スリランカ 「一族支配」の下で
人権が挑戦を受けている
サマンサ・ラジャパクサ/スタン・ミラー
スリランカでは、マヒンダ・ラジャパクサの極右政府が自在に抑圧を行っている。対象は、政府の仲間やその他の私有化に反対して闘っているタミール、ムスリム、労組活動家、学生だ。スタン・ミラーが、フランスに亡命中のスリランカの極左活動家、サマンサ・ラジャパクサに聞いた。
民主的諸権利
今の状態は?
2010年以来権力を握る政権は、経済と公衆衛生の危機に直面しつつある。それは、住民を統制しそれ自身の腐敗を隠すために、レイシズムと宗教的差別を利用している。この政権は、2009年に4万人のタミール人を虐殺した政権と同じものであり、当時の国防相が今や大統領になっている。軍とレイシストのシンハリ人体制は今も先の虐殺を称えている。体制はそのレイシスト的課題を前に進めるために、ガラボダ・アスセ・ブナナサラ・セトのような殺人的な仏教僧侶に資金を与えている。
「一族独裁」(大統領、首相、さらに数人の閣僚は、同じ一族の出身だ)は、大統領の親類の中から選ばれた自分で指名した判事との共謀に基づいて、司法システムを迂回している。これらの判事たちは、その都合に合わせてこの国を管理し、腐敗した政治家を釈放する、ひとつの委員会を形成している。ドゥミンダ・シルヴァのような釈放された何人かは、殺人の被告だ。政府はまた、メディアとジャーナリストを監視するために、5人ないし6人の上級警官からなる特別の委員会をも設立した。
学生への
抑圧は?
政府の目標は大学を軍に似たものにすることだ。学生の入学許可はもはや大学の責務ではなく、軍事委員会の責務であり、学生は今や軍事教練に従わされている。政府はまた、大学を私有化し、選抜と授業料を導入することで無料の教育システムをも破壊したがっている。学生たちは今、この私有化に反対して闘い、数十人の学生と労組活動家が、保釈の可能性もないまま刑務所に投げ込まれた。全体として学生は、すべてがタミール問題への十分な理解をもっているわけではないとしても、政治化の過程にあり、労働者階級との連帯を示しつつある。
労働組合の
状況は?
1980年のゼネスト敗北以後、労働組合運動は後退した。数千人の労働者は職を失い、何人かは政府と雇用主によって殺害された。1983年のタミール人大量虐殺が、主な左翼の3政党を禁止するための口実として利用された。その後左翼労組の弱体化に力を得て、伝統的なブルジョア政党が彼ら自身の労組をつくり出した。
たとえば銀行従業員労組、教員労組、港湾労組など、今もいくつか階級闘争の労組はある。そしてそれらは、私有化に反対する共同戦線をつくり出した。それらは昨年、政府によるコロンボ港東部ターミナルのインド売却を止めた。
タミールの
人びとは?
2009年の虐殺後、国を離れることのできた若者すべてはそうした。タミール人には長い間同等な権利がないままであった。そして度重なる蜂起も形式的な前進に導いたにすぎなかった。タミール語は憲法内で公式言語と認められているが、それでもたとえば行政の中では禁じられている。
数十年の間、シンハリ人はタミール人と統一する機会を見過ごした。2005年にひとつの画期的事件に達した。その時JVP(スターリニスト政党の人民解放戦線)が現在政府内にいる諸政党と連携を決めたのだ。JVPの活動家たちは、社会主義の名の下に、政府を助けるためにタミールの虎を敵として闘った。そして、タミール人内部で左翼の評判は致命的になった。タミール人の囚人は何千人にもなり、家族に対する正義はまったくない。
▼スタン・ミラーは、フランス反資本主義新党メンバー。(「インターナショナルビューポイント」2021年10月号)
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