高揚続く民衆の反乱

コロンビア
反動的自由主義体制が窮地に
2021年5月25日 モビミエント・エコソシアリスタ・デ・コロンビア

 コロンビアは南米の主要国で親米右派政権が一貫して支配を続けてきた国だったが、現在その支配が、民衆的抵抗の高揚によって深刻な危機に直面している。本紙5月24日号には、その民衆的抵抗への連帯を訴える第4インターナショナルビューロー声明を掲載した。以下では、その危機がどのように発展しているかを伝える現地運動組織の声明を紹介する。(「かけはし編集部」)


 「新自由主義は殺される以外では死なない。しかしそれが殺害を行えば行う程、それはそれだけ死に行くことになる。コロンビアで今起きていることはコロンビアの1問題ではなくわれわれの問題、世界の民主主義者の問題だ」。(ボアベンチュラ・ドス・サントス〈ボアベンチュラ・ジ・ソーザ・サントス、コインブラ大学経済学部教授:訳者〉)

軍事的鎮圧作戦
を突破し成果へ


 2021年4月28日は、コロンビアにおける決起史上、および社会的抗議の実行において、新たな段階を印した。労組連合が呼びかけた全国ストライキは大規模な民衆的反乱という結果になった。同じ日、州都の諸都市では、労働者、非正規部門の人々、学生、居住区諸組織、女性、さらに先住民やアフリカ系の諸コミュニティの決起が起きた。それは、何十年にもわたる新自由主義の実行で窮地に陥らされた絶望的な民衆の、多様で多元的な社会的表現だった。そしてこの民衆は、パンデミックの中では各自の当座しのぎのままに放置されたのだった。
 この民衆蜂起には、2019年11月21日の都市決起とのひとつながりになった連続性がある。しかし今回は中規模都市と地方の地域も合流した。600の地方自治体で街頭抗議行動があり、抗議行動参加者の数は、概算で500万人に達した。
 この大衆的抗議行動は早くもいくつかの成果を達成した。税制改悪の撤回、財務相のアルベルト・カラスクイッラと彼の経済チームの辞任、首相のクラウディア・ブルムの辞任、議会における公衆衛生、年金、雇用に関わる改革の停滞だ。ちなみにこの一連の改革策は、IMFと格付け機関から要求された、ドゥケ政権の「パケターゾ(パッケージ)」の一部を構成している。
 これらの成果は、社会的決起に対してイバン・ドゥケ政権が認めた、前例のない警察と軍の国内展開にもかかわらず獲得されたものだ。実際、50人が殺害され、400人が行方不明、負傷者数百人、そして数十人の女性に対する性的虐待、これが、市民の抗議に対しESMAD(警察部門のひとつである対騒乱機動部隊)、警察、軍、文民武装部隊がとった内戦的対応の結末だった。前述の性的虐待では、ポパヤンの即応部隊、ユニット―URI内でレイプを受けた17歳のアリソン・メレンデスの事件があり、それは自死決行という彼女の悲劇的な決断に行き着いた。カリでの抑圧には、抗議行動参加者に対する攻撃用武器、手榴弾、催涙ガスの使用、さらに居住区域や集合住宅の包囲、またシロエで起きたと同じく軍用ヘリコプターからの機銃掃射までも含まれた。
 汎アメリカ高速道上のブガ郊外では、空輸部隊までも使用され、近隣の居住区域はESMADによって包囲され、催涙ガスと爆発性武器で攻撃された。ポパヤンでは、警察の専横が引き起こした民衆の憤激の籠もった反乱に対する軍事的対応が、すでにひとりの学生が行方不明となり負傷し死亡する、という犠牲を引き起こしている。似たようなことがユムボでも起きた。これらの軍事的な「脅迫作戦」は、イバン・ドゥケ大統領、エドゥアルド・サパテイロ軍総司令官、ホルゲ・ルイス・バルガス警察総指揮官によって、個人的にまた直接に容認された。われわれはそれらに対し、ひとつの議論さえもなく都市の「公共秩序」の統制を引き渡した、現地の市長たちの怠慢による責任を付け加えなければならない。
 それらのすべてが人民に対するジェノサイドとテロリズムに責任があり、国際刑事法廷やこの目的に向け創出される国際組織で、それとして裁判にかけられなければならない。

体制の袋小路と
社会的連帯刷新


 この軍事的バーバリズムは、われわれがいわゆる「法と秩序」の崩壊を今見続けているということを確証し、不確かな代表性民主主義の諸制度とコロンビア人多数派の社会的要求との間に底の知れない分断がある、ということを明らかにしている。国家テロリズムの体系的かつ計画された適用はまた、資本主義史上最悪の経済危機に結びつけられ、コヴィッド19パンデミックによって悪化させられた、そのような国における周辺資本主義の危機をも示している。われわれは、現在の、また中長期的な人民のもっとも基本的な必要を満たすことができないという、国家とエリートたちの行き詰まりに到達している。
 社会的爆発は、民衆的決起の古典的諸形態の先まで進み、カリにおける先住民の「ミンガ」の存在や本物の全国ストライキの要点としての諸都市における自衛(バリカデス)や封鎖を例として、連帯の表現を可能にしている。封鎖、いわゆる前線を率いた者たちは、新自由主義によって周辺化され、医療や教育や労働を奪われ、憤激から抗議に現れ、望みなさの中で団結した若い人々だ。彼らは型にはまった諸制度も、右であれ左であれ政党も信じていない。
 彼らは、街頭の抵抗の諸要求を基礎にゆっくりとした共同の歩みの中で「底辺から」組織されている。彼らは、個人的指導性を拒否し、決定作成における「水平性」を主張し、彼らが活動し、民衆総会を促進している居住域で大きな社会的正統性を獲得したのだ。これらの都市封鎖は、カリ大司教のダリロ・モンサルベによる公開声明によれば、「ストライキ活動家たちが彼らの声を聞き取らせるために迫られたほとんど唯一の方法になっている……」、そしてそれはまた、都市を包囲している軍部隊への対抗としても現れている。
 この抗議行動の日々は2週間以上前に始まったという事実、そして、抗議行動参加者によって「人道的回廊」が許されたにもかかわらず、この封鎖が政府、事業家、現地の商人から基本的必要や燃料の不足に責任があるとされてきたという事実は、その封鎖を維持すべきか否かに関する討論に幕を開いた。われわれはこれに関し次のように考える。つまりあらゆる決定には、封鎖を導いたあらゆる者たちに対しいかなる刑事訴追も行わないことの保証、そしてそこには人権諸団体と可能な限り早期の国際的な同意による監視があること、さらに他の諸要求に関する全国政府と地方指導者からの明示的な約束が伴われること、が先行しなければならない、ということだ。
 市長事務所との間で試みられた交渉の物別れ後にカリで起き続けたことは、現状況に対する解決策を見出すためにわれわれが必要としていることとは逆だ。評議会に出席した居住区指導者たちは特定され、現在訴追に向け自宅軟禁下で警察に拘留され続けている。
 封鎖に関する政治的決定に関しては、それは、正統な抵抗の一形態としてそれらを組織し続けてきた者たち、つまり前線の者たち、および密な物流的支援、に反しないものでなければならない、とわれわれは考える。街頭の衝突を率い、死者や負傷者や行方不明者の一部になってきた者たちこそが、この決定策定にあたって道義的権威をもつ人々なのだ。同じことが、運送従事者や農民による道路封鎖についても言われなければならない。
 イバゲ、ネイバ、ボゴタで近頃われわれが見てきた巨大な行進、そして国中の運送従事者や南西地域のコカ栽培者のように合流を果たした社会的組織は、この民衆的反乱が高揚途上にあることを示している。そしてそれこそが、この国の周辺的資本主義に対する「底辺からの」政治的オルタナティブの幕開けが決定的要素だ、とわれわれが確信する理由だ。

民衆的抵抗下で
制度的危機深化


 その高揚は、抵抗の多様な形態の中に表現された自己組織化と直接民主主義が、代表民主主義の狭い限界を超えて拡がる「並行的な制度的枠組み」の打ち固めに力を貸している、ということを今示し続けている。この反乱は、労組組織と公的全国ストライキ指導部の伝統的な代表性的性格を超えて進み、それらの狭い抗議行動は広範な民衆諸層の要求には一致していない、と明らかにした。
 メーデーにはこの劇的な証拠があった。街頭の小競り合いではすでに警察の残忍さが何人かの死者と行方不明者を 引き起こしていたのに、労組連合は「事実上のパレード」で労働者の日の祝賀を呼びかけていたのだ。ストライキ委員会が今進展させようと試みている交渉に関して居住区指導者と民衆指導者が感じている不信は、この現実から発している。
 民衆反乱はさらに、大資本家の事業への関与と腐敗に陥っている諸政党と議会の無能力、またわれわれが今目撃している軍国主義的バーバリズムを前に共犯者の役割を演じてきた高等裁判所、そして規制諸機関の無能力、をも例証している。この理由から、ドゥケ大統領の辞任に帰着する可能性もあるひとつの制度的危機が幕を開けた。
 近い未来に確定する力関係とできごとの展開が、先の可能性を具体化することがあり得るかどうかを決定することになろう。そしてその可能性は、新自由主義的で軍国主義的な体制に対する実体的な打撃になると思われる。われわれは、それがこの間提起されてきたように、高まる力を用いて、政治的、社会的諸組織によってそれを今から掲げることが必要、ということに同意する。
 この可能性は、ドゥケよりもっと悪質と思われている議会議長で副大統領のナリニョの大統領到達に導く「制度的真空」を作り出すだろうとの根拠で、あるいはその辞任は軍事クーデターに道を開くだろうとの根拠で先の可能性を無視する議論がある。そしてそれは、「ウリベ(ドゥケの前任者でより急進的で右翼的な新自由主義政策を推進した:訳者)主義からドゥケを守る」ことがなぜ必要か,を論じている。そして彼を、軍隊トップとしての、無防備な民衆に対する集団的殺害に関わる政治的責任から除外している。
 しかしその議論は同時に、誤った基準を起点にしてもいるのだ。つまり、この国の史上前例のないものである、ドゥケのような反動的な政府の民衆的な打倒に道を開くと思われる制度的な危機の深まりは、唯一、崩壊しつつある同じ制度的な枠組みの内部でのみ解決され得るだろう、という基準だ。

自律的民衆行動
こそ勝利への道


 われわれは逆に、今回のような諸特質を内在させた民衆の勝利は民衆の自律した政治的行動に向け大きな可能性を開くだろう、そして憲法制定民衆会議の招集への道を開くだろう、と考える。それは、国際的なレベルでの巨大な民衆的連帯がある時期において、政治的な反動とクーデター策動者を孤立化させ打ち破る最良の道だと思われる。
 社会的、民衆的指導者たちはまた、われわれが支持し、貧困化に直面する中で最小限の緊急政綱を形作ることのできる、以下の経済的、社会的要求をも強調してきた。ちなみにその貧困化は、ドゥケ政府により強要され続けている新自由主義政策が原因で、何百万人というコロンビア人が味合わされてきたものだ。
◦社会的抗議に対する軍事化の中で起きた、殺人と行方不明に責任を負う者たちの訴追と処罰。女性に対するレイプに責任を負う者たちの処罰。ESMADの解体、および政府省庁にしたがった文民機関への警察の転換。
◦非正規部門の人々と失業者向けの基本的な緊急所得。この目標を達成するためには、現在GDPの63%になっている公的債務の返済を凍結し、所得税から控除できないような、富裕層と超富裕層に対する富裕税を可能にする、民主的かつ再配分的な税制改革を実行することが必要だ。すなわち、企業配当や相続に対する課税、さらに大企業や金融部門に対する税控除の廃止だ。特に、食料主権を基礎とした、自発的な穀類代替作付けや農民と民族的諸コミュニティの生活水準を改善する集団的計画の実行に関する、和平協定の実行。
◦若者たち向けの、雇用創出計画、公立大学における学生入学の補充拡大と資金投入。
◦イバン・ドゥケのジェノサイド政府打倒!
◦現在の危機に対するオルタナティブ的解決を! 憲法制定民衆会議を!
(「インターナショナルビューポイント」2021年5月号)

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