フィリピン コロナ対処へのアピール(10月4日発行)

国際的な財政支援を

草の根団体が対応の前線に

デリア・マトス

 ほかと同じに、フィリピンでもデルタ株が支配的となり、以前よりもっと深刻な感染の新たな波を引き起こしてきた。それにも関わらずドゥテルテ大統領は、この地域の感染がすでに過ぎ去っているかのようにふるまい続けている。
 現在議会で討論中の予算案は、医療労働者に対するどのような財政方策をも含んでいない。しかし彼らは、対コヴィッド19の闘いの前線で重い犠牲を払ってきたのだ。多数が死にいたり、病に倒れ、疲弊し、そして退職するか海外に移住した。多くの州では介護労働者たちが、中でも危険手当、また彼らの移動や居住や輸送の費用をまかなうための手当を求めて街頭に繰り出してきた。

自己防衛が
唯一の方策


 私は、私が暮らしているフィリピン群島南部のミンダナオ中央地域でこれが意味するものを証言したいと思う。行政当局は無力であり、軍は住民を助けるよりもむしろ諸団体を迫害している。そして、首尾一貫した政策はまったく実行されていない。いくつかの病院は効率的に稼動しているとはいうものの、私立病院の費用は非常に高い。
 公衆衛生システムは危機にあり、しばしば消失状態になっている。それは、コミュニティネットワークと草の根のコミュニティが、資格があると想定された当局の代わりを引き受けることをあまりに多く迫られる程だ。
 われわれは、人道的危機が頻発している地域に生きている。その危機とは、地震、激しいハリケーン、洪水、際限なく住民の避難を引き起こしている多くの武装紛争、などだ。われわれの団体はそれゆえ、この危機の状況に介入するのが常であり、この分野では実のあるノウハウを保持している。
 コヴィッド19パンデミックの始まり以来、われわれは、取られるべき防護方策に関しわれわれ自身と他の人々に情報を提供し続けてきた。しかしそれでもわれわれは、その高い感染率のためにデルタ株によって圧倒されてきた。ワクチン接種率は非常に低い。われわれの一定数も感染し、われわれが施した非常方策にもかかわらず、われわれと共に活動したひとりは先ほど死亡したばかりだ。これはわれわれすべてにとって巨大な打撃になっている。

民衆諸団体が
現場での対処


 われわれの草の根のコミュニティに関連してわれわれがとった方策とは何だろうか? われわれは全員に自ら検査するよう頼み続けている。われわれは、防護方策を強化し続けている。われわれはPCR検査(これらは有料)で陽性となった人々のために、隔離センターを設立しようとしている。陰性の者は、陽性者に食料と医薬品を供与し、彼らが孤立せずにとどまることを助ける、という任務に着いている。
 われわれは酸素ボンベを購入し、われわれができるところすべてにそれらを配置している。われわれは彼らの健康状態を観察するために、オキシメーター、血圧モニター、血糖値検査をも必要としている。われわれは、人道的危機のようなストレスの高い状況に対処するための、以前に学んだ呼吸法を教えている。われわれは、感染した人々の可能性のある接触を追跡し、その対象者に自ら検査を受け、自己隔離することを依頼している。われわれは入院している人々を観察し続けている。
 われわれは通常の連帯活動を行い続けることを強く願っている。しかしわれわれは、われわれ自身とわれわれのコミュニティを地域の感染から防護する必要がある。これが必要条件となっている。
 われわれは地域コヴィッド緊急基金を設立したが、費用は極度に高い。対処のためにわれわれには国際的な財政的支援が必要だ。
もちろんわれわれは、危機的情勢にあるのはわれわれが唯一ではないこと、特に東南アジアでは、地域的感染の新たな波が大混乱を加え続けていることを承知している。そしてわれわれは、われわれの隣人たちと国際的連帯を分かち合いたい。これは空語ではなく実効性のある約束だ。
 連帯の下に。(「インターナショナルビューポイント」2021年9月号)

THE YOUTH FRONT(青年戦線)

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