ミャンマー日誌
ASEAN会議にミャンマー軍トップ排除
政治犯5600人釈放も再拘束された人々も
民主派のゲリラ攻撃も行われている
ミャンマー日誌
9月、民主派の「挙国一致政府」(NUG)による自衛的防衛戦の宣言以後、ヤンゴンなど大都市でもゲリラ的戦いや少数民族支配地区での軍との激しい攻防が伝えられている。経済は対ドルでチャット(ミャンマー通貨)安が止まらず、輸入品の高騰が続いている。公務員の服従運動などによって国の機能が満足に動いていない。国連やASEANによる国軍の暴力の停止とアウン・サン・スー・チー氏の釈放などの国際的要求を拒否する軍は孤立を深めている。最近の状況を様々なニュースから取り上げた。
国連のブルゲナー事務総長特使 民主派への支持を訴え
国連でミャンマー問題を担当するブルゲナー特使は10月21日の会見で、国軍のクーデターに抵抗する民主派が9月7日から「防衛戦」と名付けた武装闘争を開始して以降、「ミャンマー全土で武力衝突が起きている」と述べ、同国が内戦状態に陥ったとの認識を示した。約300万人の同国民に支援が必要となる中、双方に「妥協や対話の意思はない」と述べ、事態打開に向けて国連安全保障理事会の対応強化を求めた。
クーデター後、安保理は声明で「民主化を支援する」と表明、昨年11月の総選挙で大勝した国民民主連盟(NLD)を率いるアウン・サン・スー・チー氏らの即時解放を求めてきたが、防衛戦の開始後はミャンマーを議題とする会合を開いていない。
防衛戦で、NUG勢力は装備や資金力で上回る国軍に対し、隊列を狙った地雷攻撃や基地への砲撃などゲリラ戦を展開。地元メディアを通じ約1カ月間の戦闘で国軍兵士1562人が死亡したと主張するなど戦果を強調した。
ブルゲナーさんは「内戦」は国際的な法律用語ではないと断った上で、ミャンマーの現状は国内で軍隊と武装集団などが激しく衝突する「非国際武力紛争だ」と指摘。「最後の手段として暴力が正当化される中、明らかに国際社会の行動が欠けている」と訴えた。
ミャンマー国軍、解放の市民100人超を再拘束
クーデターで実権を握ったミャンマー軍のトップが10月18日、抗議デモなどに参加して拘束されている政治犯5600人以上を、釈放すると発表した。
ヤンゴンのインセイン刑務所の外には10月19日朝、数カ月ぶりの再会を期待し家族が押し寄せた。全国で実際に何人解放されたのかを確認することは難しく、「二度と罪を犯さない」とする誓約書に署名しなければ解放してもらえなかった人も多い。
今週解放された人のうち少なくとも110人が再拘束された。自宅に着くなり再拘束された人もいる。この他、解放リストに名前があると言われて刑務所の入り口まで連れて行かれたものの、直ちに別の容疑で再び刑務所内に戻された者もいるという。
ASEAN
ミャンマー軍トップ排除
東南アジア諸国連合(ASEAN)は10月26~28日の首脳会議と関連会議から、ミャンマー国軍のミン・アウン・フライン総司令官を排除する方針を決めた。
ASEANの特使がアウン・サン・スー・チー氏らとの面会を求め、和解に向けた交渉を作ろうとしたが、ミャンマー軍側がこれを拒否したことが大きな理由だ。
クーデターで実権を握り、市民弾圧を続ける国軍のトップが出席すれば、国際社会の批判を受けるのは必至で、内政不干渉や全会一致を原則に掲げるASEANとしては異例の強い措置を取った。
会議期間中はASEAN10カ国による首脳会議のほか、ASEAN各国に日米中などが加わる東アジアサミット、ASEANと域外国の個別会議が開かれる。総司令官の出席を許した場合、クーデターによる権力掌握をASEANが追認したと受け取られかねなかった。
ASEANが重視する結束が揺らぎかねない中、総司令官の排除を決めた15日の外相会議の議長声明は、国軍と対立する民主派からも首脳会議への参加の申請があり、「広範な議論の末、ミャンマーからの政治的代表の出席では一致しなかった」と明記。
一方、軟禁状態が続くアウン・サン・スー・チー氏らの勢力が結成した民主派の「国民統一政府」は、ASEANのこの決定を歓迎する声明を発表している。
英国たばこ製造のBAT、ミャンマー市場から撤退
英国のたばこ製造大手のブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)がミャンマー市場から完全に撤退することが明らかになった。同社が取引企業に対して通知したもの。Radio Free Asiaが10月12日に伝えた。
少数民族居住区で抵抗闘争が続く
モン州チャイトー郡で10月12日、国軍の車列が地元の人民防衛隊から地雷攻撃を受け、国軍兵士13人が死亡した。
2月1日のクーデター以降、市民による電気代支払いボイコットが続いていることが明らかになった。
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