アフガニスタン タリバン占領について(9月20日発行)

再び私たちを忘れてはならない
米国は自らの弱さから敗北した
アフガン・ウィメンズ・ミッション(AWM)

 アフガン・ウィメンズ・ミッション(AWM)は、この緊急時に彼女らが必要とするものにとりくむために、RAWA(アフガニスタン女性革命協会)に話を聞いた。AWM共同代表のソナーリ・コルハトカルとの簡単な質疑の中で、RAWAは彼女らが見た現地で展開されている状況を説明している。
[訳注:AWMは、2000年に創設されたアメリカのRAWA支援グループ]

悲惨な結果は元々予測できた


ソナーリ)RAWAは何年にもわたって、アメリカの占領に反対してきたが、占領が終わった今、タリバンが戻ってきている。バイデン大統領は、アフガニスタンを現在よりも安全な状況にするような方法で、アメリカ軍を撤退させることができたのだろうか? 彼は、タリバンによる占領を遅らせるために、もっと何かできたのだろうか?

RAWA)この20年間、私たちが求めてきたことのひとつは、アメリカ・NATOによる占領を終わらせることだった。アメリカ・NATOがイスラム原理主義者やテクノクラートを一緒に連れて行ってくれて、アフガン民衆に自らの運命を決めさせてくれるなら、それはもっと良いことだった。この占領は、流血、破壊、混沌をもたらしただけだった。彼らは私たちの国を、もっとも腐敗し、不安定で、麻薬が蔓延し、特に女性にとって危険な場所に変えてしまった。
 このような結果になることは、最初から予測できた。アメリカのアフガニスタン占領の初期、2001年10月11日にRAWAは次のように宣言した。
 「アメリカの攻撃が続き、罪のない一般市民の犠牲者が増えることは、タリバンに口実を与えるだけでなく、この地域、さらには世界の原理主義勢力に力を与えることになるだろう」。
 私たちがこの占領に反対した最大の理由は、彼らが「テロとの戦い」という立派な看板の下でテロリズムを支援していることだった。2002年に北部同盟の略奪者と殺人者が再び政権を握った最初の頃から、最近のドーハでのいわゆる「和平交渉」・取引・合意、そして2020年から今年にかけて5000人のテロリストを刑務所から釈放するまで、撤退しても良い結果にならないことは非常に明白だった。
 ペンタゴンは、理論的な侵略や干渉のどれもが安全な状態で終わらないことを証明している。すべての帝国主義国は、自国の戦略的・政治的・経済的利益のために国を侵略するが、嘘と強力な企業メディアを通じて、その本当の動機と政策を隠そうとする。
 「女性の権利」・「民主主義」・「国家建設」といった価値観が、アメリカ・NATOのアフガニスタンでの目的の一部だったと言うのは、冗談でしかない! アメリカがアフガニスタンにいた目的は、この地域を不安定にし、テロリズムを発生させて、敵対する大国、とりわけ中国とロシアを包囲し、地域的戦争を通じてその経済を弱体化させることだった。しかし、もちろんアメリカ政府は、空港を管理して外交官やスタッフを安全に避難させるために、48時間後に再び軍隊を派遣しなければならないような騒ぎを後に残すような、悲惨で、不名誉で、恥ずかしい撤退を望んではいなかった。
 私たちは、アメリカがアフガニスタンを去ったのは、アメリカが作り出したもの(すなわちタリバン)に敗れたのではなく、自らの弱さからだと考えている。この撤退には2つの大きな理由がある。
 最大の理由は、アメリカの多方面にわたる内部危機だ。アメリカシステム衰退の兆候は、新型コロナウイルスのパンデミックへの弱々しい対応、国会議事堂への攻撃、そして過去数年間におけるアメリカ市民の大きな抗議行動に見られた。政策立案者たちは、国内の深刻な問題に集中するために、軍隊の撤退を余儀なくされたのだ。
 第2の理由は、アフガン戦争が非常に費用のかかる戦争であり、その費用は数兆円にのぼったことである。それはすべて納税者のお金でまかなわれていた。これにより、アメリカは財政的に大きな打撃を受けたため、アフガニスタンから撤退せざるを得なくなったのである。
 戦争を煽るような政策は、彼らの目的がアフガニスタンをより安全にすることではなかったことを証明している。さらに、彼らは撤退が混沌としたものになることも知っていたが、それでも実行に移した。今、アフガニスタンはタリバンが政権を握っていることで再び脚光を浴びているが、これは過去20年間の状況であり、毎日のように何百人もの国民が殺され、国が破壊されていたのに、メディアではほとんど報道されなかった。

戦争挑発への米国内抵抗が必要


ソナーリ)タリバン指導部は、イスラム法に合致する限り、女性の権利を尊重すると言っている。欧米のメディアの中には、これを肯定的に描いているものもある。20年前にもタリバンは同じことを言っていたのではなかったか? 彼らの人権や女性の権利に対する姿勢に変化はあると考えるか?

RAWA)企業メディアは、荒廃した人々の傷口に塩を塗ろうとしているだけだ。残忍なタリバンを体裁よく見せようとしていることを恥じるべきである。タリバンの報道官は、1996年当時の彼らのイデオロギーと現在の彼らのイデオロギーの間には何の違いもないと宣言している。また、女性の権利についての発言は、以前の暗黒時代に使われていたシャリーアの実施という言葉と全く同じだ。
 最近、タリバンはアフガニスタンのすべての地域で恩赦を宣言し、彼らのスローガンは「恩赦の喜びがもたらすことができるものを、復讐ではもたらすことができない」である。しかし、現実には彼らは毎日人々を殺している。昨日、ナンガハルでは、タリバンの白い旗の代わりに3色のアフガン国旗を持っていただけで、少年が射殺された。カンダハルでは元陸軍幹部4人を処刑し、ヘラート州では、フェイスブックに反タリバン的な投稿をしたという容疑で若きアフガン詩人ミーラン・ポパルを逮捕し、その行方は家族にも知らされていない。これらは、タリバン報道官の「すてき」で洗練された言葉にもかかわらず、彼らの暴力的な行動のほんの一例である。
 しかし、私たちは、彼らの主張はタリバンが演じているドラマの一つであり、彼らは自分たちが組織化できるまでの時間を稼ごうとしているだけなのではないかと考えている。事態が非常に速く進行したので、彼らは政府機関を構築し、情報機関を創出し、「美徳推進・悪徳防止省」を作ろうとしている。「美徳推進・悪徳防止省」は、髭の長さや服装の規定、女性に男性同伴者(父親・兄弟・夫のみ)がいるかどうかなど、人々の日常生活の些細なことを管理する責任がある。タリバンは、自分たちは女性の権利に反対していないが、それはイスラム法=シャリーアの枠組みにおいてであると主張している。
 イスラム法=シャリーアは曖昧で、自らの政策や法令に有利になるようにイスラム諸政権によってさまざまに解釈されている。さらに、タリバンは、欧米が自分たちのことを認め、真剣に考えてくれることを望んでいる。こうした主張はすべて自分たちのイメージをいいように描くことの一部になっている。
 おそらく数カ月後には、タリバンは「われわれは正義と民主主義を信じているので、選挙をおこなうつもりだ」と言うだろう! このような見せかけで、タリバンの本当の特性は変わらないだろうし、イスラム原理主義者であることに変わりはない。その特性とは、女性嫌悪、非人間的、残酷、反動的、反民主主義、反進歩的というものである。一言で言えば、タリバンのメンタリティは変わっていないし、今後も変わることはないだろう!

戦争挑発への米国内抵抗が必要

ソナーリ)なぜアフガン国軍とアメリカに支援されたアフガン政府はあっという間に崩壊してしまったのか?

RAWA)多くの理由があるが、そのうち主な理由をいくつかあげてみよう。
(1)何もかもがアフガニスタンをタリバンに引き渡すという取引に従っておこなわれた。アメリカ政府は、パキスタンや地域のその他の当事者と交渉して、タリバンを中心とする政府を樹立することに合意していた。だから、兵士たちは、最終的にタリバンを権力の座に就かせるということが密室の中で決まっているので、アフガニスタン人民にとって何の利益もないとわかっている戦争で死ぬ覚悟がなかったのだ。ザルマイ・ハリルザド[アメリカのアフガニスタン特使]は、タリバンを政権に復帰させるのに果たした彼の裏切り的な役割のために、アフガニスタンの人々から非常に嫌われている。
(2)ほとんどのアフガニスタン人は、アフガニスタンで進行中の戦争は、アフガニスタン人の戦争でも、アフガニスタンの利益のための戦争でもなく、外国勢力が自分たちの戦略的利益のためにおこなっているものであり、アフガニスタン人はその戦争の燃料にすぎないことをよく理解している。若者の多くは、深刻な貧困と失業のために軍隊に参加しているので、戦う義務やモラルを持っていない。アメリカと欧米諸国は20年間にわたってアフガニスタンを消費国にしようとし、産業の成長を妨げてきたことは言及すべきである。この状況は、失業と貧困の波を生み、傀儡政権やタリバンの新兵勧誘およびアヘン生産の成長に道を開いた。
(3)アフガン軍は1週間で敗北するほど弱くはなかったが、大統領官邸から「タリバンに反撃するな。降伏しろ」との命令を受けていた。ほとんどの州は平和的にタリバンに引き渡された。
(4)ハミド・カルザイ[元大統領]とアシュラフ・ガニの傀儡政権は、何年も前からタリバンを「不満を持った兄弟」と呼び、最も冷酷な指揮官やリーダーの多くを刑務所から釈放していた。「敵」ではなく「兄弟」と呼ばれる勢力と戦うことをアフガンの兵士に求めたことで、タリバンは強化され、アフガン軍の士気は低下した。
(5)軍隊は前例のないほど汚職に悩まされていた。カブールに座っている多数の将軍(ほとんどが北部同盟の残忍な元軍閥)は、何百万ドルものお金を奪い、前線で戦っている兵士の食事や給料をさえ削っていた。「幽霊兵士」は、SIGAR[アフガニスタン復興担当特別監察官]が暴露した現象である。高官たちは私腹を肥やすのに忙しく、何万人もの実在しない兵士の給与や配給を自分の銀行口座に振り込んでいた。
(6)激しい戦いの中で軍がタリバンに包囲されても、彼らの助けを求める声はカブールによって無視された。多くの場合、何週間も弾薬や食料なしに見捨てられ、何十人もの兵士がタリバンに虐殺された。そのため、軍人の死傷率は非常に高かった。世界経済フォーラム(ダボス会議2019)で、アシュラフ・ガニは、2014年以降、4万5千人以上のアフガニスタンの治安要員が殺害されたが、同じ期間にアメリカ・NATOの要員が殺害されたのはわずか72人だったと告白した。
(7)社会全体にまん延する汚職、不正、失業、不安定、不透明感、詐欺、貧困の拡大、麻薬、密輸などが、タリバン再興の基盤となっている。

戦争挑発への米国内抵抗が必要


ソナーリ)今、アメリカ人がRAWA、アフガニスタン人民・女性を支援するための最良の方法は何だろうか?

RAWA)私たちは、自由を愛するアメリカの人々がこの数年間、私たちと一緒にいてくれたことをとても幸運で幸せだと感じている。私たちが必要としているのは、アメリカ人が声を上げ、アメリカ政府の戦争挑発政策に抗議し、こうした残忍な連中に対するアフガニスタン人民の闘争の強化を支援してくれることだ。
 抵抗するのは人間の本性であり、そのことは歴史が証言している。アメリカの「ウォール街占拠」や「ブラック・ライブズ・マター」運動の輝かしい例がある。私たちは、どんな抑圧・専制・暴力でも抵抗を止めることはできないことを見てきた。女性はこれ以上縛り付けられないだろう! タリバンが首都に侵入した次の日の朝、私たちの若い勇敢な女性たちのグループがカブールの壁に「タリバンを倒せ!」というスローガンを書いた。女性たちはいまや、政治的な意識を持ち、20年前なら簡単にできたかもしれないブルカの下での生活を望んではいない。私たちは、安全に暮らすための賢明な方法を見つけながら、闘争を続けていく。
 私たちは、非人間的なアメリカ軍事帝国がアフガニスタン人民の敵であるだけでなく、世界の平和と安定に対する最大の脅威であると考えている。このシステムが衰退の危機に瀕している今、ホワイトハウス、ペンタゴン、キャピトル・ヒル[連邦議会議事堂]にいる残忍な戦争挑発者との戦いを強化することは、平和を愛し、進歩的で、左派の、正義を愛するすべての個人やグループの義務である。腐ったシステムを公正で人間的なシステムに置き換えることは、何百万人もの貧しく抑圧されたアメリカ国民を解放するだけでなく、世界の隅々にまで永続的な影響を与えるだろう。
 今、私たちが恐れているのは、90年代後半にタリバンの血なまぐさい支配下にあったときのように、世界がアフガニスタンとアフガン女性を忘れてしまうのではないかということだ。だから、アメリカの進歩的な人々や組織は、アフガン女性を忘れてはいけない。
 私たちはもっと大きな声を上げ、世俗的な民主主義と女性の権利のために抵抗と闘いを続けていくだろう。
(『インターナショナル・ビューポイント』9月1日。RAWAのサイトに掲載)

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