パレスチナ 何も解決していない「休戦」

確実なことは決起の継続
ジュリアン・サリンゲ

 エジプトとカタールの仲介を経て、イスラエルとガザ回廊間での一定の休戦が5月21日に確定した。ガザの民衆がもはや爆撃下に置かれていないということは明らかに歓迎されるが、何ごとも解決はされていず、パレスチナ民衆は今後数週間、彼らの民族的権利と民主的権利を求めて決起し続けると予想可能だ。
 ガザ回廊に対する爆撃作戦の終わりは、イスラエル当局の失敗として響き渡っている。物質的、人間的損害による結果は特にすさまじかったとはいえ、イスラエル国家はこの間の数週間の衝突における勝者ではない、という事実が残っている。逆に、多くのパレスチナ人にとってこの休戦は、イスラエルにとっての予定された勝利というよりは、情勢が以後悪化するというイスラエルの怖れを反映するものだ。

宿命的共同体
の自覚が表出


 メディアの注目がたとえガザに絞られていたとはいえ、われわれは、イスラエルがアパルトヘイト政策に反対するパレスチナ民衆の抗議行動に直面しなければならなかった――そして今も直面する――のは、パレスチナ全土においてだ、ということを忘れてはならない。ガザ、西岸、エルサレム、またイスラエルそれ自身における同時的決起は、明らかだが突然取り戻された政治的統一を明言するものではないとしても、さまざまなパレスチナの部分間にある宿命的共同体に対する自覚の表現なのだ。それは、「分割して支配せよ」との古い格言を実践に移しつつ、この何十年にわたってパレスチナ住民を分断するのを止めなかった植民地主義権力に対する、痛烈な警告だ。
 これは、この2、3週の反乱に内在する変曲点のひとつだ。そこにはまた若者の姿があり、ハマスであろうが、ファタハであろうが、さらに左翼であろうが、伝統的な政治勢力による組織化はほとんどなかった。最初の日々には、われわれは、西岸における諸々のデモをラマラのパレスチナ自治政府が抑圧することまでも見ることになった。それは、ガザ民衆だけではなく全パレスチナ民衆を防衛する者として現れたハマスにさらに多くの地歩を奪われることを怖れ、「民族の統一」のレトリックを頼りにギアをチェンジする前のことだった。今何が起こっているのか?

連帯組織化の
継続が不可欠


 これからの日々に起きることを予想することは難しい。しかしながらひとつのことは確実だ。つまり、中でもこの数週間に決起したパレスチナ人500人の逮捕を目的にイスラエル内で実行された「法と秩序」作戦によって、イスラエルの抑圧は続き、一方、特にシェイク・ジャラやシルワンの住宅街を巡るエルサレムにおける、さらに西岸における決起も続く。パレスチナのあらゆるところで、政治的な討論、組織化の討論、さらに次に起きることに関する討論がある。そして、われわれは予想を行う危険を犯してはならないとしても、まったく疑いのないこととして、この数週間に起きた成り行きは終わったにはほど遠く、われわれはわれわれの連帯を表し続けなければならない。
 たとえば研究者のタレク・バコニは次のように説明している。つまり「パレスチナ人は、今日存在している指導部構造を超えて今回の民衆的反乱を維持する方法を解明する必要がある。言いたいことは、この運動に指導部が不要、ということではない。2011年のアラブの反乱からわれわれが学んだことは、政治的で戦略的な決定を行うことのできる指導部がまったくなければ、深部の国家と現状維持が勝利するということだ。その指導部は、われわれが今日いるところにわれわれを運んだ同じ腐敗した指導部に向けられてはならない。この草の根の決起から現れるもっと包括的な指導部が存在する必要がある。それがどのような形態をとるかは今なお不鮮明だ。しかしわれわれは、未だ最初の段階にいるにすぎない」と。

▼筆者は反資本主義新党(フランスNPA)および第4インターナショナルのメンバー、政治学研究者でもある。(「インターナショナルビューポイント」2021年5月号)

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