺害、数百人を負傷させた。RSFは病院やさまざまな抗議活動のセンターにも攻撃を加え、看護師や他の医療スタッフをレイプしたり殺害したりし、殺された人々の遺体をナイル川に投げ込んだ。
 六月三日の虐殺以後、スーダンの革命的民衆は、ほとんどが若い労働者階級の女性と男性だが、大規模な市民的不服従運動を組織してきた。そしてそれがこの国を麻痺させることになった。彼らは、多くの街頭にバリケードを設け、抵抗を続けてきた。彼らもまた、殺害や拘留やレイプの標的にされ続けている。
 諸政党や諸労組の連合である「変革と自由勢力」は、選挙までの政治的移行期間の市民多数(文民八人と軍人七人)統治機構をつくり出すための、エチオピア政府が交渉した計画に同意したが、スーダンの実権を握る将軍たちは六月二四日、エチオピアの提案を拒絶した。
 抗議に立ち上がったほとんどの人々は、多年にわたって彼らを殺戮し続けてきた軍とは、どのような取引も拒絶している。スーダン専門職組合(SPA、「変革と自由勢力」の構成組織)は今、軍から市民への権力引き渡しを要求して、六月三〇日の大衆デモを呼びかけている(注)。
 アルジェリアでは、二月に始まった全国規模の数百万人による大衆的抗議が、四月二日、アブデラジズ・ブーテフリカ大統領に退陣を強制した。強力な女性の参加を伴ったほとんどが若者から構成されたこれらの金曜抗議行動の後には、教育、医療、司法システム、石油化学工業の労働者による、さらに他の諸労組による抗議行動が続いた。彼らは、失業や壊滅的な打撃をもたらしている緊縮策や腐敗に反対しただけではなく、アルジェリアが一九六二年にフランスから独立を勝ち取って以来権力の座にあった保守派、そして軍部の体制全体を終わりにすること、も求めてきた。多くの若い参加者の言葉にしたがえば、「それは全システムの拒絶だ」であり、要求は、根底的な民主的変革にある。
 スーダンとアルジェリアの蜂起は現在攻撃の下にあるとはいえ、今は希望を捨てる時ではまったくない。これらの蜂起を救い出し前に向かうことを助けるためには、この蜂起の新しい特色を識別し理解することから始める必要がある。  

 両蜂起は宗教的原理主義と軍の体制に反対してきた。スーダンの例では、憎悪の的である軍部体制は、同時に住民にシャリア法を押しつけてきたイスラム原理主義の体制でもあるのだ。
双方の蜂起においては、家父長制に反対する女性の闘争と女性の役割が傑出してきた。スーダンでは、警察の残忍さ、シャリア法、道徳警察、さらに衣装規則に対決して女性が闘い続けてきた。フェミニスト諸組織は、この革命の指導部の一部となった。
アルジェリアでは、世俗的軍部と野党の宗教的原理主義者双方によって推し進められた、家父長的諸慣例に対決する闘いが、女性たちによって続けられてきた。この国の家族規定は、女性を差別し、彼女たちを半人前として扱っているのだ。
地方部門、工業部門、さらにサービス部門の労働者による闘争は、両蜂起ではその分かちがたい部分となってきた。スーダンでは、医師と教員が、SPAの形をとって闘争の指導部の背骨となっている。アルジェリアでは、失業青年(男女の)、労組メンバー、労働運動活動家が闘争の前線に加わってきた。

両蜂起には新しい特色が表出


両蜂起で、反黒人レイシズム、およびアルジェリアのアマジーやスーダンのキリスト教徒精霊信仰者のような住民の周辺化された部分への反対は強力だったが、スーダンの蜂起では特に目立つものだった。ダルフールでの黒人に対するジェノサイドを謝罪する諸々のスローガンが、スーダンでは多くから語られた。ダルフールジェノサイドに責任があるジャンジャウィード民兵が、全国の蜂起を潰すためにスーダン軍部によって今使用されているという事実の中で、「われわれはすべてダルフール」との認識が現れてきた。
スーダンの蜂起に対する反革命攻撃には新しい要素もある。二〇一一年には、エジプトあるいはシリアの蜂起との関係では、この地域と世界のさまざまな大国が異なった側に力を貸すと主張した。しかし今回は、この地域と世界の大国すべてが、スーダンの蜂起を潰そうとする彼らの努力の点で一体になっているのだ。
スーダン軍部はサウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、エジプト、さらにトルコから支援されている。それはさらに、イラン政権からも間接的に支援されている。中国とロシアはスーダンに投資物件をいくつか抱え、両国は、ハルツームの座り込みに対する六月三日の攻撃を糾弾する英国とドイツによる緩い国連決議案に拒否権を行使した。米国とイスラエルは、サウジアラビアのためになることを支えている。EUは、スーダンを超えてやって来る移民の流れを止めるために、スーダン軍部のRSF(ジャンジャウィード)に資金を流し続けてきた。
彼らの経済的利害という理由からだけではなく、スーダンの蜂起がもつ反家父長的で反レイシズム的側面が、この蜂起を中東と北アフリカでもっとも進歩的なものにしているという理由からも、これらの地域と世界の大国は、スーダンの蜂起が終わることを見たいと共に願っている、と主張できる。この蜂起は、この地域が代表していると思われていることに関する支配的な物語りに、つまり宗教的原理主義、軍事化された権威主義、家父長制、レイシズム、民族的偏見、そして宗派主義に異議を突きつけているのだ。
これらの新しい発展を前に、スーダンとアルジェリアの革命的民衆の仲間に接触を伸ばし、これらの蜂起の継続と広がりを可能にすると思われる類の地域的、国際的な結合を生み出すことは、中東と北アフリカの革命的社会主義者の肩にかかっている。

世界的連帯への豊かな刺激

 これまでのところ地域内部で、チュニジア、モロッコ、レバノン、シリア(イドリブ)、エジプトの進歩派や革命派から支持を表すものが現れてきた。アルジェリアとスーダンの革命的人々もまた互いに支持を表してきた。
両蜂起が、工業とサービスの労働者、地方の労働者、教員、看護師、さらに医師の幅広い参加を伴っているという事実は、この地域と世界の残りに対して一つの鼓舞となり得る類の労働者の連帯を表現している。家父長制とレイシズムに反対する闘い、および両蜂起における女性と抑圧されたマイノリティの幅広い参加も、この地域と世界中のフェミニストと抑圧されたマイノリティには一つの鼓舞となり得る。
植民地主義に対するアルジェリアとスーダンの闘争の歴史から引きだすことのできる教訓もまた、いくつかある。現在のアルジェリアの体制は、フランス植民地主義と対決した闘争に関わった革命的人々の世代部分が、その反対側へと姿を変え、新しい残酷な支配階級に成り果てた、という悲劇的事実を象徴しているのだ。
マルチニーク系フランス人の思想家で革命家のフランツ・ファノンは、彼の『地に呪われたる者』の中で、アルジェリアと他の北アフリカの反植民地闘争における彼の経験を総括し、われわれに重要な教訓を今もいくつか与えている。彼は、革命が続くためには、資本主義的に疎外された労働、レイシズム、性差別が根こそぎにされなければならず、新たな人間性と新たな国際主義が明確にされなければならない、と論じている。
スーダンとアルジェリアの蜂起が生み出した新たな要素と穴すべてをさらに拡張しよう。この基礎の上で、中東と北アフリカにおけるできごとのコースを、際限のない戦争、権威主義的資本主義、宗教的原理主義、また帝国主義から解放の方向へと変えるために、地域的、国際的結合をつくり出そう。(二〇一九年六月二四日、「中東社会主義者連合」より)

▼筆者は「中東社会主義者連合」ブログ記者。
(注)この論考が書かれた後、「変革と自由勢力」と軍の間で一つの協定が合意に達したように見える。とはいえ反体制派の代表者は、解決されるべき問題がもっとある、と考えている。(「インターナショナルビューポイント」二〇一九年七月号)

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