スリランカ 大統領選挙と左翼の役割

方向に大差はない既成政党ノー
労働者階級による政治運動を

レフト・ヴォイス

 一一月一六日に予定されている今回の大統領選挙をめぐって、人々の中で対話が起きている。ラニル・ウィクラマシンハ首相が率いる新民主主義戦線(NDF)とマヒンダ・ラージャパクサ前大統領が率いるスリランカ人民党(SLLP)―人民戦線(PP)が、中心的陣営として選挙戦に登場してきている。人民解放戦線(JVP)主導の全国人民の力(NPP)連合の候補者および市民社会の諸組織を代表する候補者や個人としての候補者など三〇人以上がこの選挙に立候補している。
 この選挙の主な相違点は、二人の候補者が、自分たちの基本理念や政策について討論を始めるのではなく、個人的イメージを強調しているという点にある。NDFのサジット・プレマダーサとSLLPのゴタバヤ・ラージャパクサの二人とも、オルタナティブなプログラムを提案するのではなく、過去の実績やそれぞれの家族的背景をもとに自らへの投票を訴えてきたのである(サジット・プレマダーサはラナシンハ・プレマダーサ元大統領の息子であり、ゴタバヤ・ラージャパクサはマヒンダ・ラージャパクサ前大統領の弟である)。
 NDF、PP、NPP、さらに他の候補者のほとんどによって提起されているビジョンは、ほとんど同じプラットフォームの上にあり、プレゼンテーションの違いほどには違いは大きくない。全員が、資本家階級によって過去数十年にわたって遂行されてきた新自由主義政策が成功していないことを認めている。また、全員が、汚職のない、東アジアモデルないしは東南アジアモデルの実行が、現在の危機に対するオルタナティブであると主張する。
 マヒンダとゴータバヤ陣営は、自分たちの発展モデルは愛国主義と安全保障に基礎をおいていると述べている。これは人々を規律ある市民へと変えようとするシンガポールあるいはマレーシアのモデルだ。NDFは同じモデルを共有しているが、社会保障というレトリックを使っている。NPPは汚職のない正直な政府を提唱するが、同じモデルに基づいている。
 アジアの発展モデルと新自由主義的プログラムとの間には、ほんの少しの違いしかない。海外からの投資、グローバル市場をターゲットにした生産、生産性向上のための労働者への圧力、労働者の権利の制限、抑圧的で反民主的な法律の実行などに基づく経済発展は、新自由主義に対するオルタナティブと称するものの際立った特徴である。民主的スローガンや国内問題、憲法改革が現在の政治討論の中に存在していない状況では、われわれは来るべき独裁の残忍さを予見することができる。
 今日のもっとも悲しむべき事実は、資本家からさまざまな攻撃を受けてきた労働者階級がこれらの候補者の周りに結集していることである。知識人の中には、スリランカには秩序ある社会を打ち立てることができる軍事的支配が必要だと信じる者もいる。左翼が、資本主義的展望から独立した自らの大衆政党を建設できてこなかったことは悲劇的である。労働者が資本家政党を支持することをやめさせることができるのは、労働者階級による政治運動だけである。
 四つの極左政党が、自らのイメージを上げるために、今回の大統領選挙に自らの候補者を立候補させた。その中には、社会主義前線党(FSP:JVPから分裂した左翼政党)、統一社会党(USP:CWI労働者インターナショナルにむけた委員会スリランカ支部)、社会主義平等党(第四インターナショナル国際委員会の加盟組織)が含まれる。社会主義の展望を持つこれらの政治組織が左翼の単一共同候補を提唱することができなかったのは悲しむべきことである。これはスリランカ左翼の分裂とセクト主義という現実を示すものだ。このことは労働者民衆が左翼の力に頼ることができないだろうということを意味している。
 レフト・ヴォイスがFSPの政策の多くに賛成するのは難しいことではない。しかし、いくつかの重要な点について、批判的な相違点がある。たとえば、FSPの展望や行動の多くが支持できる一方で、どうしてFSPがタミール民族問題の原則的な解決策を避け続けているのか、われわれには理解できない。USPは基本的原則を掲げて立候補しているが、労働者階級のリーダーシップや資本主義によって創り出された新たな困難を無視している。
 以上のことに基づいて、レフト・ヴォイスは、FSPのドゥミンダ・ナガムワまたはUSPのシリスンガ・ジャヤスリヤに投票することを呼びかける。

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