右翼大勝のマドリード議会選

スペイン
左翼は戦略の再考が必要
ラウル・カマルゴ

 国民党(PP)右翼指導者のひとりであるイサベル・ディアス・アユソが率いる同党が、マドリード自治圏で5月4日に行われた議会選で楽勝した。同党は前回の30議席から大きく超える65議席を確保し、必要な場合は極右のVox党から支持を受けて、この地域圏を単独で統治することができるだろう。この日は、この急進的右翼の腐敗とトランプ主義に苦しんできたあらゆる左翼の民衆にとってはひどい日だった。

抜本的変革の
真剣な追求を


 パンデミックに対するPPの忌まわしい管理は、それ自身の利益として作用した。同党が、もてなしと他の活動に対する開放政策を自由の観念と結びつけたからだ。これは、右翼の支持者の多くを再結集させることを、また伝統的な政治化の程度が低い棄権層を動員することをも、可能にした。
 左翼の伝統的な拠点におけるかなりの支持増大を伴った、マドリード自治圏の全自治体における事実上のアユソの勝利に対しては、他の説明はまったくない。それは、他の右翼政党やPSOE(社会労働党、現政権党)からの票の移動だけが生み出した結果ではなかったのだ。
 これからは、アユソの圧勝の根源的な理由を、また右翼の陣営がどのようにして強化されたかを分析する時になるだろう。というのも、Voxもまた2019年からその得票を増大させ(議席も12から13に進め)たからだ。76%の投票率(この地域圏では選挙史上最高)に基づけば、右翼の支持基盤が強固であり、その政府を率いた26年を通じた諸々の手当てによって固められてきた、ということは明白だ。
 それらに対して議会の中だけで、あるいは選挙キャンペーンの中だけで対決することでは不十分だ。それらに対しては、代わりになる社会的組織、および彼らの力の再生産に関わる根源に向けられた政治的諸提案をもって闘う必要がある。すなわち、教育と公衆衛生における公的ネットワークの拡張を求める戦闘、補助金を受ける私立教育や私的医療の解体を求める戦闘、あるいは100%公的な老人ホームでの居住モデルを求める戦闘だ。また、現在のものとは抜本的に異なる都市政策も必要だ。現在の都市政策は孤立した都市の生成であり、そこでは左右の違いが区別できない。
 この間の日々それらはユートピア的なスローガンのように見えている。しかしそれらに対しわれわれが左翼の側から真剣に取り組まないならば、この自治圏でわれわれが長続きする変革を得ることは決してないだろう。

PSOE政府
への強い不信


 PSOEは、そこにいたいとは思わなかった消耗し切った候補者とその社会的方策が不十分以下になっていた中央政府による、ひどくまずいキャンペーンの結果を刈り取る形で、悲惨にも沈没した。その宣伝にもかかわらず、その社会的防護楯は労働者階級から、パンデミックが引き起こした危機に値する防護とは受け取られていない。サンチェス(現首相)と彼の全権的顧問であるレドンドの失策は明らかであり、経済政策におけるむしろもっと大規模な現代化、およびウニダス・ポデモスの高まる孤立化という形態での、全国レベルにおける変化(悪い方に向かう)に導く可能性があると思われる。
 左翼のマス・マドリード候補者名簿は非常な好成績を残し、議席数でPSOEに追いついた。それは、野党としての良好な活動、好調なキャンペーン、さらにこのパンデミックの中でその仕事に向けられた全般的な感謝から利益を引き出した医療労働者の一候補者、の結果だった。それはまた、彼らが中央政府に存在していないということからも利益を引き出した。それこそ、満たされない期待(PPの雇用改革であるモルダザ法がまだ廃止されていず、税制改革も皆無であり、家賃も規制されていない、ということを思い起こそう)という形で連立2党を苦しめた腐食に基づくものだ。
 ウニダス・ポデモス(UP)は2019年からは僅かの前進を記録したが、そのリストの先頭にパブロ・イグレシアスを配することで右翼の前進を止めるという、目標を達成できなかった。これらの結果に続いて、イグレシアスは彼の全役職から辞任した。UP内にとどまっている者たち内部で何らかの方向再設定があるのか、あるいはPSOEとの広範な協定に対するむしろもっと深められた支持があるのか、われわれはそれを今後知ることになるだろう。
 イグレシアスの指名された後継者であるヨランダ・ディアズは彼女の威信を、労働省を起点とする雇用主と労働組合の社会的協力という政策に基礎付けている。この政策は、まもなく危機に入る可能性があるだろう。あらゆる企業で数千人ものレイオフが公表され、PSOEが労働者の利益にもっと配慮した雇用政策に向かうようには見えていないからだ。

ポデモス不振は
連立選択の結果


 明瞭なことは以下のことだ。つまり、全国政府内でのUPの存在はその人に訴える力に何も加えず、あらゆる選挙で、彼らは後退するか保持しているものを辛うじて保持するか、ということだ。さらに、社会運動からの相当な量の推薦を受けた一候補者や彼らの活動家的キャンペーンにもかかわらず、彼らはマス・マドリードから大きく水を空けられる結果になったのだ。ちなみにマス・マドリードは、PSOEに追いつくというパブロ・イグレシアスの昔の目標を達成することまで行った。

新自由主義との
闘いへすぐさま


 シウダダノスはマドリード議会から消えることになった。そしてすぐさま、どこからも消えるだろう。この党はまさに、そのただ一つの関心が、PPと政府を共にする中でこの党に移動する者たちをどれだけ得るかであるような、完全に失敗した党だ。スペイン国家内にある政治的中央はいわば空の空間になっている。
 しかし、これらの結果に対する失望によって、左翼がマドリードでこれから執行されることになる新自由主義と対決する戦闘の継続を止めるようなことがあってはならない。アンティカピタリスタは、この強化された右翼と対決する幅広い社会戦線を築き上げ、議会に狭められらない反対勢力に向かう道を見つけ出すだろう。
 厳しい時期が到来しようとしている。しかし、深い社会的な変革という展望に基づいてこの強化された右翼と対決する幅広い社会戦線を建設し、パンデミックによってまさにひどく打撃を受けた社会化の空間を取り戻すことが、われわれの任務として課されている。われわれはその任務にすぐに真剣に取りかかるつもりだ。今後というよりもむしろすぐさま、われわれはあらためて行動に入るだろう。

▼筆者は、アンティカピタリスタの活動家で、マドリード議会元議員。(「インターナショナルビューポイント」2021年5月号) 

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