ギリシャ 女性への出産強要
右翼の目論見と破綻
アンドレアス・サルツェキス
われわれが知っていることだが、EUの指導者たちは、われわれが先頃のEUサミットで見たように、彼らよりも反動的な者たちを攻撃することで彼ら自身の卑劣さを隠すことがまったく旨い。そのサミットでは、オルバンと彼のホモフェビア方策に(正当な)攻撃が加えられたのだが、それは、同時にフランス大統領が被抑圧諸グループが自身の集会を開催する権利を暴力的に攻撃してはいなかったかのようだった。
「人口増進大会」
他方でこのEUサミットの中でギリシャの指導者であるキリアコス・ミツォタキスは、ギリシャで6月中旬(もうひとつの)政治的スキャンダルが突発したのに、悪事に関し彼の同僚から優しい沈黙を与えられた。「人口増進と生殖の自律性第1回汎ヘレニック大会」(ヘレニックは、ギリシャ圏を指す:訳者)が7月始めにイアニアで開催として準備中だったということが、刺激的な売り込み広告短編映像によって露わになった。
この大会の目的は、「人口増進問題をめぐる情報の重要性と価値に光を当てること、および死亡を下回る誕生が現代社会を破壊中であることをはっきり示す現在の状況に、主な理由を人口増進問題に関する知識不足であると提示すること」だった。そしていわばボーナスとして打ち込まれたメッセージは、仕事の方を選ぶ女性を、民族の運命に貢献するには40歳過ぎでは遅すぎる、ということを利己的に忘れているとして辱めることだった。
その運営委員会が明白に4人の男で構成されていたこの大会への参加者は、2、3の病院の婦人科医師、ジャーナリスト、……と聖職者、ギリシャ正教教会との間で分けられた。同教会は近頃、「生まれない子供」に捧げられた年次記念日を定めたことで科学的に目立っていた。
聖職者の参加は象徴的というわけではなかったが、存在感は大きかった。というのも、たとえば「人口増進の保護における脱中央統制化された管理の役割」というワークショップの運営はほとんどもっぱら聖職者に任されていた……からだ。自身のために決めることを女性に禁じることを目的とするこのような大会のスキャンダルは、そこで止まるものではない。
ワークショップに関してわれわれはさらに次のことも見つけている。すなわち、発言者として、大佐の軍事政権(1967―1974年)青年部隊の元トップだった内務相のマキス・ヴォリディス自身を伴った「内務省:人口増進、発展の中軸」だ!
事実としてこの大会は、少なくとも政府からの力のこもった支持を確保した。そしてそれは、右翼のミツォタキスの息子が特に国立教育においてたとえば社会学を宗教学科で置き換えることを今押しつけているような、危険に満ちた反動的な風に対応している。
「何というスキャンダル」
スキャンダルはさらに先に進む。彼らが支援をさらに求める中で見えていることは、光り輝くこの啓発された指導者たちが、名高い大会の本当の中味を彼らの対話相手に伝えることを忘れた、ということだ。歌手のカイティ・ガルビは(Ef Syn紙に)、広報宣伝を見ショックを受けた、と説明した。「それは女性を、彼女たちに自由な選択の権利を与えることもなく、生殖過程の一部として表現した。何というスキャンダルだ」と。
もっと悪いことだが、組織者たちは、この大会が共和国大統領のカテリナ・サケラロポウロウによって主催されるように前もって整えていた。広告短編映像の上映と諸々の反応を受けて彼女は、懐古的な女性の服従と女性に彼らの権力を乱用する大手ビジネス医師からなる、この悪意のこもったシンポジウムへの支持を撤回した。
後者の側面はどちらも欠けてはいなかった。ギリシャの医者がもっと多くを請求するために専制君主並みの部門を乱用しているということが知られている中で、この大会もまた、開発相のアドニス・ゲオルジアディスによって求められている医療ツーリズムの枠組みの中で、人為的生殖手法の発展をその展望にしていた。ちなみにこの開発相もまたファシストの極右出身だ。
先の広告の放送に続いて、ソーシャルネットワーク上のキャンペーンからさまざまな声明まで、諸々の反応が数を増した。この悪事に誘い込まれた諸個人は撤退するか、彼らの支持を取り下げる義務があると感じた。同じことが諸組織や事業界、テレビ局や銀行で広がっている。
この大会の継続はそのような挑発に反対する大規模な対抗を起こしていた可能性がある、と言ってよい。同時的にあることが、女性の現実が女性殺人、レイプ、また6月16日に採択された労働時間に関する奴隷的法の諸結果であるからだ。そして最後のものの作用が、女と男をもっと困難にさえすることとなり、彼らの子どもたちにももっと当てはまることとなるからだ。そして、支持の数知れない取り下げの後、右翼紙内にさえ現れた非常な批判的な記事の後に、大会は最終的に取り消された。
「ギリシャ人の純粋性」?
われわれの同志たちによって述べられた他の懸念を呼ぶ側面は、「人口問題」に対する実体的な強迫観念の背後に隠されているものだ。つまり、その多くが極めて若いギリシャ内の難民と移民全員に、なぜすぐさまギリシャ国籍を与えないのか、ということだ。右翼に生来的な、しかし左翼によっても相対的に共有されているひとつの民族主義がその回答の基礎になっているこの問題の背後に、われわれは「ギリシャ人の純粋性」に対する強迫観念を見出す。
中世に匹敵するこの反啓蒙主義者の攻勢に対する労働者組織と左翼の対応はそれゆえ、必要不可欠な諸要求に限定されてはならない。ちなみにその要求とは、子どもをもつこと――あるいはもたないこと――の選択、労働時間の削減、避妊に関する情報、学校での性教育、公立病院に対する財源、家族への公的支援の強化、……を支持するものだ。
ギリシャで尊厳の下に暮らし働く、ギリシャ人家族の子どもと同じ権利に基づいて子どもをもつ、そうした移民と難民の権利が、国際主義者の対応にとっては基本的な闘いになる。そしてそこでは、女性が欲しているという条件で、女性が欲する時に子どもをもつという女性の基本的な権利という原則が基礎になる。(アテネ、2021年6月29日)
▼筆者はギリシャの第4インターナショナルメンバー。(「インターナショナルビューポイント」2021年7月号)
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