イスラエル ネタニヤフ、終わったのか?

行く末の不透明さはなお続く
ドミニク・ヴィダル

 イスラエルではネタニヤフがついに政権を失い、異種混交的なある種奇怪な政権が成立した。この政権の右翼的で、パレスチナ人抑圧の性格は明確だ。現に政権成立から間を置かず、ガザに対する空爆が行われている。以下は、政権成立直前の時点でこの政権がいかなる性格のものになりそうか、を検討している。(「かけはし」編集部)
 伝えられている政権は、国会で信任が与えられるとしても、最初の深刻な障害で爆発する危険があり、可能性としてネタニヤフにひとつの機会を提供する、というほどまで理にかなっていないのだろうか? この二頭チームのための勢力配置は、ラアムのイスラム主義者(マンスール・アッバス)から右翼のウルトラ民族主義者(ベネット)まで、左翼シオニスト政党のメレツ(ニツァン・ホロウィッツ)から元リクード(かつての主要右派政党)であるギデオン・アアルのニューホープまで、労働党(メラヴ・ミヒャエリ)からロシア人政党、イスラエルわが祖国(アヴィグドル・リーベルマン)までの広がりがある。そこでは、未来(ラピッド)および青白党(前回選挙ではネタニヤフの政党と政権を争った:訳者)の残骸がいる「中道派」も忘れてはならない。

明らかなことは
極度の右翼政権


 問題はもうひとつある。つまり、この連合が本当に具体化すると仮定した時、その政策がネタニヤフのものと本当に違うものになるのか、ということだ。確かに、この政権を率いる4人組――ベネット、ラピッド、サアル、リーベルマン――は、それを欠けば過半数にならない以上、否応なく「シオニスト左翼」の存在を考慮に入れるだろう。彼は早くも、ラアム党に何らかを約束せざるを得なかった。
 しかし、イスラム主義者、労働党、さらにメレツであっても、彼らがそうしたがっていると仮定して、連携を破裂させ結果としてネタニヤフの復帰を可能にするというリスクを前に、万にひとつでも内閣の「頭部」に正面から反対するようなことがあるとすれば、それこそ驚き以上のものになると思われる。
 つまりわれわれは今、この政権にはあらゆる進展に向けた不可欠な条件であるネタニヤフの「取り除き」という取り柄――最低でもそう願おう――があるとしても、はっきりと右翼に傾いている政権を扱っているのだ。ベネット、リーベルマン、サアルは、思想的にまた政治的に右翼であり、最初の者は極右ですらある。そして、かつて「ファシズム」と名付けられた香水瓶に接する姿勢を取ったアイエレト・シャケドに関して、われわれは何を言えるだろうか?
 彼らのパレスチナ政策は現政権とまったく違わない。右翼は併合主義者政党であり、イスラエルわが祖国は移送主義(注)の組織だ。そして両者共入植者に、彼らは入植……を止めるつもりはない、と約束している。彼らはまた、経済と社会の新自由主義構想をリクードと共有してもいる。
 彼らはこれらの「対外」および国内の政策を、一定の新たに発見された斬新さを利用することで押し通すこともできるだろう。一定の者たちは、昨年の夏以後、ネタニヤフを終わらせるというただ一つの意志で団結した、巨大だが異質な群集を結集してきた運動の一部、と主張するのを好んでいる。

情勢の逆転には
民衆的決起必須


 ありそうに見える唯一の変化は、このチームは、少なくとも一時はこの政権の一部にはならない、ユダヤ教のウルトラ正統派諸政党による脅迫を気にすることはもっと少ないだろう、ということだ。結果として、「世俗主義者」――ホロウィッツやミヒャエリだけではなくラピッドやリーベルマンも――が、一般市民の結婚や離婚を求める、土曜日の公共交通運行を求める、あるいは宗教的教育部門に対する一定の統制を求める――要するに国家がシナゴーグから距離を取ることを求める――、そうした多数派の熱望をもっと十分に考慮するよう、連合を押しやることができると思われる。
 イスラエル内左翼のもうひとつの希望(おずおずとした)は、政権構成の変化がこの間の諸政権に刻まれた権威主義的進化に終止符を打つことになる、というものだ。「ユダヤ人の国民国家」法やアパルトヘイトに関し、その政権はどのような形を具体化するだろうか? 国会が採択した自由殺し的な兵器庫についてはどうだろうか? 最高裁の地位と権能に対する脅威についてはどうだろうか? しかしながら全体的力関係と連合それ自身内部の力関係を前提とすれば、趨勢の実体的逆転は、ネタニヤフ治世15年の後でも民主主義でなお残っているものの保持を求める、民衆的な決起を必要とすると思われる。
 その上でわれわれは、以前の諸政権が選択したコースとの鮮明で曖昧さのない決裂を、どう思い描くことができるだろうか? 4回の連続した選挙は、以下のことを確証してきた。つまり、イスラエルの多数派(ほんの小差の)はもはやネタニヤフを求めなかった、(圧倒的)多数派は依然として右翼、極右に立ち、ウルトラ正統派陣営の中にあった、ということだ。それは、120議席中総計72議席を占めている。
 パレスチナ問題については、シオニスト左翼――メレツを除いて――も中道派も、鮮明な観点をもっていない、ということも付け加えよう。それらは確かに併合は拒否しつつも、実体のあるパレスチナ国家の創出を擁護することはないのだ。

▼筆者はフランス人著述家であると共に活動家。
(注)「移送主義者」は、パレスチナ人のイスラエルからの「移送」(つまり排除)を主張している。(「インターナショナルビューポイント」2021年6月号)

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