マダガスカル:若者の決起が体制を揺るがす
軍政出現の背景
ポール・マーシャル
アフリカ大陸東岸沖合の島国であるマダガスカルはフランスの旧植民地で今もフランスの影響力が残っている。この国で、10月14日に軍が全権掌握と宣言する政変が起きた。この政変がどのような状況で起きたのか、以下はそれを伝えている。(「かけはし」編集部)
9月24日、マダカスカル大統領のアンドリ・ラジョエリナは国連総会の中で、「信頼でき入手可能なエネルギーがなければ発展は全くない」と言明し、「わが国では電力利用率が24%から40%まで上昇した」と続けた。翌日これに対する応答として、若者たちが電力と水の間断ない途絶に反対する最初のデモを始めた。
ラジョエリナ
は出ていけ!
それは、繰り返されしかし悪化するばかりの問題だった。これらの困難は、配電を担う企業であるジラマの送電網に対するメンテナンスと投資不足に起因している。しかしそれらはまた、横領の結果でもある。そしてその主な犯人のひとりこそ、国で2番目に裕福で大統領の有名な仲間であるマミ・ラヴァトマンガなのだ。
デモに決起した者たちは間違ってはいなかった。あっという間に、要求はラジョエリナの辞任を、しかしまた上院、高等憲法裁判所、電力委員会など、エリートの腐敗と同一視された諸機関の解散を求めるまで進展した。
ラジョエリナはこの危機を取り除こうと試みたが、いずれも遅すぎ、些末すぎた。彼はエネルギー相を解任し、次に彼の政府、特に首相のクリスティアン・ントサイの解任を決意した。後者は、大統領閥からなる政治機構の鍵を握る部分だ。
その上これらの解任を告げる彼のテレビへの登場さえも、笑うべきものになった。その時彼は若者たちに向け演説し、新政権樹立に向けかれらに履歴書を送るよう急かしたのだ。
決起は時と共に
国中に広がった
戦いは時と共に国中に広がり、主なまちと都市に影響を及ぼしている。運動を拡大しようとのZ世代の若者たちの切望は、今現実になっている。前大統領のラヴァロマナナやラジョナリマムピナ・ニアを含む野党の政治指導者たちは、おずおずとした支持を差し出した。しかしかれらによるこの国の資源略奪という歴史を前提とすれば、かれらから期待できるものは何もない。
市民社会の諸組織は平和的なデモへの抑圧に反対して決起したが、一方警察はならず者たちの略奪仕事を放置した。最低でも住民の一部を結集させようと狙った混沌化戦略は無駄だった。
新しい事実は労働者の決起だ。最初のデモから数日後、ジラマの従業員がストライキに決起、教員労組であるSEMPAMAが合流した。最終的に、ソリデール労組指導者のヘリゾ・ラマナムボラがゼネストを呼びかけ、大統領辞任を求めた。
ラジョエリナは今、彼の16年にわたる破滅的な権力を隠そうと、アルゴリズムを頼りに若者を操作する「外国の大国や先進技術を備えた工作機関」がたくらむ陰謀を強く非難している。つまり、若者を街頭に押しやっている「闇の勢力」……というわけだ。しかしそれも、若者の怒りの一因がマダカスカルのエリートの子どもたちがもつソーシャルネットワーク上の投稿ではないとする限りの話だ。そしてその者たちは、住民の4分の3が貧困ライン以下で暮らしている国の略奪された富によって可能にされた、かれらのまばゆいばかりの暮らしを見せびらかしているのだ。(2025年10月2日、「ランティカピタリスト」よりIVが訳出)
▼筆者はIV通信員で、フランスの第4インターナショナルメンバー。(「インターナショナルビューポイント」2025年10月14日)
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